ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460180hit]

■ミレニアム2/3、愛の言霊、シングルマン、GARO、おにいちゃんのハナビ、スプリング・フィーバー、REDLINE+他
明し、主人公の心が乱れ始める。
まだ自分がゲイと気付いていない男たちの愛の行方が描かれ
て行く。
前作との関りでは、前作の主人公が配役もそのままでパソコ
ン教室の講師役で登場し、主人公にいろいろなアドヴァイス
をしてくれるがその程度。ただ途中でちょっとだけ前作との
絡みは挿入されていたようだが、それが判らなくても問題な
い程度のものだ。
実際、僕は前作を観ていないので、上記の情報はプレス資料
から得たものだが、その資料を読む前に映画を観ていても問
題はなかった。
主演は、TV『笑っていいとも』第13代「いいとも青年隊」
の植野堀まこと、舞台「テニスの王子様」出身で、本作の主
題歌の作詞と歌唱も担当している河合龍之介。他に前作から
引き続きの齋藤ヤスカ。また2003年デビュー作の『蕨野行』
で新人女優賞を受賞した清水美那が共演している。
BL物も、以前は上映時間が70分前後で演技も学芸会程度の
作品が多かったが、本作では90分しっかりと作られていて、
内容もそれなりになってきている。脚本は、2008年2月及び
9月紹介『カフェ代官山シリーズ』などの金杉弘子、監督は
2008年8月紹介『春琴抄』などの金田敬。
因に、金田監督は前作も担当していたとのことで、脚本家の
金杉と共にBL物ではブランドのようだが、僕は2人が組ん
だ作品を観るのは初めてかな。それぞれファンタシー系も作
品も手掛けている人たちだから、次はその方向も期待したい
ものだ。

『シングルマン』“A Single Man”
昨年10月20日付「第22回東京国際映画祭・コンペティション
以外(1)」で紹介した作品が一般公開されることになり、改
めて試写が行われた。
原作は、クリストファー・イシャーウッドが1964年に発表し
た同名の長編小説で、1962年の南カリフォルニアを舞台に、
ロサンゼルスの大学で教授を務めるゲイのイギリス人男性を
主人公とした物語。
その原作を、グッチのデザイナーとしても著名なトム・フォ
ードが自ら脚色し、監督して映画化。その作品はヴェネチア
映画祭に出品されて主演のコリン・ファースが主演男優賞を
受賞。さらに作品はゴールデン・グローブやアカデミー賞の
候補にも挙げられた。
映画は、最初に雪の降り積もる交通事故現場で車から投げ出
された男性の遺体の描写から始まり、そこを訪れた主人公が
遺体に寄り添う姿が写し出される。そして物語は、その衝撃
から立ち直れない主人公が自殺の準備を進めて行く描写へと
繋げられるのだが…
実は映画祭では全く予備知識なしに映画を鑑賞して、そのシ
ーンの積み重ねがなかなか把握できなかった。しかし個々に
描写される映像が素晴らしく、単純に芸術映画として評価す
ることのできる作品だった。
しかし今回は、主人公の置かれた状況などを把握した上で見
直して行くと、その主人公の思いなどが見事に描かれ、ドラ
マとしても素晴らしい作品であることが再確認できた。特に
途中に登場するジュリアン・モーアとのシーンには心が打た
れた。
それに前回の紹介では自殺という観点で映画を観てしまった
が、この作品がそこに帰結させていないことも好ましく思え
る作品だった。その点では余りに皮肉な作品であって、その
意味での悲しみが倍加されているような感じもした。
共演は、『タイタンの戦い』に出演の後、現在撮影準備中の
“Mad Max: Fury Road”には主役級で登場する予定のニコラ
ス・ホルト。他に、2006年6月紹介『マッチ・ポイント』に
出演のマシュー・グードらが出演している。
因に、監督のフォードはゲイをカミングアウトしているとの
ことで、本作はゲイによるゲイの映画といったところだが、
もっと本質的な最愛の人を失った悲しみを描いた作品として
素晴らしかった。
なお、前回の紹介では画質のことを気にしたが、今回の試写
ではそのような問題はなかった。昨年の映画祭では他にも画
質に難のあることが多くて、いくつか指摘したがこれもその
一例だったようだ。ただ他とは傾向が違ったので、製作者の

[5]続きを読む

07月04日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る