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On the Production
by 井口健二
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■シネマ歌舞伎・天守物語/海神別荘、マリリン・7日間の恋、ヘルプ・心がつなぐストーリー+年頭挨拶・ベスト10
と、最新のメソッド・アクティングを実践しようするモンロ
ーとの対立や、夫ミラーの裏切りに悩むモンローの姿など、
セックス・シンボルと謳われた女優の真実の姿が描かれてい
る。
コリン・クラークは後にドキュメンタリーの監督としても成
功した人だそうだが、本作はそのクラークの回想録を基に制
作されている。そのモンローがスターと自分自身のギャップ
に悩んでいたのは知られるが、本作はその中で最も美しく儚
い物語と言えそうだ。
出演は、2011年1月紹介『ブルーバレンタイン』でオスカー
候補になったミシェル・ウィリアムズと2008年2月紹介『美
しすぎる母』などのエディ・レッドメイン。他にケネス・ブ
ラナー、ジュリア・オーモンド、トビー・ジョーンズ、デレ
ク・ジャコビ。
さらに『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトスン、ジ
ュディ・ディンチらが脇を固めている。因に出演者の表記で
は、主要キャストの後に、WITH ワトスン AND ディンチとな
っており、ワトスンはデーム女優と並ぶ特別扱いだった。
監督は本作が長編デビュー作となるサイモン・カーティス、
脚本は1999年のピーボディ賞受賞作『デビッド・コパーフィ
ールド』をカーティス監督と共に手掛けたエイドリアン・ホ
ッジス。
なお撮影は、『王子と踊り子』が実際に撮影されたパインウ
ッド・スタジオを始め、モンローらが宿泊したホテルや訪れ
たウィンザー城、イートン大学などで行われ、当時の撮影風
景も見事に再現されている。

『ヘルプ・心がつなぐストーリー』“The Help”
アメリカ南部を舞台に、人種差別の中でも逞しく生きる黒人
メイドたちの姿を描いたキャスリン・ストケット原作小説の
映画化。因に原作は、新人作家の作品でありながらNYタイ
ムズのベストセラーリストに103週間連続でランクインされ
たそうだ。
主人公のスキーターは、南部ミシシッピー州ジャクソンの生
れの白人女性。幼い頃は黒人メイドに育てられ、彼女のこと
を実の親のように慕っていた。そんな主人公は東部の大学に
進学し、作家を志望して出版社への就職を目指すが、果たせ
ず故郷の町に帰ってくる。
そして応募した出版社からの勧めもあって地元の新聞社に就
職した主人公は、家事コラムの担当に配属され、知人宅の家
事万端を担当する黒人メイドに執筆の協力を求める。しかし
そこで主人公は黒人メイドの置かれた悲惨な境遇を目の当り
にすることになる。
こうして元々が人種差別に反対だった主人公は黒人メイドた
ちの置かれた境遇を本にまとめることを決意し、東部の出版
社の後押しもあって取材を開始するのだが…。
映画の途中で時代を特定できる出来事があり、ああこの時代
にもアメリカではまだこんなことが行われていたのだ…とい
う思いにさせられた。それはちょうど僕らがアメリカ文化の
恩恵に浴していた時代であり、その陰で人種差別はまだ厳然
と行われていたのだ。
そんな思いにも捉らわれた作品だったが、映画は辛辣なユー
モアや暖かい人情味に溢れ、全米の興行成績では第2位の初
登場から翌週1位にランクアップし、3週間で1億ドルを突
破したというのも頷ける作品になっている。
出演は、主人公に2010年5月紹介『ゾンビランド』などのエ
マ・ストーン、彼女はこの後に“The Amazing Spider-Man”
のグウェン・ステイシー役が控えている。
他に、2008年12月紹介『ダウト』でオスカー候補のヴァイオ
ラ・デイヴィス、2009年3月紹介『路上のソリスト』などの
クタヴィア・スペンサーらがメイド役で共演。
さらに、2007年4月紹介『スパイダーマン3』でグウェン役
を演じたブライス・ダラス・ハワード、前回紹介『英雄の証
明』のジェシカ・チャスティン、シシー・スペイセク、メア
リー・スティーンバージェンらが脇を固めている。
また老メイド役のシシリー・タイソンは、映画にも登場する
昼ドラ“Guiding Light”に初めてレギュラー出演した黒人
女優だそうだ。
脚本と監督は、長編作品は2作目だがその前に撮った短編が

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01月01日(日)
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