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On the Production
by 井口健二
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■虹色ほたる、宇宙戦艦ヤマト2199、ミッドナイト・イン・パリ、私の叔父さん、ソウル・サーファー、ベイビーズ、ロボット+製作ニュース
今回も辟易させられた。でもこれは単にオリジナルを踏襲し
ているだけであって、今の制作者たちに特別な考えなどはな
いのだろう。
その物語はオリジナルと殆ど変わっておらず、当時は拙速で
言葉の足りなかった部分が、今回はちゃんと埋められている
感じだ。ただ、戦艦大和を母体とする意味などはオリジナル
の方がちゃんと説明されていたような気がしたが、覚え違い
だろうか。
いずれにしても、総監督を務める出渕裕を始めとする今回の
クリエーターたちが最大のリスペクトを払って本作のリメイ
クに当っていることは間違いない。それはエンドクレジット
に宮武一貴や加藤直之の名前がある辺りでも感じられた。
なおシリーズは各25分で上記のように全26話で構成され、上
記した第1章の公開後は、4話ずつを6章に分けて順次イヴ
ェント上映(第2章は6月30日公開)する計画。テレビ放送
はその計画の終了後の2013年以降に考えているとのことだ。

『ミッドナイト・イン・パリ』“Midnight in Paris”
先週受賞式の行われたアメリカアカデミー賞で、ウッディ・
アレンが脚本賞と監督賞の候補になり、1987年の『ハンナと
その姉妹』以来の脚本賞に輝いた作品。
主人公はアメリカではそこそこの人気もある脚本家。しかし
彼自身の夢は小説家になること。そんな主人公が、婚約者と
その両親と共にパリに観光にやってくる。そして一目でその
街が好きになった主人公は、ここが自分の居場所だとの感覚
を抱く。
そんなある夜、街を1人彷徨った主人公がとある街角で午前
0時の鐘の音を聞いたとき。彼の目前に現れたのはピカピカ
に磨かれた箱形のプジョー。その乗客たちからパーティに誘
われた主人公は、そこで思いも寄らない体験に遭遇する。
登場するのは、コール・ポーター、ゼルダ&スコット・フィ
ッツジェラルド、ジョセフィン・ベイカー、ファン・ベルモ
ンテ、アーネスト・ヘミングウェー、ガートルード・スタイ
ン、パブロ・ピカソ、ジューナ・バーンズ、サルバドール・
ダリ。
さらに、ルイス・ブニュエル、マン・レイ、T・S・エリオ
ット、アンリ・マティス、アンリ・ド・トゥルーズ=ローレ
ック、ポール・ゴーギャン、エドガー・ドガ。そして1人の
女性の登場が彼に重大な決意を促す。
アレン自身は、脚本家及び映画俳優としてデビューを飾った
1965年『何かいいことないか小猫チャン』の撮影でパリを訪
れた際に、この街に魅了されたのだという。それはちょうど
本作の主人公と同じ気分だったようだ。
しかし多くの映画の関係者がそのままパリに留まったのに対
して、ニューヨークっ子の彼は帰国してしまった。そのこと
を今でも悔いているのだそうだ。そんなアレンのパリに対す
る尽きせぬ想いが素敵なファンタシーになって観客に提示さ
れている。
出演は、主人公を2010年12月紹介『幸せの始まりは』などの
オーウェン・ウィスンが演じる他、キャシー・ベイツ、エイ
ドリアン・ブロディ、カーラ・ブーニ、マリオン・コティヤ
ール、レイチェル・マクアダムス、マイクル・シーンらが共
演。
まさに珠玉のパリ賛歌という感じの作品だが、そこに甘辛い
人生への教訓が含まれているのも、ウディ・アレンならでは
のものだ。

『私の叔父さん』
2006年12月紹介『棚の隅』の原作者・連城三紀彦が直木賞を
受賞した短編集「恋文」に収められた作品の映画化。叔父と
姪という世間的には禁忌とされる恋愛を巡って18年の歳月が
様々な想いを描いて行く。
物語の発端は現代。主人公はカメラマンとして活躍する中年
の独身男性。その男性の家に彼の姉の孫で男性の孫姪に当る
少女が大学受験のため逗留した最後の日、少女は主人公に向
かって「叔父さん、母さんのことが好きだったでしょう。証
拠もある」と言い出す。
その証拠とされる5枚の写真に隠されていた秘密とは…そし
てその少女が取った意外な行動は…。主人公の胸に18年前の
日々が去来し、その想いは主人公にとある決断を求めること
になる。

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03月04日(日)
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