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On the Production
by 井口健二
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■ブレイキング・バッド、チョルラの詩、ロストクライム、アイスバーグ/ルンバ、ラスト・ソング、ゾンビランド+製作ニュース
染みの女性がいて、叔母の息子はその女性に恋心を持ってい
たが、貧しい家庭の息子は彼女の母親に嫌われていた。それ
でも息子は主人公から愛の詩の書き方を学び、彼女に送り続
けるのだが…
全羅南道、朝鮮八道の1つ全羅道の南半分を分離して定めら
れたこの行政区には、2008年3月紹介『光州5・18』の事
件が起きた光州市なども所在するが、その市自体は現在は特
別区として独立されているそうだ。
そしてこの全羅南道は、政治家金大中の出身地として知られ
るが、韓国の中では貧しい地方として認識されることが、先
の映画の中でも語られていたように記憶している。
そんな全羅南道が、道路建設などのオリンピック特需で生活
も向上してきた頃。本作は、そのような時代背景も踏まえて
描かれた作品となっている。
出演者では、『春のワルツ』などのドラマ作品で人気のソ・
ドヨンが映画で初主演を飾り、相手役には『チェオクの剣』
などのキム・ミンジュン。その幼馴染み役で、2007年『僕の
彼女のボーイフレンド』という作品に出ていたキム・プルン
が共演している。
実は、監督の前作も先に観ているが、その時は日本を描いた
名作の舞台を外国に改変し、自己の政治的な発言に利用して
いるような作品の作りが気に入らなかった。従って今回も、
日韓の歪な政治問題が描かれるのではないかと心配したが、
そのようなことはなかった。
元々監督にはそのような意識はないのかも知れないが、前作
の時はどこからそれが吹き込まれたのか…因に、本作のプロ
ローグでは日本の教員と国籍の問題が出てくるが、1991年に
当時の文部省から「常勤講師に限り認める」との通達が出さ
れているようだ。

『ロストクライム/閃光』
1968年12月10日に起きた府中三億円強奪事件。その事件を題
材にした永瀬隼介による原作小説の映画化。
三億円事件の犯人はなぜ捕まらなかったのか、その事件の裏
にあったのは身内の不祥事を隠蔽しようとする警察機構の体
質だった…2002年の東京湾に浮かんだ他殺死体が、35年前の
事件の真相に繋がる扉を開く。
2008年11月紹介『ポチの告白』など、最近警察の腐敗を描く
映画作品が多くなっていような気がするが、この作品もその
類のものと言えるだろう。三億円事件の真犯人が警察幹部の
身内だったら?という発想で、その隠蔽体質の実態が描かれ
て行く。
ただそれが、自分の頭で読み進む小説だとそれなりの説得力
を持たせられるのだろうが、映像を伴う作品だと観客は客観
的にならざるを得ず、その距離感が物語に小説ほどの説得力
を持たせることができなくなってしまうことは否めない。
また上記の『ポチの告白』やその翌月に紹介した『チェンジ
リング』のような作品だと、描かれる事件そのものに馴染み
が無いから、観客も更な気持ちで物語に入れるが、本作のよ
うに事件そのものが著名だと、観客自身の認識とも絡んでさ
らに難しくなる。
その辺がかなり難しいチャレンジと言える作品だ。それに対
して本作では、物語の後半にさらなる仕掛けを置いて、そこ
からが映画として面白くなるように作られており、その点で
は認められる作品になっていた。
出演は、渡辺大、奥田瑛二。他に、河村ゆきえ、武田真治、
原田芳雄、夏八木勲、かたせ梨乃、宅麻伸らが共演。さらに
『ポチの告白』に主演していた菅田俊らの警察ものには欠か
せない面々が脇を固めている。
監督は、1998年の『プライド・運命の瞬間』で物議を醸し、
以来のドラマ作品となる伊藤俊也。脚色は伊藤と、テレビの
刑事ものでは定評のある長坂秀佳が担当した。因に、事件の
再現シーンは昨年12月10日が晴天だったため、翌11日の本雨
の日に行われたそうだ。
それにしても、日本警察はとことん性根が腐っている…とい
うのが、一般の受け入れやすい認識なのかな。

『アイスバーグ』“L'iceberg”
『ルンバ』“Rumba”
ベルギー生まれのドミニク・アベルとオーストラリア生まれ
のフィオナ・ゴードンという、共にフランスのパリで舞台の

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05月02日(日)
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