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On the Production
by 井口健二
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■永遠の僕たち、明日泣く、東京オアシス、密告者、灼熱の魂、一谷嫩軍記、エイリアン・ビキニの侵略、コンテイジョン、ラブ・アゲイン
因に本作に主演した斎藤は、自身がジャズファンであり、ま
た彼をジャズファンにした父親が映画マニアで、内藤作品に
は父親の強い要望で出演が決まったのだそうだ。
なお作品は、11月19日から東京渋谷のユーロスペースでレイ
トショウ公開されるもので、公開時には内藤監督のレトロス
ペクティヴとして特集上映なども計画され、さらに梅宮らの
ゲストによるトークイヴェントも予定されているようだ。
『東京オアシス』
2010年8月紹介『マザーウォーター』の脚本家白木朋子と、
監督の松本佳奈、それにCMディレクターの中村佳代の3人
がそれぞれ脚本を執筆し、松本が自作と白木の脚本を映画化
し、中村が自作を映画化したオムニバス作品。
自身も人生に迷っているのかもしれない女優を狂言廻し的に
配して、それぞれが都市東京の中で迷子になっている3人の
男女の姿が描かれる。
その1人目はレタスを運んでいる男性。その途中で立ち寄っ
たコンビニでも、何を買うか決められない彼が、駐車場の前
の道を走行するトラックに向かって走る女性(女優)を見つ
け、思わず彼女を止めようと駆け寄るが…
2人目は映画館で働いている女性。最後の上映が終った後、
客席を見回った彼女は、眠りこける女優を見つける。そして
女優との会話から、彼女が迷い込んだ過去の物語が語られ始
める。
3人目は動物園のアルバイトに応募してきた美大を目指す浪
人生。ツチブタの小屋の前で女優に話し掛けられた彼女は、
ツチブタは夜行性で、昼間見られるのは給餌のときだけだと
教えられるが…
タイトルには「東京」とあるが、出てくるのは郊外のコンビ
ニであったり、映画館や動物園など、途中には繁華街のシー
ンも挿入されるが、描かれるのは大都会の片隅とでも言いた
くなるような風景ばかりだ。
しかしそこは、ある種の「オアシス」であるのかも知れず、
そこを訪れた人たちには心の奥の何かが満たされ、次に向か
って行く足掛かりが得られる場所なのかも知れない。そして
女優自身も、そこから何かを得ている感じだ。
出演は、女優役に小林聡美。1人目の男性役に加瀬亮、2人
目の女性役に原田知世、そして3人目の美大生役には舞台女
優の黒木華。他に、光石研、市川実日子、もたいまさこらの
いつものメムバーが登場。音楽は大貫妙子が担当している。
一連の作品のファンには、いつものムードが存分に味わえる
作品だ。
『密告・者』“綫人”
今年3月紹介『孫文の義士団』や9月紹介『新少林寺』など
のニコラス・ツェー主演で、警察への密告者となった男の壮
絶な姿を描いた香港作品。
主人公はもう1人、香港警察気鋭の捜査官。捜査官は密告者
を巧みに操って組織犯罪の摘発に成果を挙げていたが、重要
な麻薬捜査で密告者の正体がばれ、密告者に瀕死の重傷とト
ラウマを負わせてしまう。
そんな捜査官の今回のターゲットは、台湾から舞い戻った宝
石強盗団の首領。なかなか証拠を掴ませないその首領を捕え
るため、捜査官は出獄したばかりの天才的な運転技術を持つ
男を新たな密告者に仕立て一味に潜入させる。
ところが、全てに周到な首領は仲間にも襲う宝石店の場所を
教えず準備を進めて行く。そんな中で密告者の男は、首領の
愛人の運転者として、街中の宝石店の下見に行かされるが…
これに、実は捜査官自身も負っている心の深い傷の話などが
絡まるが、それでもその展開によって物語が停滞することも
なく、壮絶なカーアクションや銃撃戦なども織り込まれた見
事なドラマが描かれる。
ツェー以外の出演者では、もう1人の主人公の捜査官役に、
2006年9月紹介『エレクション』などのニック・チョン。他
に、最初の密告者役で2006年2月紹介『SPL』などのリウ
・カイチー、またヒロイン役に台湾出身で、2002年10月31日
に紹介した東京国際映画祭の出品作品『藍色大門』で主演デ
ビューのグイ・ルンメイが共演している。
原案と監督は、2004年7月紹介『ティラミス』や2010年2月
紹介『スナイパー』などのダンテ・ラム。
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10月02日(日)
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