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On the Production
by 井口健二
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■LONE CHALLENGER、岸部町奇談、カイウラニ、グスコーブドリ、希望のシグナル、バルーンリレー、アイアン・スカイ、The Lady+DS記者会見
いるが、出演は声だけのようだ。
作品は、元々は2010年に林監督が製作総指揮も務めて名古屋
市在住の監督たちによって制作されたオムニバス映画の一編
として林監督が手掛けた短編映画を基にしたもので、形とし
てはその続編になっている。
ただし、物語自体は独立したもので本編だけでも充分理解で
きたが…、本作を観ているとその「第1章」も観たくなって
くる。現在はオムニバスの関係でDVD化もされていないよ
うだが、何かの方法で観る機会を作って欲しいものだ。
さらに、本作の内容には続編も期待できるし、上記の『LONE
CHALLENGER』も含め、今後に期待の持てる監督を発見できた
感じがした。

『プリンセス・カイウラニ』“Princess Kaʻiulani”
アメリカ合衆国によるハワイ併合に関ったハワイ王朝最後の
プリンセスを巡る物語。
物語の発端は1889年、ホノルルのイオラニ宮殿に初めて電気
が引かれた夜。アメリカ人を中心とする反王制派が反乱を起
こし、混乱の中を脱出したカイウラニ王女は、スコットラン
ド人の父親と共にイギリスに渡る。
そのイギリスで、父親の友人のデイヴィーズ家に迎えられた
王女はやがて寄宿学校に入学するが、そこでは教師などから
の人種差別に直面することになる。そんな彼女を支えたのは
デイヴィーズ家の兄妹だった。そしていつしか王女はその兄
と愛し合うようになる。
その頃、ハワイでは王女の叔父である先王が死去し叔母がそ
の後を継いでいたが、その叔母は王女を王位継承者の第1位
に指名していた。そして外国の干渉に屈しない王朝に対して
合衆国は軍事行動を開始しようとしていた。
それに対して王女が採った行動は…
ハワイが合衆国によって暴力的に併合された事実は、1993年
にクリントン大統領が公式に謝罪するまで歴史に埋もれてい
たことのようだ。その際にカイウラニ王女は、イギリスを出
て各国を歴訪し援助を求めているが、その中には明治政府も
含まれる。
僕は、明治時代にハワイ王朝と日本の皇室の間で政略結婚の
話があったことは知っていたが、その背景がこのようであっ
たことは知らなかった。映画の中で日本との関係は描かれな
いが、王女が政略結婚も辞さないという発言は出ていたもの
だ。
出演は、2006年2月紹介『ニュー・ワールド』ではアメリカ
先住民の娘ポカホンタスを演じていたクリオンカ・キルヒャ
ー。南米インディオの血を引くが、ドイツ生まれでハワイで
育ったという女優に、演じた2つの役柄でのイギリスにおけ
る待遇の違いはどのように感じられただろうか。
他には2011年1月紹介『トゥルー・グリット』などのバリー
・ペッパー、2009年11月紹介『フォース・カインド』などの
ウィル・パットン。さらに2007年11月紹介『フローズン・タ
イム』などのショーン・エヴァンス、2005年3月紹介『ラヴ
ェンダーの咲く庭で』などのジミー・ユィールらが脇を固め
ている。
因に、原題の途中に入っている記号はハワイ語にある声門閉
鎖音で、Unicodeでは(&#×02bb;)となる。これは僕のPC
のWordは表示できなかったが、Excelでは書けたようだ。

『グスコーブドリの伝記』
1933年に37歳で亡くなった宮沢賢治がその死の前年に発表し
た短編童話のアニメーション映画化。その映画化に、監督・
脚本杉井ギサブロー、キャラクター原案ますむらひろしらの
1985年『銀河鉄道の夜』のスタッフが再結集した。
物語は、前半では山間の農作地を襲った冷害などによる飢饉
の様子が、口減らしや人身売買などの当時は実際に行われて
いたのであろう厳しい現実を思わせる展開も含めて、ややメ
ルヘンに描かれる。
また中盤では、てぐす工場やオリザ畑での出来事が描かれ、
主人公はイートハーブ市へと導かれる。さらに後半では、ク
ーポー博士との巡り合いや火山局での出来事が描かれ、主人
公の最後の決断へ続いて行く。
その物語は、主人公の行動に関してはほぼ原作の通りのもの
で、台詞なども原作に書かれたままのようだ。ただし、主人

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05月20日(日)
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