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On the Production
by 井口健二
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■僕たちのバイシクル・ロード、ラブ&ドラッグ、ミッション:8ミニッツ、ゴモラ、VAMPIRE STORIES、メサイア+Blade Runner
2人の将来を左右する重大な決断を迫られることになる。
物語の始まりでは、ギレンホール扮する男が見事にチャラ男
で、対するハサウェイ扮する女性も何処でもセックスをした
がるなど、正直に言って少し引き気味になるくらいのアレア
レという展開だった。
しかしズウィック監督の作品がそんな手緩いものであるはず
がない。パーキンソン病という難病を正面に見据えて、それ
は見事な人間ドラマを作り上げている。そしてギレンホール
が、その渦中に置かれた男を見事に演じているものだ。
共演は、2009年1月紹介『フロスト×ニクソン』などのオリ
ヴァー・プラット、前回紹介『スマーフ』などのハンク・ア
ザリア、2008年3月紹介『ラスベガスをぶっとばせ』などの
ジョッシュ・ガッド、2009年9月紹介『ホワイトアウト』な
どのガブリエル・マクト。
それに「バイアグラ」のファイザー社が実名で登場し、その
豪華絢爛な「研修会」の模様なども紹介されている。因に、
本作はファイザー社のセールスマンだった男性の回想録に基
づくそうだ。

『ミッション:8ミニッツ』“Surce Code”
2004年“Specise V”などのベン・リプリーによるオリジナ
ル脚本を、2010年1月紹介『月に囚われた男』のダンカン・
ジョーンズ監督で映画化した作品。
男は通勤列車の座席で突然目覚める。そして前の座席にいた
女性からは親しく話し掛けられるが、彼には見覚えもない。
しかしいくつかの遣り取りが続くと突然車内で爆発が起き、
それはすれ違いの貨物列車も巻き込んで乗客全員死亡の大惨
事となる。
と、そこで彼が再び目覚めたのは小さな密室の中。そこに置
かれたモニターに写る女性から彼が聞き出したのは、彼が居
たのはその惨事に巻き込まれ死亡した男性の脳から取り出さ
れた最後の8分間の記憶の世界という話だった。
しかも犯人からは次のテロの予告が発せられており、主人公
にはその記憶の世界を調査して犯人を割り出す任務が与えら
れる。そして再び最後の8分間の世界に送り込まれた主人公
は、その記憶をソースコードとして構築された世界の中で犯
人を追い求める。
それは何度でも繰り返すことが出来、徐々に調査は進展する
が、現実時間の中では犯人の次のテロ予告の刻限も迫ってい
た。さらに列車爆破のスペクタクル映像が繰り返される中、
主人公には別の思いも生じてくる。
タイムマシンを使って時間を遡り、大惨事の発生を未然に阻
止するというSFはいくつもあるが、本作は被害者の最後の
記憶の中から犯人を特定し、次の犯行の前に取り押さえよう
というもの。これはタイムマシンより現実的とも言えるし、
テロのような犯罪には有効なものかも知れない。
しかも本作では、その記憶をソースコードとして被害者が意
識していなかった部分も構築できるというアイデアで、これ
はなかなか魅力的だ。さらにこの先には、SFファンなら思
わずニヤリとするアイデアも盛り込まれている。
ただしその結末が良いのか悪いのかがかなり思い悩むところ
で、それはハリウッド映画としては見事な結末ではあるし、
恐らくSF映画ファンの多くには喝采されるとは思うが…。
本来のSFとしては何か違うようにも感じられた。
それはまあ、そんなこととやかく言うなよ、と言われそうな
ところでもあるのだが。
主演は、『ラブ&ドラッグ』のジェイク・ギレンホール。因
に本作の製作では、まず脚本がギレンホールに渡され、彼が
主演を希望すると共に、彼の要請でジョーンズ監督が招請さ
れたそうだ。
他に、昨年11月紹介『デュー・デート』などのミシェル・モ
ナハンと2009年9月紹介『エスター』などのヴェラ・ファー
ミガがそれぞれの世界で主人公と関る女性を演じている。
SFファンにはぜひ見てもらって意見を聞きたい作品だ。

『ゴモラ』“Gomorra”
2008年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、その年の
東京国際映画祭でも上映された作品。実はその時にも鑑賞し
ていたが、この年はいろいろな事情で日本公開の決まってい
ない作品の紹介はしなかった。

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08月28日(日)
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