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On the Production
by 井口健二
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■ミッシングID、孤独なツバメたち、一枚のめぐり逢い、MY HOUSE、フェイシズ、フライペーパー!、Hell、ラム・ダイアリー+Sin City
姿などは、日本での経験が活かされているとも言えるし、そ
んな向上心がこれからのブラジルを支えるのかも知れない。
さらに日本でヒップホップダンスに興じていた若者が、祖国
のスラム街ファヴェーラで子供たちを集めてチームを作り、
それで世界大会に出場し日本に凱旋する夢を語ったり、また
日本に残した恋人を想う姿などは、様々なドラマも感じさせ
るものだ。
しかも彼らが、日本やブラジルに帰ってからの苦労を、祖先
がブラジルに渡った頃の苦労に比較して話す姿は、今の日本
人に一番失われてしまったものがそこに息づいている感じも
抱かせた。

『一枚のめぐり逢い』“The Lucky One”
2004年11月紹介『きみに読む物語』などのニコラス・スパー
クス原作小説の映画化。
物語の始まりは中東と思われる戦場。そこで主人公は女性の
写った1枚のスナップ写真を拾う。それは瓦礫の中で日光を
反射して彼の目に止まったものだが、それを拾いに行った彼
の直前までいた場所が爆撃され、彼は九死に一生を得る。
そしてその後も彼に幸運をもたらした1枚の写真を胸に帰国
した主人公は、その写真の主を求めて町々を訪ね歩き、遂に
その女性の所在を突き止めるが…。バツ1でシングルマザー
の彼女にその事実を告げる機会を失ってしまう。
それでも胸に秘密を抱えたまま女性の経営する犬の訓練施設
で働き始めた主人公は、徐々に彼女との生活にも魅かれて行
く。しかしそこには様々な障害も待ち受けていた。
スパークス原作の映画化は、1999年の『メッセージ・イン・
ア・ボトル』以来数々観ているが、まあ正直に言ってメロド
ラマの典型。ベストセラーや大ヒット映画の理由は判るが、
それが僕の琴線に触れることは中々無かった。
しかし本作では、プロローグの戦闘シーンに始まって、写真
に秘められた謎の設定などが他の作品よりは面白く感じられ
たもので、それなりに楽しんで観ることが出来た。ただしラ
イヴァルとの絡みなどは多少やりすぎかなとは感じたが。
主演は、2011年12月紹介『ニュー・イヤーズ・イブ』などの
ザック・エフロンと、サイトでは2005年7月15日付の第91回
などで製作情報を紹介し、2011年に全米公開された“Atlas
Shrugged”などに主演の新進女優テイラー・シリング。
他に、2011年10月紹介『宇宙人ポール』などのブライス・ダ
ナー、同年2月紹介『キラー・インサイド・ミー』などのジ
ェイ・R・ファーガスン、数多くの人気シリーズにゲスト出
演している子役のライリー・トーマス・ステュアートらが脇
を固めている。
脚本は2011年6月紹介『リメンバー・ミー』のウィル・フェ
ッタース。監督はオスカー候補になった1996年『シャイン』
や、2007年8月紹介『幸せのレシピ』などのスコット・ヒッ
クスが担当した。

『MY HOUSE』
今月初めにドキュメンタリーの『モバイルハウスのつくりか
た』を紹介している建築家・坂口恭平の原作をドラマ化し、
2010年4月紹介『BECK』などの堤幸彦が監督した作品。
脚本は、堤演出のテレビドラマ『スシ王子!』などの佃典彦
が担当した。
元々監督が2007年に雑誌に載った建築家の紹介記事を見て映
画化を思い付き、その後は建築家自身にも会って5年掛けて
作り上げた作品。その間に堤監督は『銀膜版スシ王子!』や
『20世紀少年』3部作なども撮っており、その裏でしっかり
練られた作品のようだ。
物語は、名古屋の公園に小屋を建てて生活しているホームレ
スが主人公。その小屋は追い立てが来れば何時でも分解して
移動できるようになっており、映画は1台の自転車で運んで
きた部品で小屋を組み立てるシーンから始まる。
そんな主人公が金を稼ぐ手段は空缶集め。毎日朝夕4時間づ
つを掛けて町を巡り、放置された空缶などを回収している。
そして集めた空缶はアルミ相場なども参考にして回収業者に
持ち込み、日々の稼ぎを得る。
そんな主人公の周囲には素性の不明な女性や画伯と自称する
老人、さらに元は教師という男性らがホームレスとして暮ら

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04月22日(日)
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