ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460145hit]

■ロサンゼルス決戦、奇跡、それでも花は咲いていく、昼間から呑む、ポールダンシングボーイ★ず+ニュース
『奇跡』
2004年のカンヌ国際映画祭で柳楽優弥に主演男優賞を齎した
是枝裕和監督が、再び子供を主人公に置いて描いたドキュメ
ンタリーの要素もある作品。
「3月12日九州新幹線全線開業。一番列車がすれ違うとき、
奇跡が起きる」
物語の中心は小学生の兄弟。両親の離婚で兄は母親と共に実
家のある鹿児島に引っ越し、弟はミュージシャンである父親
の活動拠点になっている福岡で暮らしている。そんな兄弟が
1番列車の奇跡の噂を聞き、様々な想いを持った友達と共に
その場所を目指す。
それは旅費だけでも子供には大金になるものだが、その工面
の仕方から始まって、1番列車がすれ違う現場に至るまでの
行程や宿泊の手段まで、そこには偶然に頼った御都合主義の
部分もあるが、それらがそれなりのドラマで描かれていた。
またそこには、両親の離婚を始めとする子供たちを囲む状況
への目配りなどもいろいろなされているし、一方で子供たち
が語る「起したい奇跡」への想いなどは、是枝監督特有のド
キュメンタリーなタッチで描かれているものだ。
出演は、小学生お笑いコンビ「まえだまえだ」の前田航基と
前田旺志郎。この2人は確か2008年7月紹介『パンダフルラ
イフ』の完成披露試写にゲストで登場したのを観て、その芸
は知っていたが、元々は劇団子役とのこと。掛け合いの口調
などはナチュラルではないものの、彼らの演技としては納得
は出来た。
また彼らと共に行動する子供たちは、2009年10月紹介『AC
ACIA』に出演の林凌雅の他、永吉星之介、内田伽羅、橋
本環奈、礒邊蓮登らが演じている。
さらに、彼らを囲む大人たちとして大塚寧々、オダギリジョ
ー、樹木希林、橋爪功、夏川結衣、阿部寛、長澤まさみ、原
田芳雄、高橋長英、リリィ、田山涼成、入江雅人、中村ゆり
らが脇を固める。
実は、個人的に3月26日熊本に行く計画を立ていた。それは
24日23時10分東京駅発ムーンライトながらに25日0時30分発
の小田原から乗り込み、青春18切符の1日目で博多。26日は
博多−熊本間の新幹線2枚切符で往復、博多で2泊して青春
18切符の2、3日目で東京に戻るものだった。しかし震災に
よって実行できなくなってしまった。
だから九州新幹線や熊本の地名が出てくると、この映画を観
てから現地に行っていたら、さぞや気持ちも違うものになっ
ていただろうと思えた。次は7月に行くチャンスがあるかも
知れないが、その時は無事に行ってきたいものだ。
その時には、映画に話題が登場するカルカンと馬刺しも食べ
たいゾ。

『それでも花は咲いていく』
ものまね芸人の前田健が、自らの原作小説を基に初監督した
オムニバス作品。
作品は、エーデルワイス、ヒヤシンス、パンジーと題された
3つの物語からなっており、それぞれは男性特有と言えるか
も知れないある種病的な性癖について描いている。ただしそ
の性癖は、男性の誰しもが何処かに持っているとも言えるも
ので、本作は男性の多くが共感を持って観てしまう作品とも
言えそうだ。
その1本目で描かれるのはロリータ・コンプレックス。それ
は高校受験生の家庭教師を頼まれた元進学塾の教師が、実は
教え子よりその妹の方に興味を持ち、それを知らない親は妹
の水泳大会の応援や遊園地などに教師を連れて行ってしまう
が…というもの。
物語の間には、「それは犯罪だ」と脅される主人公の妄想な
ども描かれていて、それなりの見識も持って作品は作られて
いる。その点では常識的な作品であり、芸人の作品によく感
じられる思い上がりもなく、評価できる作品だった。
2本目は、これは何と呼ぶのか判らないが、留守中の女性の
部屋に上がり込み、その部屋の中で妄想に浸るというもの。
それは当然部屋の住人に判らないようにするのが鉄則だが、
その原則が崩れてしまったところから物語が始まる。
そして3本目は、エディプス・コンプレックス。30代前半と
思われる男性の最近亡くなった母親への思いが綴られて行く
が、そこに母の生前には浮気もしていたらしい父親の存在が

[5]続きを読む

03月20日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る