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On the Production
by 井口健二
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■昼下がりローマ、おとなのけんか、ジャックとジル、忘れられた夢、タッカーとデイル、51、レッド・ティアーズ、POV+Oscar/Makeup
グを除いて完全に4人だけの室内劇で、正に演技のぶつけ合
いという感じ。
因に、撮影は2週間の綿密なリハーサルの末に行われたそう
で、監督はその間に演出を完成させ、撮影ではカメラアング
ル等の撮影に専念して俳優には思う存分の演技をさせたとの
こと。そんなやりかたが見事に芝居を完成させている。
また映画用の脚色にはポランスキーとレザが共同で当ってお
り、これは万全の映画化だろう。特に舞台では再現できない
VFXを使ったシーンは、ワッやりすぎと思いながらも見事
に物語の転換点を演出していた。
それから、プロローグで物語の切っ掛けとなる少年を演じて
いるのはポランスキーの息子で、彼は父親が監督した2005年
『オリバー・ツイスト』への出演や、2007年11月紹介『潜水
服は蝶の夢を見る』では主人公の子供時代を演じていたそう
だ。

『ジャックとジル』“Jack and Jill”
アメリカではヒットメーカーだが、日本ではなかなか評価さ
れないコメディアン=アダム・サンドラー主演による2011年
11月11日全米公開の最新作。
ジャックは西海岸でCMプロダクションを興して成功してい
る実業家。その彼の家に故郷のニューヨーク・ブロンクスで
生まれ育った双子の妹ジルが感謝祭の休暇でやってくる。そ
の妹は良く言えば天真爛漫、悪く言えば相手の迷惑など全く
考えない野放図者で…
このジャックとジルをサンドラーがVFXを駆使した1人=
2役で演じ、ところ構わずやりたい放題の妹と、それに振り
回される兄を絶妙のコンビネーション(?)で演じている。
それはCGIも使って巧みに描かれたものだ。
共演は、2011年11月紹介『ダーク・フェアリー』などのケイ
ティ・ホームズ、それにアル・パチーノが本人役で登場し、
これは正に究極の怪演ぶりを見せる。他にジョニー・デップ
を始め数多くのセレブがカメオ出演しているようだ。
監督は、2003年3月紹介『ナショナル・セキュリティ』など
のデニス・デューガン。監督はテレビの『NYPDブルー』
などの他、映画ではサンドラーとも多数組んでいる。脚本は
サンドラーと彼の盟友のスティーヴ・コーレンによる。
サンドラーの作品では、2006年8月紹介『もしも昨日が選べ
たら』や同年3月紹介『ロンゲスト・ヤード』などは認める
のだが、本作のようなシチュエーション・コメディ路線のも
のはなかなか評価しづらい。
それは、特に笑いが下ネタになるのが僕を退かせてしまうと
ころで、折角そこまでは心地よく笑えていたものが、何でそ
うなるの? という気分にもさせられてしまう。
でもそれがアメリカではヒットの要因なのかな、本作も11月
の公開以来すでに興行収入は7000万ドルに到達し、昨年の全
米興行成績で47位を記録している。これは9月紹介『マネー
ボール』や12月紹介『ペントハウス』に匹敵するものだ。
まあかなり強烈なユダヤ人ネタもアメリカでは受けるのかも
知れないが。

『忘れられた夢の記憶』“Cave of Forgotten Dreams”
1994年に発見され、現在はフランス政府によって非公開とさ
れている南フランス・ショーヴェ洞窟の内部を、ヴェルナー
・ヘルツォーク監督が3Dカメラで撮影したドキュメンタリ
ー作品。
1879年に北スペインで発見されたアルタミラ洞窟や、1940年
にフランス南西部で発見されたラスコー洞窟に並ぶ洞窟壁画
の中でも、最も古い年代(紀元前3万2000年)が測定されて
いるショーヴェ洞窟の壁画が3Dで撮影されている。
ただし許可された撮影期間は6日間、1日4時間のみ、さら
に内部に入れるのは4人まで、機材は各人が手持ちできるも
のだけという厳しい条件では、普通に考えて満足の行く撮影
は出来るはずがない。本作はそんな悪条件の中での精一杯の
作品と言えそうだ。
しかしこの壁画が一般の目に触れる機会は現状では皆無であ
り、その一部が観られるだけでも貴重な体験が得られるもの
だ。それを達成したヘルツォーク監督らの関係者にはまず敬
意を表したい。
斯くしてかなり厳しい条件で撮影された作品だが、まず何で

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01月15日(日)
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