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On the Production
by 井口健二
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■Dフェアリー、運命の子、チベット犬、Lアサシン、フライ・オブD、ツィゴイネル…/陽炎座、おかえりはやぶさ、Aキングダム+Star Trek
ンシン、2007年6月紹介『クレージー・ストーン』などのポ
ン・ボーらが脇を固める。
因にこの原作は、13世紀頃には中国の雑劇としても成立し、
18世紀にフランスのヴォルテールが翻案した演劇がコメディ
・フランセーズでも上演されているそうだ。そして原作から
2600年も経て映画化されているのだから、その歴史の重みも
感じさせられる。
なおチェン監督の作品では、デビュー作の『黄色い大地』、
1993年の『花の影』、1997年の『始皇帝暗殺』などで壮大な
セットを建設し、それらはいずれも撮影後には保存されて人
気の映画村になっているそうだ。
そして本作でも、約6カ月と最大1200人の人員を掛けて4万
平方メートルのセットが建設されている。ただし今回の春秋
時代の建築物にはほとんど資料が残っていないため、その建
設には日本の建築が参考にされたとのことだ。
『チベット犬物語〜金色のドージェ〜』
2009年7月紹介『サマー・ウォーズ』など手掛けるアニメ制
作会社マッドハウスが、中国最大の映画会社・中国電影集団
と組み、中国政府公認による初の共同制作を行った作品。中
国でベストセラーになっているという原作からの映画化。
チベット犬は、正式にはチベッタン・マスティフ。成犬では
体高80cm、体重100kgにも及び、世界の大形犬の原種とも言
われるもので、希少種だが中国セレブの間ではステイタスシ
ンボルにもなっているそうだ。
そんなチベット犬だが、本作ではその本来の姿が描かれる。
物語の主人公は、漢民族とチベット民族の血を引く少年。母
親と都会で暮らしていたが、その母親が病死してチベット高
原に暮らす父親の許にやってくる。その父親は高原で医療に
携わっており、少年には病気の母を助けに来なかった恨みが
ある。
そして高原での暮らしにも慣れない少年は、近所の悪餓鬼の
餌食になり掛けたりするが、ある日、羊の見張り中に熊に襲
われたところを何処からともなく現れた大形犬に救われ、地
元の犬たちとの闘いで傷ついた犬との友情も生まれ始める。
ところがそんな高原に悪魔のような殺りくを繰り返す謎の存
在が出没するようになり…
アニメーションのキャラクター原案を『20世紀少年』などの
浦沢直樹が手掛け、監督は、浦沢原作の『MONSTER』なども
制作した小島正幸が担当している。また脚本は『T,R.Y.』で
横溝正史賞受賞のミステリー作家・井上尚登が脚色を手掛け
ている。
声優は、2010年12月紹介『ウルトラマンゼロ』などの濱田龍
臣、他に筧利夫、平幹二朗。さらに山像かおり、桑島法子ら
の声優陣が脇を固めている。そして主題歌を、チベット民族
で『レッドクリフ』なども担当したalanが歌っている。
「羅刹」と呼ばれる殺りくを行う謎の存在が、自然界の物か
超常的なものなのか、その辺が明白でなく。そこまでのそれ
なりにリアルな描き方からは、何となく違和感が生じてしま
った。原作ものだから仕方がないが、それなりの説得力は欲
しかったところだ。
マッドハウスは、2009年10月紹介『よなよなペンギン』では
フランスのスタッフと組んでいたが、日本アニメーションの
力がこのように世界に活かされるのも結構な話だ。
なお、作品の鑑賞はサンプルDVDで行ったもので、巻頭タイ
トルとエンディングロールは未完で音声のみだった。
『ラスト・アサシン』“Requiem pour une tueuse”
2010年2月紹介『オーケストラ!』などのメラニー・ロラン
主演で、引退を決めた女性の暗殺者が最後に請け負った仕事
の顛末を描く作品。フランスでは今年2月公開の作品だが、
日本ではDVDでの紹介となり、サンプルを鑑賞した。
主人公は、キリスト教の司祭らの仲介で世界の要人の暗殺を
請け負う女性暗殺者。その手口は事故を装い、警察にはその
正体も掴まれていない。しかし8歳の娘を持つ彼女は、娘に
自分の職業も話せない生活に疲れ果てていた。
そしてついに引退を決意した彼女はボスにそれを告げるが、
ボスからはある秘密を教えて貰うことを条件に最後の大仕事
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11月27日(日)
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