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On the Production
by 井口健二
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■Pina、ロンドンBlv、ブラディP、指輪をはめたい、Xマスのその夜に、不惑のアダージョ、王様ゲーム、ホーボー/ショットガン+お断り
・ファレルが演じ、女優役をキーラ・ナイトレイ。
他に2009年5月紹介『縞模様のパジャマの少年』などのデイ
ヴィッド・シューリス、今年8月紹介『リミットレス』など
のアナ・フリール、さらに今年6月紹介『復讐捜査線』など
のレイ・ウイィンストンらが脇を固めている。
監督のモナハンは、2006年『デパーテッド』でオスカー脚本
賞を受賞しているが、香港ノワールをアメリカ東部に舞台を
移してリメイクした受賞作に対して、本作では原作通りのロ
ンドンが舞台とされる。
そして受賞作が男同士の物語であったのに対して、本作では
主人公の妹や女優への想いなど男女の関係が描かれる。しか
し、それでもノワールの雰囲気は色濃く残され、さしずめロ
ンドンノワールとでも呼べそうな作品になっていた。
ファレルの2面性を持った男の演技や、ナイトレイの儚さを
感じさせる女優役の演技も見事だった。

『ブラディ・パーティ』“Wir sind die Nacht”
2010年製作のドイツ製ヴァンパイア映画。なお題名は、英語
では“We Are the Night”となっているものだ。
映画は、いきなり惨劇の繰り広げられた旅客機の機内から始
まり、3人の女吸血鬼の存在が紹介される。
そして物語の主人公は、ベルリンの街でスリ稼業をしている
若い女性。彼女はポン引きから財布をスリ取るが、それは手
配中だった警察の捜査妨害となり、配備されていた刑事に追
い回されることになる。
そんな彼女が次に訪れたのは、深夜の遊園地で行われている
秘密パーティ。そのパーティは旅客機を襲った女吸血鬼たち
が主催していた。そして主人公は、リーダー格の女吸血鬼に
見初められるが…。
吸血鬼の設定は、不死だが太陽光に晒されると燃え尽きてし
まうという基本通りのもの。さすが1922年に“Nosferatu”
を生み出したドイツ映画界は、正統派で攻めてきている。し
かも現存する吸血鬼社会の設定にはかなりマニアを唸らせる
ものがあった。
その上で、主人公の風体には、鼻ピアスにタトゥーという、
2009年10月紹介『ミレニアム』を髣髴とさせるものがあった
り、展開には今年5月紹介『モールス』にオマージュを捧げ
ているようなシーンもあって、まさにマニア泣かせという感
じの作品だ。
そこにアクションやVFXも多彩だし、ベルリンという舞台
背景も、この物語には見事に調和している感じがした。
監督は、2007年『THE WAVE/ウェイヴ』という作品が高い評
価を受けているデニス・ガンゼル。実は本作の“The Dawn”
と題されたオリジナル脚本は10年以上前に執筆されたが、当
時のヨーロッパ映画はアート指向で本作のようなジャンル映
画の制作は難しかった。しかし近年のハリウッド映画の動向
やガンゼル監督自身への評価から実現した作品だそうだ。
出演は、2007年1月紹介『パフューム/ある人殺しの物語』
に出演のカロリーネ・ヘルフルト、2007年のベルリン国際映
画祭で銀熊賞受賞のニーナ・ホス。さらに2006年『素粒子』
などのジェンファー・ウールリッチ、ドイツのテレビで人気
のアンナ・フィッシャー。
因に、ヘルフルトはガンゼル監督2001年作『GIRLS★GIRLS』
に出演しており、その後に演技学校を卒業し、さらにブレイ
クしてからの再会になっている。またホスは当初からの充て
書きだったものだが、彼女は1999年にシナリオの初稿を見せ
られて以来、10年越しの約束を守ったのだそうだ。

『指輪をはめたい』
2009年8月紹介『大洗にも星はふるなり』などの山田孝之の
主演で、かなり捻った男女の恋愛事情を描いた作品。
主人公は配置薬の営業マン。人当たりが良く、成績も抜群の
彼が突然記憶喪失になる。それはスケートリンクで転んだせ
いというのだが、本人にはその記憶もない。しかし取り敢え
ずその現場で営業の鞄を取り戻した主人公は、その中に婚約
指輪を発見する。
ということは誰かに婚約を申し込もうとしていたはず。しか
し彼はその記憶も喪失していた。ところが勤務先や営業先で
3人の女性が彼の前に現れる。つまり彼は三股を掛けていた

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10月16日(日)
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