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On the Production
by 井口健二
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■隠された日記、アワ・ブリーフ・エタニティ、桜田門外ノ変、C&D3D、大江戸LD、ゴスロリ処刑人、さらば愛しの大統領+製作ニュース
挫折を繰り返し、ようやく8年目に実現した作品だそうだ。
その作品は、「ある意味で初心に立ち返って企画した」と、
試写前の挨拶に立った監督が語っていた。その間の潰れた企
画がどのようなものだったかは判らないが、確かに本作は、
インディペンデンスの味わいが濃い作品ではある。
それで実は映画祭で観なかったのは、このインディペンデス
臭さにもあって、内容がSFであることは判っていたが、今
まで何度もこの手のSF風インディペンデンス作品の駄作に
付き合ってきた自分としては食手が動き難かった。もちろん
スケジュールの問題が先にはあったが…。
と言うことで不安を感じながら観に行った試写会だったが、
作品は予想に反してと言うか、思いの外に物語が上手く作ら
れていて、特に同じシチュエーションで異なる結論が提示さ
れているところなどは、よく考えられている感じもした。
VFXギンギンという作品ではないが、昔、トリュフォーの
『華氏451』を初めて観たときのような、静かにSFを味
わえる感じのする作品だった。因に題名は、ウィリアム・ギ
ブスン作の詞の一節で、黒丸尚の翻訳によると「僕らの短い
永遠」となっているようだ。
『桜田門外ノ変』
安政7年3月3日(1860年3月24日)、元水戸藩士によって
江戸城桜田門外で決行された幕府大老井伊直弼の刺殺事件。
明治維新の出発点とも言われるその事件の全貌を描いた吉村
昭原作からの映画化。
元々は茨城県で郷土に根差した映像文化を育もうという気運
があり、最初は水戸黄門の若かりし頃を描くなどのアイデア
もあったが、検討を進める内に、水戸藩が中心にありながら
歴史的に今一つその経緯が知られていない幕末の事件を描く
ことになったとのことだ。
このため映画製作には水戸市、茨城県などの全面的な協力が
得られ、水戸偕楽園のすぐ脇の千波湖畔に2億5000万円を掛
けた巨大なオープンセットが建てられるなど、大々的な地元
の支援で撮影が行われている。
なおこのオープンセットは、併設された映画記念展示館と共
に、来年3月末まで一般公開されているそうだ。
物語は、1853年浦賀に来航したペリーの黒船を水戸藩郡奉行
与力・関鉄之介が目撃するところから始まる。その事態に、
阿片戦争による中国清の窮状を目の当りにしていた井伊大老
を中心とする江戸幕府は開国止むなしの結論を出すが、水戸
藩主徳川斉昭はそれに猛反発する。
これに対して権力を嵩に着た井伊らは、斉昭に永蟄居を命じ
るなど反対派の声を封じ込め、京都御所の聖断を得ないまま
開国の条約を結んでしまう。このため尊皇攘夷の意志を固め
た斉昭は、薩摩藩などと連携して一気に事を起こそうとし、
その切っ掛けが桜田門外での襲撃になるはずだった。
ところが、連携するはずだった薩摩藩による京都での挙兵は
行われず。大義を失った襲撃に参加した薩摩藩士1名を含む
水戸の浪士たちは逆賊とされ、自刃や処刑、または逃亡の生
活を余儀なくされる。
だが、この襲撃が尊皇攘夷の勢力を後押しし、襲撃から8年
後にはその桜田門から天皇が入城して明治元年を迎えること
になる…。という物語が、上記のオープンセットで撮影され
た襲撃シーンと共に描かれる。因にこの襲撃シーンは、史実
に基づいてかなり正確に再現されたもののようで、その迫力
なども見事だった。
ただし、物語はこの襲撃の成功のみを描くのではなく、それ
によって歴史の流れに翻弄された水戸の浪士たちの姿が見事
に描き出されている。
もちろん物語は水戸中心の史観に基づいているし、井伊が一
方的に悪人にされている面は否めないが、明治維新の陰で流
された多くの血の一部がここに描かれている。それは井伊や
彦根藩士の血も含めて、近代日本の礎となったものであるこ
とは間違いない。
出演は、大沢たかお、柄本明、西村雅彦、長谷川京子、加藤
清史郎、北大路欣也、伊武雅刀らを始め、日本映画の現在を
支えている面々が多数出演している。
脚本と監督は佐藤純彌。因に、吉村原作では大沢が演じた関
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08月15日(日)
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