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On the Production
by 井口健二
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■へんげ、夢の教室、FLY!、幸運の壺、ヤング≒アダルト、トテチータ、スーパー・チューズデー、ももへの手紙、僕達急行
子が丁寧なカメラワークで撮影されている。
監督は、ピナの本拠地であるヴッパタール在住のアン・リン
セル。芸術と文化のジャーナリストであり評論家でもある監
督は、ピナが1973年に舞踊団に来たときからの親交で、過去
にも何度も密着取材をしたことがあり、その信頼関係がこの
作品を生み出している。
なお、ヴェンダース作品にも写し出されていたヴッパタール
名物のモノレールが随所に登場しているのも、僕には嬉しか
ったものだ。

『FLY!〜平凡なキセキ〜』
大阪の朝日放送と吉本興業の共同製作で、昨年3月に開催さ
れた第三回沖縄国際映画祭の長編プログラム・Peace部門に
出品された作品の一般公開が決定し、マスコミ向けの試写が
行われた。
物語の背景は下町の町工場。そこに働く主人公は、身体はで
かいがあまり風采の上がらない男。彼はその町工場の経理で
働くシングルマザーの女性に憧れを持っているが、その胸の
内を話したことはない。
そんな主人公が数合わせで誘われた草野球の試合中。飛球を
追って入った草叢で何やら銀色に光る不思議な物体を発見す
る。それは緑色の顔をした宇宙人の乗った宇宙船だった。し
かも負傷している宇宙人を主人公は自宅に連れて行くが…
吉本興業の作品なので基本はお笑いだが、昨年10月紹介『宇
宙人ポール』ほどのマニアックではないものの、それなりに
壺を押さえた民間人による接近遭遇のお話が展開される。そ
こに町工場の同僚や町の人々が絡んで騒動になるものだ。
そして宇宙人の存在が、主人公とシングルマザーの関係にも
微妙に絡んでくる。
主演は、現吉本新喜劇の座長を務める小藪千豊。共演は、相
武紗季、温水洋一、本仮屋ユイカ、笹野高史、池乃めだか、
関西のテレビで活躍のなるみ、西田敏行、大杉漣。他に吉本
の若手芸人がいろいろ出演している。
監督は、朝日放送「探偵!ナイトスクープ」などを担当する
ディレクターの近藤真広による初長編作品。脚本は、2005年
『サマータイムマシン・ブルース』などのヨーロッパ企画の
上田誠と山脇唯が担当した。
映画の後半でアクションが絡み始めるとテンポも良くなって
くるが、前半は多少映画としてはテンポが緩い感じがする。
ただそれぞれのシーンはそれなりの伏線になっているから切
り難かったとは思えるが、ここはもう少し整理した方が良か
ったと思う。
特にこれらのシーンでは若手芸人たちの話芸に頼っている感
じもするが、それもちゃんとシナリオを用意して演出を施す
べきだった。それはまあ、芸を見せたい芸人たちとの鬩ぎ合
いにはなりそうだが。
お話は悪くはなかったし、この感じでまた観たいものだ。

『幸運の壺 Good Fortune』
大阪の日本テレビと吉本興業の共同製作で、昨年3月に開催
された第三回沖縄国際映画祭の長編プログラム・Laugh部門
に出品された作品の一般公開が決定し、マスコミ向けの試写
が行われた。
主人公は売れない俳優。学生時代は監督主演の自主製作映画
で評価されたようだが、今は短い台詞も噛みまくって仕事も
少なくなっている。その原因には、彼の生活を支える一方で
過大な要求をし続ける鬼嫁の存在もあるようだ。
そして主人公は保険の掛った妻の事故死も夢見るが…、「自
宅でそんなことが起きたらまず夫が疑われる」と俳優仲間か
らは釘を差されてしまう。こんな状況で帰宅した主人公にマ
ンションの女管理人が「幸運の壺」を押しつけたその夜、何
と事故が発生する。
斯くして妻の死体を前にした主人公は、仲間の発言を思い出
しその死体を密かに始末しようと考えるが、そこにマンショ
ンの管理人や主人公の妹とその同棲相手や、妻の父親まで現
れて主人公の行動は妨害され続け…。
目の前で事故死した遺体を何とか隠そうとするお話は、シチ
ュエーションコメディの定番みたいなもので昔からいろいろ
あり、これはその一編という感じのものだ。でまあ擽りは現
代風にアレンジされていて、それなりに面白く観ることはで
きた。

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02月05日(日)
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