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On the Production
by 井口健二
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■ザ・ライト、キラー・インサイド・ミー、ミスター・ノーバディ、素晴らしい一日、ミス・ギャングスター、高校デビュー+製作ニュース
男性の事故死がその権力者の謀略だったとの情報が入ってく
る。そこで主人公は女と共に復讐の策略を巡らすが…
殺人が殺人を呼ぶ連鎖反応。それは普通の犯罪ドラマのよう
にも観えるが、本作に描かれた犯罪の連鎖はそんなに簡単に
片づけられるものではなさそうだ。身体の中に潜む暴力的な
殺人鬼の願望。それが見事に映像化されている。
なお原作ではもっと克明に犯罪者の心理などが説明されてい
るようだが、それは1952年発表の作品でのこと。今の時代に
はこの映像だけで充分に観客にもその心理は理解されるだろ
う。監督はその辺も巧みに作品を描いているものだ。
そしてその底流に流れるのは、主人公たちの異状だが真実の
愛の姿。それが見事に一点に集約されて描かれていた。
主演は、2007年12月紹介『ジェシー・ジェームズの暗殺』で
オスカー助演賞候補になったケイシー・アフレック。その相
手役に、ジェシカ・アルバ、ケイト・ハドスン。さらにサイ
モン・ベイカー、ビル・プルマン、ネッド・ビーティ、イラ
イアス・コティーズらが脇を固めている。
余りに哀しいが、最後に少しだけほっとするところもある、
そんな感じの作品だ。
『ミスター・ノーバディ』“Mr.Nobody”
1991年のデビュー作『トト・ザ・ヒーロー』がカンヌ国際映
画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞、1996年の第2
作『八日目』では同映画祭で主演男優2人にダブル受賞をも
たらしたベルギー出身のジャコ・ヴァン・ドルマル監督によ
る13年ぶりの第3作。
その新作には製作費50億円が投じられ、しかもその物語は、
発端を2092年におく完全なSFドラマだった。
科学の進歩で人は死ぬことがなくなった約80年後の世界。そ
んな世界の中で主人公は、科学の恩恵が間に合わず、118歳
で最後の死者となる運命になった老人。その死は世界中の注
目を浴び、病室の窓の外には取材カメラが飛び交っていた。
ところが老人は、自らは34歳だと主張し、そこから後の記憶
はないと言い張っている。そして潜入してきた記者のインタ
ヴューや医師の治療のための催眠術などで徐々に主人公の過
去が明らかにされて行くが…
それは3人の女性との関係がパラレルワールドで展開される
摩訶不思議な物語だった。そんな中で主人公は、女性たちの
愛に苦しみ、悲惨な生活や裕福な生活、またその一方で、冷
凍睡眠による火星への旅に飛び立ったりもする。
映画の中には「バタフライ・エフェクト」という言葉が何回
か出てきて、それは本来の意味でも使われているが、僕らに
は2005年3月紹介の同名のSF映画を思い出すところだ。そ
う正にこの作品はその再話のような作品にもなっている。
過去の選択が生み出す結果。それが本作では3人の女性の誰
を選んだかによって様々に変化して行く。裕福だが愛のない
家庭。貧しく苦しいが愛情の尽きない家庭。そして毅然とし
て貫き通す愛。主人公はそんな愛の世界を渡り歩く。
主演は2007年9月紹介『チャプター27』などのジャレッド
・レト。共演は2008年3月紹介『アウェイ・フロム・ハー』
では監督としても評価されたサラ・ポーリー、さらにダイア
ン・クルガーと、2005年7月紹介『真夜中のピアニスト』な
どのリン・ダン・ファン。
他にリス・エヴァンスらが脇を固めている。
僕にはSF的な興味も大きかったが、そこに展開される愛の
物語は誰にでも起こりそうな身近なもので、正にSFの設定
で成立する素晴らしい人間のドラマが描かれていた。それに
火星へ飛ぶ宇宙船の内部や火星上陸の様子などは、ちょっと
驚くくらいに見事に作られていた。
『素晴らしい一日』“멋진 하루”
2007年12月に紹介した『アドリブ・ナイト』の平安寿子原作
と、イ・ユンギ監督が再び組んだ作品。前回紹介の時にもす
でに題名の挙がっていた作品が2008年に製作され、ようやく
日本でも公開されることになった。
物語の始まりは競馬場。1人の女がそこで仲間と蔓んでいた
男に1年前に貸した金を返せと詰め寄る。それに対して男は
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02月13日(日)
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