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On the Production
by 井口健二
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■マンイーター、ルート・アイリッシュ、父の初七日、それぞれの居場所、アーティスト、テイク・シェルター、アポロ18、イップ・マン誕生
さらにクルディスタン出身ミュージシャンのタリブ・ラスー
ルと、実際にイラクで活動中の戦闘で失明、現在はヨーロッ
パ盲人サッカー選手権のイギリスチームに所属しているとい
うクレイグ・ランドバーグがぼぼ自身の役を演じている。
僕は、この作品を観るまでこの題名の言葉にこのような意味
があること知らなかったし、映画に登場するOrder 17という
言葉に関しても無知だった。さらにこのような違法行為がイ
ラクで行われているということもほとんど知らなかった。
しかしこれは現実であって、このような違法行為にイギリス
人も我々日本人も加担しているのだ。これもまた、1月紹介
『誰も知らない基地のこと』で語られた産軍共同体の一環と
言えものなのかも知れない。
そしてその現実を知ったときに主人公が採った行動こそが、
今我々に求められているものを象徴しているのだろう。そん
な監督のメッセージも感じられた。
『父の初七日』“父後七日”
父親が亡くなって出棺までの7日間を描いた台湾映画。
元々は昨年春に公開予定だったが、震災の影響で公開が延期
されていた作品。その作品がようやく3月3日から公開され
る。個人的には昨年3月には試写会場まで行ったが、試写が
中止されて観ることのできなかった作品で、その作品をよう
やく観られたものだ。
主人公は台北で働いている女性。その女性に突然父親の訃報
が届く。そして台中の田舎町に帰ってきた女性は、その町で
父と共に暮らしていた兄と共に葬儀の準備を始めるが…。そ
れは宗教に基づく7日間にも及ぶ混乱の始まりだった。
葬儀がテーマの作品は、1984年『お葬式』や2008年6月紹介
『おくりびと』、さらに中華圏では2003年3月紹介『ハッピ
ー・フューネラル』などいろいろ公開されているが、本作は
儒教に基づく台湾でのお話。
僕自身が3年前に父を亡くして、その際には一応喪主として
葬儀を行ったが、通夜と告別式の2日間はただ葬儀社の人の
指示にしたがっているだけで、感情や涙もほとんど湧いてこ
なかった気がする。
それがある切っ掛けで涙が出始めたら、それからは本当に止
まらなくなってしまった。そんな思いを経験している者とし
ては、本作の主人公の心情は理解できた。ただし台湾式の葬
儀というのは尋常ではないもので、これは大変だ、という感
じもしたものだ。
出演者はほとんどが新人だが、父親役はジャッキー・チェン
の相手役などでも知られるタイ・パオが演じている。また主
演のワン・リーウェンは脚本家としても活躍中。さらに共演
のウー・ポンフォンとジャン・シーインは本作の演技で助演
賞を受賞したそうだ。
脚本と監督は、ワン・ユーリンとエッセイ・リウという2人
の共同で、この内のワンはすでにドキュメンタリーの実績が
あるようだ。一方の原作も提供したリウはジャーナリストで
本作がデビュー作、ただし今後は監督を続ける気持ちはない
とのこと。因に散文で書かれた原作では台湾の文学賞を受賞
しているそうだ。
『季節、めぐり それぞれの居場所』
2010年に『ただいま それぞれの居場所』という作品で文化
庁映画賞を受賞している大宮浩一監督による新作。3・11後
の状況も含めた日本における介護の現状を描いたドキュメン
タリー。
介護という言葉には、自分の置かれている状況からまず老人
介護の問題を考えてしまったが、介護の現場はそれだけでは
ない。心身に障害を持つ人たちの介護もここには含まれる。
そんな様々な介護の問題が描かれる。
作品では、千葉県で若者が立上げたNPO法人が運営する宅
老所、埼玉県の老舗の福祉施設、千葉県のNPOが運営する
デイサービス、また雪深い青森県のデイサービスセンターな
どが紹介される。
そこではそれぞれに高齢者の介護の様子や、働き盛りで障害
者になってしまった父親を見守る家族の姿、また様々な経歴
で介護の現場に携わるスタッフたちのそこに至った心情など
が紹介される。
そしてさらに作品は震災後の東北地方に目を向け、岩手県宮
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02月26日(日)
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