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On the Production
by 井口健二
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■リアル・スティール、1911、ブリューゲル、ビッグバン、ゾンビ処刑人、フライトナイト、マジック・ツリーハウス、フラガール2+TIFF
『インセント・ワールド』などのリー・ビンビン。
他に、チェンの息子のジェイシー・チャンやチェンが育てた
フー・ゴー、チェンと同様にアメリカでも活躍するジョアン
・チェン。さらに2008年12月紹介『花の生涯』などのユイ・
シャオチュン、2008年『レッドクリフ』に出演のスン・チュ
ンらが脇を固めている。
またチェンの総監督を助ける実務監督には、『イノセント・
ワールド』や『レッドクリフ』などのカメラマンで、近年は
テレビドラマの演出も多数手掛けているというチャン・リー
が抜擢された。
なおジャッキー・チェンの歴史作品では、先月『新少林寺』
を紹介したばかりだが、先月の作品は1912年が舞台背景。本
作はその前年に当るもので、その雰囲気などがかなり異なる
のは、さすがに広い国のことだとも思わせる。
普段は余り耳にすることもない隣国の歴史を垣間見るという
ことでも興味を引かれる作品だった。

『ブリューゲルの動く絵』“The Mill and the Cross”
16世紀ネーデルランドの画家ピーテル・ブリューゲルにより
1564年に製作された「十字架を担うキリスト」の絵画を基に
製作された作品。この絵画に描かれたいくつもの物語が、か
なり奇想天外な手法で映画化されている。
この風変わりな作品を、1996年『バスキア』の脚本などでも
知られるポーランドのアーチストで映画作家のレフ・マイェ
フスキ監督が、共同脚本、撮影監督、音楽、サウンド・デザ
インなども兼任して作り上げた。
物語の主役は画家ブリューゲル。彼は、友人であり収集家の
ニクラース・ヨンゲリンクに渡すための大作の絵画を描いて
いる。それはゴルゴダの丘に向かうキリストの姿を描いたも
のだが、何とそれをブリューゲルは実際の風景の中で描いて
いるのだ。
そしてブリューゲルは、ヨンゲリンクの求めに応じて、収集
家が憂える16世紀ネーデルランドの現状を、聖書の物語に準
えて描いて行く。そこにはキリストや現場に居合わせて十字
架を代りに担うことになってシモン、聖母マリア、ユダなど
も登場し、最後の晩餐から磔刑までの物語が描かれる。
ただしこの物語は、本作の共同脚本にも参加しているマイク
ル・フランシス・ギブスンによる著作に基づくもので、一般
的なブリューゲル絵画の解釈とは異なるようだ。
出演は、画家役に前回『ホーボー・ウィズ・ショットガン』
とは180度異なる演技のルトガー・ハウワー、収集家役には
1976年『2300年未来への旅』などのマイクル・ヨーク、
さらに聖母マリア役に、昨年10月24日付「東京国際映画祭」
で紹介した『私を離さないで』にも出演のシャーロット・ラ
ンプリング。
キリストと兵士たちの関係や人々の日々の生活ぶりなど、絵
画の表面には現れない様々な出来事が物語として映画に描き
込まれている。それは聖書の物語を知らないと解り難い部分
もあるが、それは別にしても、CGIとVFXが可能にした
映像だけでも充分に驚嘆できる作品だ。
特に、絵画に描かれたファンタスティックとも言える巨大な
風車の内部は、メカニカルな構造の面白さもあってそれを観
るだけでも楽しめた。

『ザ☆ビッグバン!!』“The Big Bang”
アントニオ・バンデラスの主演で、『24』のトニー・クラ
ンツ監督、『バンド・オブ・ブラザース』のエリック・ジェ
ンドレセン脚本という2人のエミー賞受賞者が顔を揃えたク
ライム・アクション作品。
バンデラス扮する主人公は3人の刑事が取り囲む中で意識を
回復するが、彼は一時的に視力を失っている。そんな彼に刑
事たちは今までの経緯を話すように強く尋問を繰り返す。そ
して彼が語り始めたのは…
主人公の職業は私立探偵。そんな探偵が雇われたのは、終身
刑から突然釈放された元ボクサー。その依頼は、収監中に文
通を続けたストリッパーの女性の行方。依頼人が出所して訪
れた差出人の住所には家屋がなかったという。
こうして女性の行方を追い始めた探偵の後ろには、何故か死
体の山が築かれて行く。果たして犯人は? その魔手はやが

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10月23日(日)
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