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On the Production
by 井口健二
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■苦役列車、ジョルダーニ家、グレイヴ・E、ジョイフル♪ノイズ、彼女について知ることのすべて、ブライズM、王朝の陰謀、白い指+Carrie
のメロドラマ的な展開に唖然とさせられた。しかしその後に
は、イタリアが関っている国際紛争の問題や、難民問題、さ
らにそこに巣くう社会問題なども描かれ、さすがという感じ
の作品になっていた。
また家族の老齢化の問題なども描かれ、むしろ今の日本人に
は、本作の方が『輝ける青春』より判り易いだろうとは思わ
れる作品だ。特に次男が再開発に関る孤児院の跡地に描かれ
る問題は心に響くものがあった。
出演者は、イタリアのテレビで活躍する俳優が中心のようだ
が、中には2010年2月紹介『ドン・ジョヴァンニ』に出演の
ロレンツォ・バルッチとエンニオ・ファンタスティキーニ、
2010年9月紹介『シチリア!シチリア!』に主演のフランチ
ェスコ・シャンナらが脇を固めている。
監督は、ヴェネチア映画祭の出品歴などがあるジャンルカ・
マリア・ダヴァレッリが担当した。
『グレイヴ・エンカウンターズ』“Grave Encounters”
「墓場の遭遇」と題された超常現象の真相を探る番組のスタ
ッフが遭遇したという設定のPOVによるフェイクドキュメ
ンタリー。
その調査の対象は1895年から1960年まで運営されていたとい
う精神病院跡の廃虚。そこでは精神医学の発達する以前にか
なり過激な治療も行われていたという。そして1940年代には
ロボトミー手術も頻繁に行われていたようだ。
さらにそのロボトミー手術を率先していた医師が、反抗した
患者グループに惨殺される事件も発生したという。そんな廃
虚に24時間の予定で撮影隊が入り、要所に定点カメラも設置
し、さらに手持ちカメラで撮影が開始される。そして惨劇が
始まる。
映画では、プロローグにプロデューサーと称する男性が登場
し、局に送られてきたヴィデオだという解説が付けられる。
しかもその第6回だと言うのだが…。
僕の映画を観る時の態度としては、基本的に物語の整合性が
気になる質と言える。その目で観ていると、本作のような作
品はかなり気分が退いてしまうものだ。それは例えば番組と
して編集されているという設定なのに、途中でやらせが暴露
されているとか。
また、局にヴィデオが送られてきたのなら定点カメラのヴィ
デオの回収などの経緯もあるはずだが、本作ではその辺もウ
ヤムヤにされたまま。これは2月紹介『アポロ18』もそう
だったが、その辺の詰めの甘さは感じてしまうところだ。
因に、僕の中では評価の高い『●REC』でも回収の経緯は
示されないが、あの作品では最初から番組などという説明も
されないもので、その辺を割り切っているところがうまいと
も言える。
つまりわざわざプロローグを付けているところが考えの浅さ
でもあるし、その辺が詰めの甘さとも言える。それに、上記
のやらせの暴露などは単なる思いつきの最たるところとも言
えるものだ。
ただし本作では、上記の点を除けば恐怖シーンの演出などは
比較的しっかりと作られていた感じで、特に挿入されるアー
カイヴ映像などは良く出来ていた。またVFXなどもそれな
りに巧みだった感じだ。
その辺では、こちらはサイトにはアップしなかったが、昨年
8月頃に試写の行われた“The Speak”などよりはしっかり
していた。ただし8月の作品ではヴィデオ回収の経緯はちゃ
んとしていたが。
脚本と監督はザ・ヴィシャス・ブラザース。彼らはミュージ
ックヴィデオ出身のようで、その片割れは、過去にYouTube
で削除されるまでに300万アクセスを記録したという問題映
像の制作者だそうだ。
『ジョイフル♪ノイズ』“Joyful Noise”
2003年2月紹介『シカゴ』でオスカーにノミネートのクイー
ン・ラティファと、1980年公開『9時から5時まで』などの
ドリー・パートンの共演によるゴスペルコーラスを主題にし
た音楽映画。
背景は現代。ジョージア州の小さな町パカショーは不況の中
で衰退していた。そんな町の唯一の希望は町の教会の賛美歌
コーラスが全国大会で優勝すること。しかしその夢はいつも
州大会までで、コーラス団の存亡も取り沙汰されている。
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04月15日(日)
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