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On the Production
by 井口健二
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■無言歌、アーチ&シパック、J・エドガー、アフロ田中、ペントハウス、一万年愛してる、ミッション:インポッシブル-GP、ピアノマニア
そして優秀な排便者にはアイスキャンデーを配給し、さらな
る排便を促すようにしていたのだが…。アイスキャンデーの
中毒性と副作用によって人々の身長が縮み知能が低下すると
いう事態が発生していた。
そんな背景の中で、主人公のアーチとシパックは輸送される
アイスキャンデーの強奪を生業とするチンピラ。そんな2人
が、猛烈な排泄を促すチップを埋め込まれた女優と出会い、
その後は彼女の争奪戦に巻き込まれてゆくことになる。
という何とも支離滅裂なお話に、『戦艦ポチョムキン』から
『インディ・ジョーンズ』、『マトリックス』など、様々な
映画作品のパロディを満載にして、とにかく見た目で楽しめ
る映画を作り上げている。
しかも、お話自体にはさほどの破綻も見られず。上記の設定
も含めてむしろ良く考えて作られている。それはSF映画と
しても楽しめるものになっていた。ただ、ここで心配になる
のは上記の副題だ。
この副題は、確かに設定のままだから仕方がないのではある
が、これが観客に拒否反応を生じさせはしないか。実際に試
写会仲間の人の中でも、題名を聞いて二の足を踏んでいる人
は居たように感じられた。
従って映画の公開までには、願わくはその拒否反応を乗り越
えるくらいのアピールが映画ファンに向けてされることを期
待したい。
『J・エドガー』“J.Edgar”
レオナルド・ディカプリオ主演、クリント・イーストウッド
監督による合衆国政界の裏側を描いた実録作品。
タイトルを観て、これがFBIの初代長官ジョン・エドガー
・フーヴァーのことだと判る人は、一体どのくらい居るのだ
ろう。アメリカならいざ知らず、日本では1月28日の公開に
向けて、これからそれを周知するために相当のキャンペーン
が必要になりそうだ。
と言うことで本作は、8人の大統領に仕え、彼らから最も恐
れられたという伝説の長官の姿を、ディカプリオが渾身の演
技で魅せてくれる作品だ。
映画の開幕は1960年代前半。すでに70歳を越えても、今だに
FBI長官として君臨するJ・エドガーは自叙伝の口述を始
めている。それは指紋のファイル化を進めて科学的捜査に端
緒を付けるなど、自らの業績を謳い上げるものだったが…
1919年、エドガーが司法省に勤務していた時、共産過激派に
よる司法長官の自宅に対する爆弾襲撃事件が勃発する。その
際、エドガーはいち早く長官の家に駆けつけ、長官の目に留
まった彼は新設された急進派対策課を任されることになる。
こうして第1歩を踏み出したエドガーは、幼い頃から彼を薫
陶してきた母親アニーや、個人秘書として生涯を共にした女
性ヘレンの支えを受けて、アメリカ合衆国の正義を守るため
に奮闘して行く。
そして最初はアル・カポネの逮捕などギャング団との対決か
ら、その後は1932年に起きたリンドバーグ子息誘拐事件など
によって、それぞれの政権からも独立した絶対的な権力を持
つFBIの長官として君臨して行くことになる。
共演は、ジュディ・ディンチ、ナオミ・ワッツ、そして昨年
10月紹介『ソーシャル・ネットワーク』で主人公を訴える双
子を好演したアーミー・ハマー、昨年12月紹介『かぞくはじ
めました』のジョッシュ・ルーカスらが脇を固めている。
フーヴァー長官に関しては、機密ファイルやゲイ疑惑、女装
癖など、いろいろスキャンダラスな噂も尽きない人物だが、
イーストウッド監督とディカプリオは、それらをある種の尊
敬の念を持って描き切っている。
それは、一面からは物足りない部分もあるかも知れないが、
既に亡くなった人物に対してのこれは、正に正当な行為だと
言えるだろう。それに加えて時々の政権者たちが翻弄される
姿は痛快であったとも言える。
作品は2時間17分の長尺だが、僕には真ん中にリンドバーグ
事件が描かれるなど興味の尽きない作品だった。それにディ
カプリオらに施された70歳代の老けメイクには、オスカーの
メイクアップ賞も間違いなしと思わせるものもあった。
さらにそのメイクで熱演したディカプリオにも、オスカーの
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12月04日(日)
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