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On the Production
by 井口健二
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■女の河童、ちづる、ブリッツ、ハラがコレなんで、風にそよぐ草、モンスター上司、カリーナの林檎、アンダー・コントロール+Thin Man
て、そんなシーンには切なくもなった。しかし観ている内に
千鶴さんの姿が微笑ましくもなってくる。そんな暖かさのあ
る作品だった。
なお本作は、10月にポレポレ東中野で一般公開の予定だが、
映画の配給・宣伝も全て立教大学の学生の手で行われるとの
こと。またその収益金は、東日本大震災で被災した地区に住
む自閉症児の支援に使われることになっているそうだ。
また試写会で配られた冊子は、劇場で販売されるものと思わ
れるが、そこに書かれた映画製作までの経緯には映画とは別
の感動が綴られており、それも素晴らしいものだった。

『ブリッツ』“Blitz”
ジェイスン・ステイサムの主演によるイギリスが舞台の刑事
アクションドラマ。
主人公は、サウスロンドン警察に勤務する現役の刑事。しか
し犯罪者に容赦のない主人公はマスコミの標的になることも
多く、査問に呼び出されることも度々だが、刑事部屋の仲間
の信頼は厚いようだ。
そんな彼の許には、リハビリを終えたばかりの元麻薬おとり
捜査官や、妻を亡くした同僚刑事、さらに転属してきたゲイ
の噂のある刑事などが足繁く顔を出している。彼らと別け隔
てなく接するのが彼の性分だ。
そんな折、地元の警官を狙った連続殺人事件が発生。一方、
連日主人公を槍玉に挙げているジャーナリストの許には、事
件の情報提供者と名乗る男から犯人しか知りえない内容の電
話が架かってくる。
これに対して主人公たちは、ある情報から真犯人を特定する
のだが、奴を検挙しても犯罪を立証するのには余りにも証拠
が少なかった。それでも逮捕には踏み切る主人公だったが、
言い逃れも巧みな犯人は証拠を掴ませない。
そして釈放された犯人は犯行を重ねて行くが…
ステイサムらしい身体を張ったアクションも鮮烈だし、特に
主人公が犯罪者をぶちのめして行くシーンは、幾らなんでも
やりすぎだろうとは思いつつも、卑劣な犯罪者への制裁には
容認する気持ちも生じてしまう。
そんな硬派な刑事をステイサムが好演している。
共演は、2005年6月紹介『シンデレラマン』などのパディ・
コンシダイン、2003年10月紹介『シャンハイ・ナイツ』など
のアイダン・ギレン、2006年10月紹介『氷の微笑2』などの
デイヴィッド・モリッシー、それにテレビ出身のザウエ・ア
シュトン。
監督は、CMディレクター出身のエリオット・レスター。脚
本は、アメリカ私立探偵作家クラブ賞(シェイマス賞)受賞
者のケン・ブルーウンの原作から、2010年1月紹介『月に囚
われた男』などのネイサン・パーカーが脚色している。

『ハラがコレなんで』
昨年2月に『川の底からこんにちは』という作品を紹介して
いる石井裕也監督の新作。因に監督は今年もう1本発表して
いるようだが、その作品は試写を観ていない。
その新作はアメリカに行ったが、妊娠しただけで帰ってきた
女性が主人公。妊娠9カ月で正に臨月の彼女が、昔暮らした
長屋に舞い戻ってくる。そこは彼女の両親にとってはどん底
の時を過ごした場所だったが、彼女には人生を学ばせてくれ
た場所でもあった。
しかしその長屋は、今は住む人もなく、高齢で足腰の立たな
い大家だけが暮らしている。そんな長屋に入り込んだ主人公
は、とりあえず大家の世話を始めるが、そこには彼女が住ん
でいた頃から近所で食堂を営む男性とその養子の若者なども
出入りしていた。
そしてさらに彼女が持前の元気を振り蒔き始めると…。
何か良く解らないが「粋だねえ!」が人生訓で、とにかく人
のために尽くすことが自分の使命と考えている女性が、身重
の自分も顧みずに他人のために邁進して行く。そこには賛同
者も現れて、ある種のユートピアが形作られて行く。
主演は、2007年12月紹介『ちーちゃんは悠久の向こう』など
の仲里依紗。共演は今年3月紹介『マイ・バック・ページ』
などの中村蒼、昨年3月紹介『BOX』などの石橋凌。
他に、稲川実代子、並樹史朗、竹内都子、大野百花、近藤芳
正、蛍雪次朗、斉藤慶子らが脇を固めている。

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09月04日(日)
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