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On the Production
by 井口健二
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■恋するナポリタン、グッドモーニング・プレジデント、君が踊る夏、仁寺洞スキャンダル+製作ニュース
領。妻に先立たれて男ヤモメの大統領には幼い1人息子がい
て、さらにその任期中に日本海で日本軍が軍事訓練を開始、
半島が一触即発の事態になったり、大統領自身の身体に関る
問題が発生したりもする。
そして3人目は韓国初の女性大統領。彼女は辣腕を発揮して
困難な政策を次々実現して行くが、その足を引っ張ったのは
韓国初のファーストジェントルマンとなった夫だった。大統
領の支持率が低下したとき、その夫が取った行動は…
韓国の大統領というと、ファーストレディが狙撃で暗殺され
たり、強権を発動したり、在任中の汚職で訴追されたりと、
とかく強面の印象があるのは、軍人上がりの1人の大統領の
せいだけなのかな。
そんな公人でもある韓国大統領が、この作品では個人的な側
面から見事に人間的に描かれている。これは監督自身が「大
韓民国が夢見る大統領」と表現している通り、本当にはいた
ことのない理想の大統領を描いた作品のようだ。
脚本と監督は、2001年『ガン&トークス』などのチャン・ジ
ン。実は監督の作品は今まで観ていなかったが、2006年8月
紹介『トンマッッコルへようこそ』の製作を担当してた人物
と聞いてなるほどと思えた。ユーモアや風刺性などが良く似
た風合の作品だ。
出演はドンゴンの他に、自身が国会議員の経験もあるという
イ・スンジェと、韓国の母とも呼ばれるコ・ドゥシムが3代
の大統領を演じ、さらに『トンマッコルへようこそ』などの
イム・ハリョン、『秋の童話』などのハン・チェヨンらが脇
を固めている。
日本人の観客としては、日本軍の軍事訓練の話などにはニヤ
リとさせられる。映画の全体はユーモラスなのだが、そこに
描かれた個々のエピソードにはかなり辛辣なものも多い。そ
してそれは、日本の政治家の姿勢にも通じるものにもなって
いる。
政治の内幕ドラマとしても面白かった。
『君が踊る、夏』
高知県高知市で毎年8月9−12日に開催されるよさこい祭り
を背景に、地元を離れて東京での成功を夢見る若者と、東京
に憧れながらもある事情から地元に残ることを余儀なくされ
た女性の姿を描いた作品。
この映画のプロデューサーは、以前別の映画のキャンペーン
で四国を訪れた際によさこい踊りに遭遇し、その見事に振り
付けられた踊りと踊り手たちの満面の笑顔から、それを題材
にした映画を作れないかと考えたそうだ。
しかし映画化のための物語の創作に難渋していたとき、彼の
耳に、MRTKという悪性の小児ガンと闘いながら踊り手と
して参加する少女の話が届く。そして事実の確認に訪れた彼
が踊る少女の姿を目撃したとき、この物語が誕生した。
物語の主人公は故郷高知を離れ、東京でカメラマン助手とし
て働きながら5年目を迎えた若者。彼には高校卒業の時、一
緒に東京に出ようと約束したガールフレンドがいたが、彼女
は出発の直前に行けないと告げた。以来彼は一度の帰省もし
ていなかった。
そんな彼に母親から入院したとの電話が架かり、慌てて帰省
した彼は、同じ病院に来院していた幼い少女の姿を目に留め
る。その少女はガールフレンドの妹だった。そして妹は姉に
若者に会ったと告げ、姉と若者が先陣だったよさこい踊りの
チームで踊りたいと言い出す。
MRTK=腎悪性横紋筋肉腫瘍様腫瘍、その病気は当時の医
学では発症から5年を超えて生存した例は無いとされ、その
時、すでに彼女の妹は発症から5年目を迎えていた。こうし
て5年前のチームを再結成すべく、彼女は動き始めるが…
若者の夢の実現のためそっと身を退こうとした女性や、その
周囲の人たちの思惑、さらに若者自身の夢との葛藤などが絡
んで、もしかしたら今年が最後になるかも知れない妹の夏に
向けたドラマが展開される。
出演は、2008年11月紹介『赤い糸』で日本アカデミー賞新人
賞受賞の溝端淳平、映画『20世紀少年』などに出演の木南晴
夏、『ウルトラマンメビウス』に主演の後『ROOKIES』で人
気沸騰の五十嵐隼士、そして2008年9月紹介『252』など
の大森絢音。
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05月23日(日)
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