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On the Production
by 井口健二
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■汚れた心、サニー 永遠の仲間たち、スープ、プレイ/獲物、愛の残像/灼熱の肌、ダーク・シャドウ、臍帯、MIB3
ティックな展開が描かれる。そしてそれは映画の真骨頂とも
言える素晴らしいものになっていた。特に校門での25年間の
入れ替わりを描いたシーンは見事なものだ。
出演は、主人公のナミ役に2004年8月紹介『酔画仙』のユ・
ホンジョ。韓国テレビで人気女優の映画出演は先の紹介作品
以来だそうだ。他に、2002年6月紹介『銀杏のベッド』など
に出演のジン・ヒョン、2006年7月紹介『グエムル』などに
出演のコ・スヒ。
さらに10年ぶりの芸能界復帰というホン・ジニ。役柄は彼女
のために用意されたものだそうだ。また『銀杏のベッド』な
どにも出演のミュージカル女優のキム・ソンギョンなど。
その女優たちに対する25年前の配役は、ドラマ『ファン・ジ
ニ』などのシム・ウンギョン、ドラマ『ドリーム・ハイ2』
などのカン・ソラ、2009年の映画『キングコングを持ち上げ
ろ!』などのキム・ミニョン。
さらに本作で映画デビューのパク・チンジュ、2010年の映画
『悪魔を見た』などのナム・ボラ、ドラマ『風の絵師』など
のキム・ボミ、本作で映画デビューのミン・ヒョリンらの若
手女優が集結している。
脚本と監督は、2008年のデビュー作『過速スキャンダル』が
韓国で830万人動員を記録したカン・ヒョンチョル。本作は
その2作目で、前回紹介『依頼人』のソン・ヨンソン監督と
並んで昨年の韓国映画を席巻した作品3作以下の監督の1人
とされているようだ。
小道具だけでなく、照明や色彩のコントラストなどで25年の
隔たりを巧みに表現した映画美術及び技術の素晴らしさも評
価に値する作品だった。
『スープ』
不思議研究所主宰・森田健の著作『生まれ変わりの村』に基
づいて描かれたこの世とあの世、それに来世を繋ぐ物語。
主人公はベテラン営業マンの中年男性。しかし最近の成績は
芳しくなく、後輩女性に長年の取引先も奪われそうになって
いる。しかも家庭では妻と離婚し、一緒に暮らす娘はそれを
根に持っているのかあまり会話もしてくれない。
そんな主人公が出張先で不慮の死を遂げ、後輩女性と共にあ
の世に送られるのだが。そこは天国でも地獄でもなく、ただ
来世に向かうまでの間を過ごすだけの場所。そして来世に行
くには、生まれ変わるための「忘却のスープ」を飲まなくて
はならなかった。
しかし主人公には前世に残した思いが強く、特に娘と仲違い
したままの死だったことが悔やまれ、何とか記憶を残したま
ま来世に行きたいと考える。そして後輩女性と共にその方法
を探す主人公に有力な情報がもたらされるが…
あの世の設定は上記の原作に基づくようで「忘却のスープ」
もその中にあるものだそうだ。さらに原作には前世の記憶を
持つ人も登場し、本作の主人公の行動もそれに倣ったものに
なっている。
そしてその設定の中で、主人公の娘に向けた思いの物語が描
かれて行く。それはまあ、娘を持つ父親の身である筆者とし
ては、いろいろ考えてしまうものでもあるが、何と言うかま
あそんなものだろうという感じの物語が描かれていた。
出演は生瀬勝久、小西真奈美、古田新太、松方弘樹、3月紹
介『愛しの座敷わらし』などの橋本愛、2008年5月紹介『グ
ーグーだって猫である』などの大後寿々花、2010年1月紹介
『ソラニン』などの伊藤歩。
さらにモデル出身の刈谷友衣子と広瀬アリス、2011年7月紹
介『天国からのエール』など野村周平らが出演している。
脚本と監督は、2006年松方弘樹主演『首領の一族』などの大
塚祐吉。製作は2011年3月紹介『それでも花は咲いていく』
などの太代眞裕が担当。
物語は典型的な3幕もので、この世とあの世と来世が各幕と
なる。ただし舞台では確立しているこの形式が映画に合って
いるかは常々疑問に感じるところだ。それは映画では繋ぎが
スムースで幕間がないから、その辺にも問題があるのかも知
れない。
実際に本作でも、1幕と3幕とでは10数年の時を隔てている
はずだが、画面ではそれがあまり感じられず、何となくドラ
マにメリハリがなくなっていた。ここではもっとしっかりと
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05月13日(日)
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