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On the Production
by 井口健二
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■ヤギと男と男と壁と、終着駅、老人と海、スープ・オペラ、オカンの嫁入り+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ヤギと男と男と壁と』“The Men Who Stare at Goats”
ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリ
ッジス、ケヴィン・スペイシーの共演で、日本では文春文庫
に収録されているノンフィクション『実録・アメリカ超能力
部隊』からインスパイアされて作られた真実に基づくドラマ
作品。
1980年代のアメリカ陸軍に密かに存在したとされる第一地球
大隊(映画の中では新地球軍)を題材に、当時のアメリカが
やろうとしていた超能力兵士の育成の顛末が、それを取材す
るジャーナリストの行動と共に描かれる。
主人公は地方新聞の記者。ある日、彼は超能力者を自称する
男を取材し、そこで陸軍に創設された超能力者を集めた部隊
の情報を得る。しかしその時はあまり真剣でもなく聞いてい
たのだったが…
やがて彼は個人的な事情からイラク取材を敢行。そこで出会
った男の名前は、彼が以前の超能力者の取材で記憶した名前
だった。そしてその男と行動を共にすることを決めた主人公
は、男の奇妙な言動と共に徐々に超能力部隊に実体に迫って
行く。
元々はアメリカのタブロイド紙に、「アメリカ海軍が潜水艦
との交信用にテレパシーの研究を行っている」との記事が掲
載され、それを真に受けた当時のソ連軍が超能力の研究を開
始。それに対抗してアメリカ軍も研究を進めたのだそうだ。
それは、「ジェダイ計画」の別名も持ち、愛を武器に地球に
平和をもたらすために創設されたというのだが…。部隊は隊
員間の確執などで内部から崩壊。そして主人公が出会ったの
は、部隊の中でもNo.1と言われた超能力の持ち主だった。
何とも有り得そうな、でも如何にもインチキ臭いお話だが、
それを最初に書いたような錚々たる顔触れで描いてしまう。
しかもこの顔触れというのが、実はバットマンにオビワン・
ケノービ、スターマンにレックス・ルーサーを演じた人たち
なのだから恐れ入る。
ジョン・カーペンター監督の『スターマン』なんて、プレス
資料に書いてあっても知る人も少ないだろうし(ブリッジス
はこれでオスカー候補になった)、他の人たちではオビワン
以外はあまり触れられてもいないようだったが、ファンなら
押さえておきたい作品だ。
脚本は、イギリス生まれのコメディ脚本家のピーター・スト
ローハンが担当。監督には、元俳優でクルーニーの盟友でも
あり、クルーニー監督の『グッドナイト&グッドラック』で
は共同脚本も手掛けたグラント・ヘスロヴが本作でデビュー
を飾っている。
本作は、直接的な笑いを狙ったコメディではないが、全体が
実にユーモラスに物語が描かれる。しかもSF映画ファンに
は『スター・ウォーズ』との絡みなども面白く感じられる。
その上に共演者の顔触れも堪能できる作品だ。
『終着駅』“The Last Station”
『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などのロシアの文豪
トルストイの晩年を描いたドイツ・ロシア合作作品。
ロシアの伯爵家の出身で上記の作品でも世界的な人気を得た
トルストイは、晩年は多くの人々にその名声を謳われたが、
その一方でトルストイ主義と呼ばれる禁欲的な自然主義を唱
え、その信奉者によるコロニーなども運営されていた。
そのトルストイ主義者のリーダーからの信任を受けた1人の
男性が、秘書として作家の許に向かうところから物語は開幕
する。その男性には、特に伯爵婦人と呼ばれる作家の妻の言
動を逐一記録するように、との密命も与えられていた。
その男性は、作家の邸宅の近くに創設されたコロニーに宿舎
を与えられ、そこから作家の家に通い始めるが、そこで彼が
観たものは、お互いに信頼し愛し合いながらも激しく言い争
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06月13日(日)
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