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On the Production
by 井口健二
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■第23回東京国際映画祭<コンペティション以外>
『ラーヴァン』“Raavan”(インド映画)
「ラーマーヤナ」のエピソードを下敷きに描かれたアクショ
ン作品。その町を支配しているのはビーラーと名告る男。そ
こには警察の入り込む余地はなかったが、1人の警視がそれ
に挑み、その妻がビーラーに誘拐される。歌に踊りにのイン
ド映画だが、結末にはちょっと驚かされた。
『ドッグ・スウェット』“Aragh sagee”(イラン映画)
法律が女性の歌手を禁じている中でレコーディングを続ける
女性ポップシンガー。秘密の酒盛りを続ける若者たちと密造
酒業者。イスラム原理主義国家イランの首都テヘランに生き
る若者たちの実態が、密かに撮影されたドキュメンタリー・
タッチの映像で再現される。
『ハイソ』“Hi-So”(タイ映画)
アメリカ帰りで映画に主演していた主人公の許をアメリカ時
代の恋人が訪ねてくる。しかし彼女は現場に馴染めず帰国。
そして映画が完成した頃、彼は製作会社の女性スタッフと付
き合っていた。彼の家は裕福だったが、その住居は津波の被
害を受けている。何が言いたいのか判らない作品の1本。
『燃え上がる木の記憶』“Kumbukumbu za mti uunguao”
(タンザニア・オランダ・シンガポール・マレーシア
合作映画)
戦火の傷跡も残る町を舞台に、母親の墓を探す男と死者と会
話できると自称する少女、自分で家を建てて食堂の女性に結
婚を申し込んでいる男などの物語が展開される。この作品も
実は意味が良く判らなかった。ただ、背景の風景などにはい
ろいろ気になるところも多かったのだが…
『海の道』“Halaw”(フィリピン映画)
フィリピンの南部からボルネオ島のサバ州(マレーシア)に
密航を企てる人々を描いた作品。上記の“虎廠”と同じく密
航を描いた作品だが、どちらにも罪悪感とか問題意識が皆無
なのが気になった。それにこの作品では、途中で意味もない
強姦のエピソードが登場して、正直僕は耐えられなかった。
『ホット・サマー・デイズ』“全城熱戀熱辣辣”
(アメリカ・香港・中国合作映画)
地球温暖化が進んで、世界各地で40度を超える猛暑が到来す
るようになった時代を背景にした作品。そんな背景の中で、
ジャッキー・チュン、ニコラス・ツェー、ビビアン・スーら
中国語圏の人気スターが届かない思いの恋愛劇を展開する。
中にはちょっとした仕掛けもあって面白い作品だった。
『カメリア』“카멜리아”(韓国映画)
韓国の釜山国際映画祭が製作するオムニバス映画で、例年各
国の監督が参加するが、今年はタイのウィシット・サーサナ
ティアンと日本の行定勲、それに韓国のチャン・ジュヌァン
監督によってそれぞれ釜山の過去・現在・未来を舞台にした
作品が作られた。各国映画を反映した作品は面白かったが、
それぞれ45分は多少長いかな、という感じもした。
《日本映画・ある視点》
『歓待』
日本映画・ある視点部門で作品賞を受賞した作品。下町の印
刷工場を舞台に、突然現れた男がいろいろ家族の秘密を暴き
出して混乱を生じさせて行く。受賞した作品だが、物語自体
がまだ良く整理されていない感じで、前半の緊張感は良かっ
たが、後半の混乱ぶりが僕には納得できなかった。
《WRLD CINEMA》
『エッセンシャル・キリング』“Essential Killimg”
(ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー
合作映画)
中東の砂漠でのテロ活動で逮捕された男が、ヨーロッパの秘
密基地に送られる。そして偶然の事故で脱走に成功するが、
そこは故郷とは異なる雪に覆われた世界だった。そんな異環
境の中で男は生き延びるため最大の努力を繰り広げる。ヴィ
ンセント・ギャロ主演による究極のサヴァイヴァル劇。
『ゴースト・ライター』“The Ghost”
(フランス・ドイツ・イギリス合作映画)
ロマン・ポランスキー監督が今年のベルリン映画祭で監督賞
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11月02日(火)
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