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On the Production
by 井口健二
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■ワイルド7、わが母の記、顔のないスパイ、ピープルvs.GL、ビーストリー、幕末太陽伝、メランコリア、ウォーキング・デッド+Oscar/VFX
『落語娘』などのミムラ、2010年『森崎書店の日々』などの
菊池亜希子。
また、昨年2月紹介『RAILWAYS』などの三浦貴大、ハロプロ
出身の真野恵里菜らが脇を固めている。それと三國連太郎が
不思議な役柄で登場していた。
なお本作は今年のモントリオール世界映画祭でプレミア上映
されて審査員特別グランプリを受賞した他、釜山国際映画祭
のクロージング作品にも選ばれている。

『顔のないスパイ』“The Double”
2008年『ウォンテッド』や2009年6月紹介『3時10分、決断
のとき』などを手掛けたマイクル・ブラントとデレク・ハー
スのオリジナル脚本で、ブラントが監督デビューを果たした
作品。
物語の発端は、アメリカの対ロシア政策にも関わる要人の暗
殺。その手口はすでに死亡したはずの旧ソビエトの伝説的殺
し屋カシアスの犯行と同じだった。そこで当時そのカシアス
を追い詰めることに功績のあった元CIAのエージェントが
呼び戻される。
そのエージェントが出席した会議では、若いFBIの捜査官
によるカシアス犯人説の意見が述べ立てられる。しかし元エ
ージェントは「カシアスは死亡しており、犯行は模倣犯によ
るもの」との主張を譲らない。
そんな2人が暗殺犯追跡の任務に当たることになるが…
出演は、元CIAのエージェントにリチャード・ギア、FB
Iの若き捜査官に2007年4月紹介『スパイダーマン3』で敵
役のヴェノムを演じたトファー・グレイス。
他にマーティン・シーン、昨年10月紹介『キック・アス』に
出演のテイマー・ハッサン、今年7月紹介『プリースト』に
出演のスティーヴン・モイヤー、2009年3月紹介『ザ・スピ
リット』に出演のスタナ・カティック、2008年『クローバー
・フィールド』に出演のオデット・ユーストマン(最近アナ
ベルに改姓したようだ)らが脇を固めている。
邦題と原題を合わすと、二重スパイの話であることの予想が
付いてしまうが、さすがに新進脚本家の作品は捻りとパンチ
の利いたものになっていた。しかも冷戦時代から現代に至る
国際情勢の変化も巧みに織り込んで物語が構成されている。
ただ、劇中でシーンの演じる役柄がどこまで事情を知ってい
たのかが、多少曖昧に感じられたところで、その辺はチャン
スがあったら確認したくなった。恐らくは全て知っていたと
いう設定なのだろうと思うのだが。
なおブラントとハースの次回作は、ニューラインの製作で、
Richerd Doetsch原作による“The Thirteenth Hour”という
タイムトラヴェル物の脚色を進行中だそうだ。

『ピープルvs.ジョージ・ルーカス』
            “The People vs. George Lucas”
1977年にアメリカの若き映画監督ジョージ・ルーカスが発表
した『スター・ウォーズ』。それはある種の文化とも言える
ものになっている。しかしその文化は一体誰のものなのか、
創造者であるルーカスと、ファンの戦いが始まる。
事の発端は1997年公開の『特別篇』。この公開をルーカスは
「旧作の修復と、当時は技術的な問題で出来なかったシーン
の追加」と称したが、その他にも旧作の設定をも変えかねな
い演出の変更も施されていた。
それは、エピソード4では有名なジャバ・ザ・ハットの登場
シーンなどだが、このシーンの紹介では、オリジナルの俳優
で撮影された映像も併せて映写され、これはファンには貴重
なものになっている。
しかし問題はそこだけではなかった。その他に密かに行われ
た演出の変更では、確かにこれはファンが問題にしてもいい
と言えるものが本作の中で明らかにされている。そしてこの
シーンでも、オリジナルと変更後が一目瞭然に写し出される
ものだ。
このように本作では、ファンが問題にする『特別篇』やエピ
ソード1〜3の問題点などが映像を使って克明に紹介され、
それは今まで何となくあったこれらの作品に対するもやもや
感が、かなり晴らされるものにもなっている。
その意味ではこの作品は、『スター・ウォーズ』ファンに対
する素晴らしい贈り物ということが出来るだろう。

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12月11日(日)
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