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On the Production
by 井口健二
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■180°South、シモン・ボッカネグラ、ジャンデック、バーレスク、アンチクライスト、エリックを探して、Pure+製作ニュース
リア』などとなっている。
なお説明によると、近年は世界中のオペラ座やバレエ団での
HD撮影・上映への関心が高まっており、今後はますます増
えるだろうとのこと。また一部では3Dによる撮影と上映も
検討されているとのことだった。
従って今後も期待のLiveSpireということで、以下には試写
の行われた作品を紹介する。
上映されたのは、昨年紹介した『チェネレントラ』と同じく
ジョゼッペ・ヴェルディ作曲によるオペラで、物語は14世紀
半ばのイタリアの湊町ジェノヴァを背景に、平民から選挙で
総督になった男を巡って展開される。
その時代のジェノヴァは貴族と平民の対立が深刻化し、事態
の打開のため平民の男を新総督とすることになる。そして海
賊との戦いで成果を挙げ、平民からの支持の高いシモン・ボ
ッカネグラに出馬が要請される。
そのシモンは、貴族の娘マリーアを愛し子供も誕生していた
が、貴族の父親からの許可を得られず苦悩していた。そこで
元来は政治には関心のないシモンだったが、総督になれば理
解もして貰えるかと考え出馬を決意する。ところが…
選挙の日、シモンの和解の申し出に貴族の父親は誕生した孫
娘を要求する。しかしその孫娘は預けられていた家から姿を
消しており、そのことを聞いた貴族の父親も姿を消してしま
う。しかもその貴族の館には、病死したマリーアの遺体だけ
が残されていた。
それから25年の歳月が流れ、総督としての権勢を揮うシモン
は、再び激しくなってきた貴族と平民との対立に頭を痛めて
いた。一方、とある伯爵家に美しい令嬢が暮らしていたが、
令嬢には他人には明かせぬ秘密があった。その秘密がいろい
ろな波紋を呼んで行く。
なお作品は、昨年4月29日の上演を収録したもので、三大テ
ノールの中で唯一現役を続けているプラシド・ドミンゴが、
2月の東京公演中に倒れ、ガン手術を受けた後の復帰公演と
なったものだそうだ。
その他の配役などは手元に資料がなくて判らないが、本作で
はバリトンで歌うドミンゴの歌声も素晴らしい作品になって
いる。

『ジャンデック〜謎のミュージシャンの正体を追う〜』
                 “Jandek on Corwood”
1978年にthe Unitsのアーチスト名でデビューアルバムを発
表後、1981年以降はJandekの名前で、今年発表された3作品
(内1作は2枚組)を含め、63作ものアルバムを発表してい
るアメリカのミュージシャンを追ったドキュメンタリー。
その音楽ジャンルは、ブルース若しくはフォークとされてい
るようだが、映画のサントラにも使用されているJandekの音
楽は、僕ら素人が聞くと何処が良いのかさっぱり判らないも
の。でも、何となく独特の雰囲気を持っているようには聞こ
えた。
しかし映画に収録されているインタヴューの発言者たちは、
一様に礼賛の弁を述べているもので、聞き込めばそんな感想
も生じてくるアーティストのようだ。そして本作では、そん
なJandekの音楽に魅せられた人々の、何というか想いの丈が
綴られている感じだ。
ただし彼らの発言も多少奥歯にものが挟まっている感じで、
それはJandekの歌にちょっと病的な雰囲気もあるからのよう
だ。そんな訳で、彼の為人などがいろいろ想像されて行くの
だが、彼自身はほとんど人前に出ることがなく、その正体は
謎のまま。
という謎のミュージシャンを追ったドキュメンタリーだが、
取材は敢えて本人を追求することもなく、評論家へのインタ
ヴューなど周辺を埋めて行くだけ。それでもそこにJandekの
歌声が重なると、それで良いかなあと思えてくる辺りが本作
の面白さかも知れない。
しかも、当初は人との付き合いが出来ないのではと想像され
たJandekの音楽が徐々に変化して、途中からは女性ヴォーカ
ルが加わったり、ドラムスが参加したりしてくる。それでま
すます謎の度合いが高まるのだが…
という謎のミュージシャンJandekについての2003年までの状
況が綴られた作品になっている。ただしこの時までは本当に

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11月28日(日)
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