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On the Production
by 井口健二
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■市民ポリス69、神々と男たち、ブルーバレンタイン、トゥルー・グリット、悲しみのミルク、アトムの足音が聞こえる+ニュース
部分は別として、物語はその事件に立ち向かった修道僧たち
の宗教への思いを強く謳い上げたものになっている。
それは、繰り替えし登場する敬虔なチャントのシーンなどが
見事に描き出しており、その男声チャントを聞くだけでも価
値のある作品とも言える。もちろんそこは宗教の頑迷さにも
繋がるが、それは言っても仕方のないこと、ストーリーは実
話に基づくものだ。
出演は、2003年紹介『マトリックス』2作や2003年12月紹介
『タイムライン』などにも出演のランベール・ウィルスン、
1979年『007/ムーンレイカー』で悪役を演じたマイクル
・ロンズデール、昨年11月紹介『君を想って海をゆく』に出
演のオリヴィエ・ラブダン他。
脚本と監督は、俳優としてジャック・ドワイヨン監督1996年
『ポネット』で主人公のお父さんを演じていたグザヴィエ・
ボーヴォワ。監督としては5作目の作品になっている。
『ブルーバレンタイン』“Blue Valentine”
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズの2人が、
揃ってゴールデン・グローブ賞ドラマ部門の主演賞にノミネ
ートされた作品。
2人が演じるのは、関係がちょっとぎくしゃくしている感じ
の若い夫婦。郊外に建つ一軒家に幼子と住む夫婦の妻は看護
師として少し離れた病院で働いているが、夫は家の壁の塗り
替えなどに余念がなく、職に就いている様子がない。
そんな一家にちょっとした事件が起き、夫婦は子供を妻の実
家に預けて2人だけの時間を過ごすことになる。そしてその
2人だけの時間に並行して、2人の出会いの時の様子が描か
れて行く。
それは、大学で医学を学んでいた女性と、高校も中退で引っ
越し業者の手伝いをしていた男性の物語。そんな2人がどの
ようにして出会い結婚したか。そして今の2人の関係は…そ
んな切ない物語が展開されて行く。
僕自身が結婚して30年以上も過ぎてみると、こんな事ってあ
ったよな〜、そんな感じの物語が展開される。実際に映画の
中には正に僕の実体験そのままのようなエピソードも描かれ
ていた。
でもそれを克服して結婚生活を続けられたか否か、その境目
は僕自身が何処にあったのかも判らない。ちょっとした言葉
の違いが事を大きくしたり、収束させたり、そんな人生の機
微のようなものが描かれていた。
映画を観ていて、僕には男性の方に非が多いようにも感じた
が、観る人に拠っては違う意見もあることだろう。そんな結
論の出ない…出せない物語。若い人にはこれからの人生の参
考に、年寄りには人生の回顧の切っ掛けとして観るとよい作
品だ。
共演は、共に2006年の4月紹介『迷い婚』と5月紹介『ポセ
イドン』、それに2008年『クローバーフィールド』などに出
演のマイク・ヴォーゲル。また、夫妻の1人娘を演じたフェ
イス・ウラディカは2004年生まれ、アメリカではCM界の人
気者だそうだ。
脚本と監督はデレク・シアンフランス。1997年23歳の時に発
表した作品が6つの国際映画祭で受賞するなどしたものの、
その後はドキュメンタリーに進んでいた監督が、11年間温め
てきた作品とのことだ。
それから、劇中に「未来」があることも監督の拘わりだった
ことにエンドクレジットを観ていて気付いた。その「未来」
が何を示しているかは、観る者の感性に委ねられているもの
だが、僕は明るい未来を信じたくなった。
『トゥルー・グリット』“True Grit”
前回も『シリアスマン』を紹介したイーサン&ジョエル・コ
ーエン兄弟監督の最新作で、先日発表されたアカデミー賞の
ノミネーションでは、作品、監督、主演男優、助演女優を含
む10部門に選ばれている。
1968年に発表されたチャールズ・ポーティス原作の西部劇小
説に基づく。同じ原作からは1969年にもヘンリー・ハサウェ
イ監督、ジョン・ウェイン、キム・ダービーの主演で映画化
(邦題:勇気ある追跡)があり、同作はウェインに初のオス
カーを齎している。
14歳の少女が殺された父親の仇を撃つため、インディアン居
留地に逃げ込んだならず者を追跡しようとする。しかし彼女
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01月30日(日)
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