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On the Production
by 井口健二
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■カンフーようちえん、A・スパイダーマン、るろうに剣心、オロ、アニメ師、白雪姫と鏡の女王、Beyond the ONEDAY、スリーピング タイト
という気持ちで試写を観に行ったものだが、観ての感想は…
これは見事にしてやられたという感じだった。それはライミ
版ほどに派手ではないし、ビルの間を縦横無尽という感じで
もないのだけれど、その描き方が巧みで正に主人公との一体
感が生み出されている。
さらにアクションの展開にも感動が盛り込まれているのには
感心してしまった。それはライミ版とは違う新たなトーンと
言えるもので、『ダークナイト』とも違う新規なアメリカン
・コミックスの世界が誕生したようだ。
出演は、2010年12月紹介『わたしを離さないで』などのアン
ドリュー・ガーフィールド、2012年1月紹介『ヘルプ』など
のエマ・ストーン。他に、『ハリー・ポッターと死の秘宝』
などのリース・イーヴァンズ。さらにマーティン・シーン、
サリー・フィールドらが脇を固めている。
脚本は、2007年4月紹介『ゾディアック』などのジェームズ
・ヴァンダービルトと、前シリーズ第2作、第3作を手掛け
たアルヴィン・サージェント、それに『ハリー・ポッター』
シリーズのほとんどに関ったスティーヴ・クローヴスが担当
している。
監督は、2009年『(500)日のサマー』が評判を呼び本作が長
編第2作のマーク・ウェブが担当した。
僕は前シリーズのような勢いのある作品も好きだが、本作の
ようなエモーショナルな作品にも良さを感じる。これに続く
新シリーズの展開も楽しみになってきた。
『るろうに剣心』
週刊少年ジャンプに1994年から1999年まで連載され、1996年
1月から1998年9月まではテレビアニメとして放映もされた
和月伸宏原作漫画の実写映画化。
物語は明治時代が背景。幕末期には人斬り抜刀斎と呼ばれた
剣の達人を主人公に、新たな世を生き抜いて行く人々の姿が
描かれる。
その始まりは戊申戦争。そこで圧倒的な強さで敵を薙ぎ倒し
倒幕派の勝利を見届けた抜刀斎は、自ら刀を大地に突き立て
姿を消す。そして10年後、東京に現れた流浪人の緋村剣心は
町に貼られた抜刀斎の人相書きに眉を顰る。
その剣心はやがて町の道場に身を寄せるが、成り行きは「不
殺の誓い」を立てながらも、道場を守る若い女剣士や事件の
鍵を握る謎の女、そして町の喧嘩屋らと共に、剣心を悪徳貿
易商への戦いに巻き込んで行く。
主演は、2007年『仮面ライダー電王』や2010年4月紹介『BE
CK』などの佐藤健。因に本作は原作発表から13年経っての映
画化だが、俳優佐藤の登場が本作の映画化に踏み切らせたと
言われている。それは主人公の二面性は基より、漫画特有の
台詞を違和感なく使えるキャラクターでもあったようだ。
また相手役には今年3月紹介『愛と誠』などの武井咲。他に
吉川晃司、蒼井優、2011年7月紹介『一命』に出演の青木崇
高、テレビ『13歳のハローワーク』などの田中偉登。さらに
奥田瑛二、江口洋介、香川照之らが脇を固めている。
脚本と監督はNHK『龍馬伝』などの大友啓史。その『龍馬
伝』で佐藤は岡田以蔵を演じていた。本作はその大河ドラマ
にも繋がる題材だが、もっと庶民の目線で無器用だが必死に
生きている男女の姿を、原作コミックスを再現する剣戟アク
ションと共に描き出したものだ。
そしてアクション監督は、ドニー・イェンの許で香港映画の
アクション監督も務め、香港スタントマン協会の唯一の日本
人会員とされる谷垣健治が担当している。ワイアーなども巧
みに使った剣戟アクションはなかなかの見物だった。
なお、本作の製作はワーナー・ブラザース。原作はアニメも
含めて海外での評価も高いとのことで、当然本作にも海外配
給の可能性はある。そこで日本のチャンバラが『グリーン・
デスティニー』のようでは堪らないが…。
その点で言えば本作は、見事に日本映画のチャンバラがアク
ションとして成立している感じがした。しかも漫画の荒唐無
稽なアクションを実写映画で再現するのは至難の技だが、本
作はその点も見事にクリアしていると思えたものだ。
原作はこの後、京都編などに繋がって行くものだが、その続
編も期待したくなる作品だった。
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06月17日(日)
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