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On the Production
by 井口健二
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■AKB48、SHシャドウ・ゲーム、最高の人生を、第九軍団の、コーマン帝国、ファミリー・ツリー、種まく旅人、ドラゴン・タトゥー+Riddick
6月に紹介『ザ・ウォード』などのジャレッド・ハリスと、
2009年10月紹介『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』な
どのノオミ・ラパス。
他に、前作に続いてのレイチェル・マクアダムス、ケリー・
ライリー、エディ・マーサン。さらに2005年7月紹介『銀河
ヒッチハイク・ガイド』などの出演者で、作家・監督でもあ
るスティーヴン・フライらが脇を固めている。
前作と同様、ホームズとワトスンの掛け合いなどはユーモア
たっぷりで笑わせてくれるが、その一方で、第1次世界大戦
前のヨーロッパの緊張感などもかなりシビアに描かれ、さす
がイギリス人監督の作品という感じのものになっている。
モリアーティ教授の登場や、アイリーン・アドラーの存在な
ど、正にシャーロック・ホームズのクライマックスという感
じの作品だ。
『最高の人生をあなたと』“Late Bloomers”
2007年10月紹介『ぜんぶ、フィデルのせい』のジュリー・ガ
ヴラス監督の第2作で、イザベラ・ロッセリーニとウィリア
ム・ハートを主演に迎え、老境に差し掛かった夫婦の機微を
描いた作品。因に前作は原作付きだったが、今回は自らのオ
リジナル脚本のようだ。
物語の舞台はロンドン。イタリアから来て建築家の夫と巡り
合い、結婚生活30年で3人の子供にも恵まれた元教師のメア
リーは、成功した夫が名誉ある受賞を果たしたその受賞式の
最中にふと不安に襲われる。
その不安は何の根拠もないものだったが、現在の生活がいつ
まで続けられるのか、自分の老後のことなど、考えれば考え
るほど不安は募って行く。そして相談した医師の勧めでスポ
ーツクラブに行ってみたりもするるが、それは若くない自分
を自覚するだけだった。
一方、夫は革新的な公共施設の建築で成功を納めていたが、
その彼に次に指示されたプロジェクトは老人ホームの建設。
しかしそれに納得できない彼は、事務所の若い連中が進める
プロジェクトに参加してみるが…
年齢に沿って老後のことを考え始めた妻と、いつまでも夢を
見ながら新たな挑戦を続けようとする夫。そんな2人の間に
少しずつ波風が立ち始める。自分と妻もこの夫婦と同じくら
いの年頃だから、まあいろいろな意味での共感はしきりの作
品だった。
因に監督は、父親のコスタ・ガヴラス監督が各地の映画祭で
回顧上映と共に迎えられるのを観て、本作の物語を思い付い
たそうだ。従ってアイデア段階は、父=夫の側だったと思う
のだが、完成された作品は何となく妻寄りでそんなものかな
あとも思ってしまった。
なお原題の直訳は「遅咲きの花」だが、これは成熟を意味す
る暗喩でもあるそうだ。そんな老境を迎えた妻の姿が描かれ
ている。
イザベラ・ロッセリーニは、1986年デヴィッド・リンチ監督
作品『ブルー・ベルベット』で、妖艶という言葉はこの人の
ためにあるのだとも思わせてくれたものだが、そんな彼女が
首の弛みを気にするシーンには、自分もそれだけ年を取った
ことを実感させられた。
僕の年代には、いろいろ考えさせられてしまう作品だった。
『第九軍団のワシ』“The Eagle”
紀元2世紀にローマ帝国が建設し、1987年に世界遺産にも登
録されたイギリス北部の旧跡ハドリアヌスの長城。その建設
の切っ掛けとなったとされるローマ帝国第九軍団失踪の謎を
題材として1954年に発表されたローズマリー・サトクリフ原
作の映画化。
その映画化を、2004年10月紹介『運命を分けたザイル』など
のケヴィン・マクドナルド監督が実現した。
イギリス北部に進撃した兵士5000人からなるローマ第九軍団
が忽然と姿を消したのは、西暦117年、それを脅威と感じた
ハドリアヌスはそれまでの世界征服の政策を転換し、122年
に長城を建設してローマ帝国の境と定める。
その20年後、長城警護の司令として現地に赴いた主人公は、
ブリトン人との闘いで負傷し、名誉退役を余儀なくされる。
そして彼が奴隷としたスコットランド人の若者と共に、かつ
て彼の父親が指揮し消息を絶った第九軍団の紋章を追って、
北部への旅を開始する。
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01月22日(日)
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