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On the Production
by 井口健二
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■デザート・フラワー、ウッドストックがやってくる、ライトノベルの楽しい書き方、ヤコブへの手紙、花々の過失、白夜行+製作ニュース
つけ、他の関係者も次々に現地を訪れる。そしてエリオット
は彼のモーテルから3kmほど先の牧場を借り受けに成功。彼
のモーテルを本部にして音楽祭の準備が開始された。
ウッドストック音楽祭は、その2年前の1967年にカリフォル
ニア州モンタレーで行われたポップフェスティヴァルの成功
を観たニューヨークのプロモーターたちが企画したもので、
そのときすでに前売りは18万枚に達していた。
そんな音楽祭の実施。しかも公称の入場者数は20万人だが、
実際には40万人の人々がその地に集まったとも言われる。た
だし集まった人々の大半はコンサートの模様はほとんど観ら
れず、その周囲ではドラッグやフリーセックスなど、正に解
放区が実現されたというものだ。
そして主人公は、そんな歴史的な出来事の只中にいて、その
影響を真正面から受け、自らも成長して行った若者の姿が描
かれる。
僕自身が、それなりの規模のイヴェントで主催する側に立っ
た経験を持つ者としては、これは本当に眩しいばかりの憧れ
持って観られる作品だった。規模の違いこそあれ自分もそん
な中にいた、そんな記憶も懐かしく思い出された。それが僕
の青春だった。そんな青春を思い出させてくれる作品だ。
出演は、エリオット役をスタンダップ・コメディアンとして
数々の受賞歴を持つというディミトリ・マーティンが演じ、
共演は、2008年2月紹介『燃えよ!ピンポン』などのダン・
フォグラー、今年8月に紹介『ナイト&デイ』などのポール
・ダノ、2008年5月紹介『イントゥ・ザ・ワイルド』などの
エミール・ハーシュ。
さらに、2003年12月紹介『みんなのうた』などのユージン・
レヴィ、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』などのイメ
ルダ・スタウントン、今年7月に紹介『ソルト』などのリー
ヴ・シュライバーらが脇を固めている。
アン・リー監督としては、オスカー受賞の『ブローバック・
マウンテン』、2007年『ラスト、コーション』に続く作品。
製作と脚本は、2000年『グリーン・デスティニー』などを手
掛けて監督の片腕とも言えるフォーカス・フィーチャーズの
ジェームズ・シェイマスが担当した。
なお本作は、フォーカス社製作による監督主導の映画作品を
連続して上映する「監督主義プロジェクト」(DDP)と題
された企画の第1弾として日本公開されるものだ。

『ライトノベルの楽しい書き方』
2005年『電波男』などの著作本を持つ本田透による原作小説
からの映画化。
物語は、さかなオタクの冴えない男子高校生が、文武両道・
才色兼備で、しかも密かにライトノベルの人気作家でもある
同級生女子が作家修業として行う1カ月限定恋愛シミュレー
ションの相手をすることになり…というもの。
まあお話は在来り、それでどこかに多少の捻りでもあるかと
期待はしたがそんなものもあるはずはなく、まずは男子の願
望充足の物語が展開される。でも映画の展開には、ときどき
おや?と思わせる伏線などもあって、それなりに楽しむこと
はできる作品だった。
出演は、ハロプロ/キッズオーディション出身の須藤茉麻、
先月紹介した『君へのメロディー』などの佐藤永典、声優と
して活躍し初の本格的な実写作品出演という竹達彩奈、ミュ
ージシャンでホビー雑誌の連載も手掛ける能登有沙。
他に、声優で歌手としても人気のある國府田マリ子、2009年
『14歳のハラワタ』などに出演の五十嵐令子、同年『仮面
ライダーディケイド』で仮面ライダーブレイド役の鈴木拡樹
らが脇を固めている。
脚本は、ゲームクリエーター出身でアニメの脚本やコミック
スの原作なども手掛けているという高橋龍也。実写作品の脚
本は初めてとのことだが、それなりに壺を押さえたなかなか
の脚色を行っている。
そして監督も、長編の商業作品は初という大森研一が手掛け
ているが、こちらもCMやPV、それにショートフィルムで
は数々の受賞歴があるという実績は、本作でもそれなりに発
揮されていたようだ。
まあ正直に言って演技などにはぎこちないところがあるし、

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10月10日(日)
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