ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460137hit]
■蜂蜜、処刑剣、愛の勝利を、プッチーニの愛人、マイ・バック・ページ、4月の涙、黄色い星の子供たち+ニュース
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『蜂蜜』“Bal”
昨年のベルリン国際映画祭でグランプリの金熊賞を獲得し、
アメリカ・アカデミー賞外国語映画部門の国代表にも選ばれ
たトルコ映画。
アララト山なども近いトルコ北部の山岳地帯が舞台のお話。
深い森の中で蜂蜜採取の男が巣箱を仕掛けた樹に登り始める
ところから物語は始まる。しかし登る途中でロープを掛けた
枝が折れかかり、男は高い樹上で宙吊りになってしまう。
主人公のユスフは、小学校に上がったばかり。吃音症の彼は
朗読が苦手で上手くできた生徒に与えられる赤いバッジをな
かなか貰うことができない。そんなユスフは毎朝お父さんに
その日の暦を読んであげるのが日課で、それは何とかできて
いた。
そしてある日、お父さんは近くの森から蜜蜂が居なくなった
ために、少し遠くの黒い崖の辺りに新しい巣箱を掛けるため
に出発する。それは2、3日で帰ってくるはずの作業だった
のだが…。
物語の途中には、高い樹上で作業する父親の姿を羨望の眼差
しで見上げるユスフの姿や、また父親とは小声でなら普通に
話せる姿なども挿入され、それがユスフの思い出なのか、父
親が行方不明になってからの幻想かは不明だが、静かなシー
ンが続いて行く。
そこにはまた、樽のような丸い巣箱の中にぎっしりと創られ
た蜜で一杯の蜂の巣など、観ているだけで大自然を感じさせ
てくれる映像や、山村で開かれる素朴な祭りの様子なども見
事に描写されている。
そして物語は、夫の安否を心配しながらも子供にはそれを見
せまいとする母親の姿や、その母親の心配を感じながらも、
学校での発表などで懸命に成長して行くユスフの健気な姿な
どが描かれる。
出演は、ボラ・アルタシュ、エルダル・ベクシチオール、ト
ゥリン・オゼン。
少年役のアルタシュはロケ地の村に10日前に引っ越してきた
ばかりの撮影時8歳の少年がスカウトされて出演。父親役の
ベクシチオールは州立劇団の座長を務めたこともあるベテラ
ン俳優。母親役のオゼンは本作セミフ・カプランオール監督
の全作品に出演して助手も務める女優だそうだ。
因に本作は、カプランオール監督による2007年『卵』、08年
『ミルク』に続く、ユスフ3部作と名付けられたシリーズの
最新作となるものだが、前の2作はそれぞれユスフの壮年時
代と青年時代を描いたもので、物語の順番では本作が最初に
なる。
なお、前の2作も日本で特別公開されることになっており、
来月試写も行われる予定なので、それらも後日紹介したい。
『処刑剣』“錦衣衛 14 BLADES”
今月13日付紹介『孫文の義士団』にも主演していたドニー・
イェンの主演による歴史活劇。
原題になっている「錦衣衛」は、中国の明代に実在した秘密
警察。明朝の初代皇帝・朱元璋によって創設され、当初は宮
廷や儀式の際の警護の目的だったものが徐々に変貌し、やが
て政敵を闇に葬る暗殺団になっていったという。
そんな錦衣衛の頂点を極める司令役・青龍を主人公にしたお
話。その青龍に、皇帝の側仕えをする宦官から命令が伝えら
れる。それは皇帝が重臣に渡した品を奪い返せという矛盾し
たものだったが、そこには皇帝の命令を示す割符も付けられ
ていた。
そのため重臣の家に向かった青龍は、偶然その品が皇帝の玉
璽であることを知り、命令に疑問を感じ始める。しかしその
場で不意討ちに遭った青龍は、深手を負った上に玉璽も奪わ
れ、さらに重臣殺しの濡れ衣も負うことになってしまう。
こうして司令でありながら錦衣衛の追跡を受けることになっ
た青龍は、「正義護送屋」を名告る運送業者に身を委ね、彼
らと共に西国へ向かう。そしてとある砦の街に辿り着いた青
[5]続きを読む
03月27日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る