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On the Production
by 井口健二
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■ミケランジェロ…、ゴーストライター、マーガレットと…、エクソシズム、レイン…アサシン、プリースト、デビルクエスト、死の秘宝Pt2
いくつかの謎に突き当たった主人公は、その謎を解明する内
に前首相の知られざる側面を暴いて行くことになる。
果たして前任者の死は、本当に事故死だったのか…? そし
て前首相に隠された真実の姿とは…
作品は、2001年に映画化された『暗号機エニグマへの挑戦』
などのロバート・ハリスの原作を映画化したものだが、その
脚色はポランスキーとハリス自身が手掛けており、いくつか
の改変と見事な映像化が行われている。
特に原作とは異なるエンディングの鮮烈さは映画ならではの
ものだ。
出演は、ユアン・マクレガー、ピアーズ・ブロスナン、キム
・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムス。他に、ティモシ
ー・ハットン、ジェームズ・ベルーシ、ロバート・パフ、ト
ム・ウィルキンスン、イーライ・ウォラックらが共演してい
る。
物語はフィクションだが、内容的にはトニー・ブレア元イギ
リス首相を思わせる描写も多く、その辺はいろいろ興味の湧
く作品になっている。因に、元政治ジャーナリストの原作者
ハリスは、首相になる以前からの政治家ブレアを傍で観てい
たそうだ。
なおスタジオ撮影は、ドイツのバベルスバーグで行われたよ
うで、エンディングロールにロゴマークが在ったが、去年映
画祭で観たときには気づかなかったものだ。

『マーガレットと素敵な何か』“L'âge de raison”
フランスの元アイドル女優ソフィー・マルソー主演で2009年
に製作された現代ドラマ。
マルソーは1966年生まれだから、彼女も40歳を超えちゃった
んだ…というのは、デビュー当時を憶えている映画ファンの
単純な感慨だけれど、そのマルソーが良い感じの大人の女性
になっている作品。
主人公は40歳の誕生日を迎えた女性。原発プラントを海外に
売り込む会社のキャリアウーマンとしてバリバリ仕事をして
いる彼女の許を突然1人の老人が訪ねてくる。そして元公証
人だと名告った老人は「約束の品だ」と言って1つの小包を
彼女に手渡す。
その小包には彼女自身が7歳の時、未来の自分に宛てて綴っ
た手紙の束が入っていた。それは、父親が事業に失敗してど
ん底の生活となっていた当時の記憶でもあった。そんな境遇
から彼女は、たった1人で今の地位まで上り詰めたのだ。
だから彼女には、過去を思い出すことそれ自体が苦痛で忌ま
わしいことだったのだが…。7歳の彼女自身の、苦しい中で
も屈託なく振舞っている文面が徐々に彼女の心の中の何かを
変えて行く。
悪い人間が過去の自分を思い返すことによって改心する。そ
んなストーリーは、『クリスマス・キャロル』などいろいろ
あるが、本作の主人公は悪い人間ではない。それは原発プラ
ントということでは多少引っ掛かりはするが、主人公は独力
で成功を収めた成功者であり、本人的には後ろめたいことは
何もないだろう。
しかも手紙を書いたのはどん底の当時の自分。だからそんな
自分は顧みたくもないのだが、それでもがむしゃらに走って
きた自分の失ったもの、そんなものが彼女の心の内を変えて
行く。それは本当に素敵な何かのために。
共演は、2006年2月紹介『イーオン・フラックス』などのマ
ートン・ソーカス、2010年7月紹介『プチ・ニコラ』などの
ミシェル・デュショーソワ、2005年7月紹介『真夜中のピア
ニスト』などのジョナサン・ザッカイ。それに幼い頃の主人
公役を本作で映画デビューのジュリエット・シャペイが見事
に演じている。
脚本と監督は、韓国映画の『猟奇的な彼女』が2008年にハリ
ウッドでリメイクされたときに、それを手掛けたというヤン
・サミュエル。因に次回作は、“The Great Ghost Rescue”
という題名だそうだ。

『ラスト・エクソシズム』“The Last Exorcism”
プレス資料では、2009年12月紹介『パラノーマル・アクティ
ビティ』が引き合いに出されていたが、どちらかというと、
2008年3月紹介『●REC』の方が近いかな、悪魔祓いの実
態を取材していた番組のクルーが本物に出会ってしまうとい
うお話。

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07月10日(日)
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