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On the Production
by 井口健二
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■星砂の島のちいさな…、トラブル・イン・H'ウッド、パラレルライフ、瞳の奥の秘密、セラフィーヌ、30 ROCK、ネコを探して+製作ニュース
…兎に角、映画プロデューサーの生活は公私に渡って大忙し
だ。果たして主人公はこれらの難局を乗り切れるのか。
主演はロバート・デ・ニーロ、映画会社の女社長役にはキャ
サリン・キーナー、離婚調停中の妻役にはロビン・ライト・
ペン、前妻との娘役にはクリスティン・スチュアート。さら
にスタンレー・トゥッチ、ジョン・タトーロなど。もちろん
ペンとウィリスは本人登場だ。
何ともしっちゃかめっちゃかな状況の中で、それでも時間だ
けが着実に進んで行く。そんな映画界の舞台裏が面白く可笑
しく描かれた作品で、特にペンの淡々とした物腰や、ウィリ
スの暴れん坊ぶりなどは本当にそうなのかな…?とまで思っ
てしまうところだった。
映画ファンには正しく豪華なプレゼントという作品だろう。

『パラレルライフ』“평행이론”
2人のアメリカ大統領リンカーンとケネディの生涯が100年
を隔てて符合する。そんな同じ人生を歩むものが存在すると
いう「平行理論」に基づいて、韓国司法界を描いた作品。
主人公は36歳の若さで裁判所の部長判事に就任する。しかも
美しい妻と可愛い1人娘にも恵まれ彼の人生は順風満帆だ。
しかし彼が下す判決は、適法に厳格すぎるために関係者の反
感を買っていることも事実だった。
そんな中で彼は「平行理論」を唱える学者が起こした事件の
裁判を担当する。その学者は、自らが過去の学者と同じ人生
を歩んでいると主張し、犯行を認めないでいたのだが…
一方、主人公は30年前に自分と同じ36歳で部長判事に任命さ
れた人物が居て、彼の人生が主人公と一致していることを教
えられる。そして、その部長判事の一家が後に惨殺されたと
いう事実も…。果たして主人公は彼の家族を救うことができ
るのか。
SFファンとしては、仮に「平行理論」が成立するとして、
30年前の出来事なら詳細に調べれば次の事態を予測して回避
できるのではないかと考えてしまうところだが、その点でも
この作品が上手く描かれていることに感心した。
しかもそれが、韓国特有の問題に根差しているところも上手
いと思えるし、さらにそれによって現在の事件が生み出され
て行くという因果関係も、物語を「平行理論」だけに終らせ
ない巧みさを感じたものだ。
主演は『チャングムの誓い』などのチ・ジニ。その周囲を、
2006年11月紹介『Mr.ソクラテス』に出演のイ・ジョンヒョ
ク、2008年3月紹介『ブレス』に出演のハ・ジョンウらが固
めている。
監督は、本格的な映画作品は初めてというクォン・ホヨン。
恐らくは脚本も書いていると思われるが見事な作品だ。因に
物語の展開にはエッシャーの絵画を参考にしたとのことで、
2004年1月紹介『殺人の追憶』などの撮影監督キム・ソンミ
ンと共に作り上げた映像も見事だった。
ただクライマックスの展開では何か1シークェンス落ちてい
る感じで、自分で辻褄は合わせることができるが、ちょっと
戸惑いは感じてしまった。些細なことでは有るのだが…。

『瞳の奥の秘密』“El secreto de sus ojos”
今年のアメリカアカデミー賞で外国語映画賞に輝いたアルゼ
ンチンの作品。本国アルゼンチンのアカデミー賞では13部門
を受賞したそうだ。
物語の開幕は1999年が背景。初老の男性がかつての職場だっ
たブエノスアイレスの裁判所を訪れる。そこで検事の職にあ
る女性に面会した男性は、25年前の殺人事件のことを小説に
書いていると告げる。それは彼が精算しなければならない過
去の出来事だった。
その事件は、アメリカの大学で法学を修め判事補の資格を持
つ女性が、彼=主人公の所属する裁判所書記課の上司として
着任した日に起きた。各書記課の持ち回りで事件を担当する
仕組みで主人公が順番に当ったのは、目を背けたくなるよう
な惨状の暴行致死事件。
ところが彼が訪れた犯行現場で、警察は直ちに不審者を割り
出し、容疑者として連行した上で犯行を自白をさせる。だが
それは明かな拷問で引き出した虚偽の自白だった。そのため

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06月20日(日)
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