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On the Production
by 井口健二
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■ロストパラダイス・イン・トーキョー、ロビン・フッド、信さん、バイオハザードIV、デイブレイカー、エクリプス+製作ニュース
こうして、イギリス−フランス間の戦いやジョン王と北部領
主たちとの対立、さらにマグナカルタ(大憲章)の起草など
の英国史を踏まえながら、マリアンとの出会いや、リトル・
ジョンら仲間たちの参集などロビン・フッド伝説の前日譚が
描かれる。
ロビンが十字軍帰りという設定は、1991年のケヴィン・コス
ナー主演、ケヴィン・レイノルズ監督作品でも描かれていた
が、今回はさらにイングランド国内の状況も取り込んでより
史実に近い物語に仕立てられた。
といってもロビン・フッドは元々が架空の人物ではあるが、
そこにジョン王、イザベラ、ウィリアム・マーシャルなどの
実在の人物を配して、特にマグナカルタとの関わりなどが巧
みに描かれている。
脚本は、1997年『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー
脚色賞受賞、他に『ミスティック・リバー』や『グリーン・
ゾーン』なども手掛けるブライアン・ヘルゲランド。自ら監
督した『ROCK YOU!』でも中世イギリスを描いた脚本家が、
今回も巧みな時代劇を生み出した。
共演はケイト・ブランシェット、ウイリアム・ハート、マッ
クス・フォン・シドー。また、昨年2月紹介のフランス映画
『美しい人』に主演していたレア・セドゥーがフランス国王
の姪イザベラ役で出演している。
『信さん−炭坑町のセレナーデ』
昭和30、40年代の九州福岡の炭坑町を舞台にした太宰治賞受
賞作家・辻内智貴による原作からの映画化作品。
主人公の守は、都会での結婚生活に破れた母親と共に炭坑町
に引っ越して来た。その町は母親の故郷でそこで母親は洋裁
店を開店する。そしてその町には、朝鮮人の家族や炭塵で胸
を病んだ採炭夫の一家などがいて、皆が寄り添うように暮ら
していた。
そんな町で守は小学校に通い始めるが、ある日、悪餓鬼に絡
まれているところを採炭夫の一家の息子に救われる。収入の
乏しいその一家で、息子の信一(信さん)はいつも給食費の
盗難などの疑いをかけられていたが、それでも彼は雄々しく
生きていた。
そんな切っ掛けで信さんとの友情を深めた守は、母親から注
がれる愛情の許、信さんやその仲間たちとの日々を過ごして
行くが、やがて石炭産業の斜陽化など社会の荒波が彼らの生
活を脅かし始める。そして…
昭和30、40年代は僕も義務教育を受けていた時分で、多分こ
の映画の主人公たちとあまり変らない世代なのだろう。僕自
身は関東にいたから環境などは異なるが、この映画に描かれ
るエピソードの多くは正に実時間で見聞きした出来事に相当
するものだ。
その意味でこの作品にはノスタルジーというか、こんな大変
な時代を生きてきたのだという感慨も湧いてくる。カラーテ
レビやクーラーもなくて生活の水準自体が今ほど豊かではな
かった時代の物語だ。
過ぎ去ってみれば何ということもないことかもしれないが、
その時代にいたら正しく一所懸命に生きなければならなかっ
た。そんな時代の片隅にいた人々の喜びや哀しみが丁寧に描
き出されている。
出演は、守役に池松壮亮、信一役に石田卓也、守の母親役に
小雪。他に、柄本時生、光石研、村上淳、中尾ミエ、岸辺一
徳、大竹しのぶらが共演。この内の池松、光石、中尾は福岡
県の出身で地元の方言もお手のものだったようだ。
また監督の平山秀幸も福岡県の出身で、監督にとっても満を
持しての作品のようだ。脚本は、平山監督とは1998年『愛を
乞うひと』でも協力した鄭義信が執筆している。
なお撮影には、「九州・山口の近代化産業遺産群」として世
界遺産への登録も進められている現存の炭鉱や炭住の跡が使
用されており、ほとんどのシーンの背景は、VFXではない
実写のようだ。
『バイオハザードIVアフターライフ』
“Resident Evil: Afterlife”
2002年にスタートしたカプコンのヴィデオゲームを原作とし
た映画化シリーズが第4作を迎えた。
そのシリーズ第4作は、オリジナルのゲームを生み出した日
本の東京渋谷から開幕する。そこはバイオハザード禍の発症
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09月05日(日)
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