ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460121hit]

■マネーボール、グリー/コンサート、恋谷橋、ステイ・フレンズ、天使突抜六丁目、新少林寺、ファイナル・デッドブリッジ、クロサワ映画
という作品だが、本作はあくまでもそのコンサートのライヴ
映像という設定らしく、そのバックステージなども登場する
のだが…。そこに登場する出演者のキャラクターが番組の設
定に基づいているようで、番組を観ていないものには多少判
り難かった。
でもまあこれは、正に番組のファンのための作品であって、
ファン以外の観客は余り考慮されていないのだろうし、それ
はそれで仕方の無いところでもある。しかもそれが3Dで観
られるのは、ファンには最高のプレゼントと言えるものだ。
それにコンサートの内容もあくまで高校生の発表会という感
じで、恐らく番組中で評価の高かったのであろう楽曲を、出
演者たちが1曲ずつただ並べて披露しているだけ。そこには
特別ショウアップなどの工夫もされていない。
でもこれも、番組のコンセプトから考えれば仕方がないもの
であって、本作はあくまでも番組のファンのための作品なの
だ。ただ番組によって救われたというファンの姿などは、多
少自己満足的な感じもしたが…。
日本公開は9月23日から2週間の限定で、ファンならその間
に映画館に駆け付けるべし、という作品だ。

『恋谷橋』
毎日新聞社が後援している「スーパーシナリオグランプリ」
の第1回受賞作を原作とした映画化。
山陰の温泉地を舞台に、都会に出たものの挫折し舞い戻った
女性と、地元で父親の仕事を継ぐべく研鑽を続けているが、
そろそろ外に出て修業を積むべき時期に来ている男性。そん
な幼馴染みの男女が、寂れて行く故郷の中で自らを見つめ直
す姿を描いている。
女性は老舗旅館の女将の次女。男性はその旅館の調理場を任
されている料理長の息子。女性はデザイナーを目指し、一流
の美大を出て東京で就職したが、不況の煽りでリストラに遭
い、故郷に舞い戻ってくる。
一方の男性は、父親の下で料理の腕前も1人前になり、また
自らの創作料理への意欲もあるが、寂れ掛けた故郷を離れて
修業に出るには、そこを飛び出して行くだけの踏ん切りを付
けるものがない。そんな彼の前に彼女が帰ってくる。
バブル景気の時代を経た現在の構造不況の中で、これは正に
全国で繰り広げられているであろう若い男女の息詰まるよう
な物語が展開されて行く。その状況を如何にして打開して行
くのか…、そんな気持ちも込められた作品のようにも感じら
れた。
主演は元speedの上原多香子。共演は、昨年4月紹介『BE
CK』に出ていたという水上剣星。他に、松田美由紀、小倉
一郎、吉行和子、松方弘樹、中澤裕子、土屋アンナ、石橋蓮
司らが脇を固めている。
監督は、1978年のATG作品『正午なり』などの後藤幸一。
映画化の脚本は、元「女学生の友」の編集者という井上正子
が担当。
なお、映画化では、全国から「すっかりさびれた温泉街」が
募集され、そこに応募のあった中から鳥取県三朝温泉が選ば
れて撮影が行われている。
そこは世界屈指の泉質を誇る「ラジウム温泉」で知られてい
る温泉だそうだが、老舗旅館の立ち並ぶ温泉街の風景には、
正に郷愁を誘うものが描かれていた。それに先日観光に行っ
たばかりの鳥取砂丘も少しだけ登場したのは、個人的に嬉し
かった。
ただ物語は、かなりオーソドックスというか…。それと土屋
アンナのエピソードがそのままになってしまったのはちょっ
と物足りない感じで、その辺や他の登場人物のことももう少
し描いて、アンサンブル劇のようにしても良かったかな。そ
んな風にも感じられた。

『ステイ・フレンズ』“Friends with Benefits”
共に主演ではないが、『ソーシャル・ネットワーク』でショ
ーン・パーカー役を好演したジャスティン・ティンバーレイ
クと、『ブラック・スワン』でライバルを演じたミラ・クニ
スの共演で、恋愛に臆病になった男女の恋を描いた作品。
男性はウェブで注目を浴びたアートディレクター、女性はヘ
ッドハンター。彼女はロサンゼルス在住の男性をニューヨー
クの大手出版社にヘッドハンティングし、ニューヨークの空

[5]続きを読む

09月18日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る