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On the Production
by 井口健二
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■アデル、にくめハレルヤ、4匹の蠅、小さな命が呼ぶとき、レギオン、サバイバル・オブ・ザ・デッド、華麗なるアリバイ+製作ニュース
げたという青年の話や廃虚のままの施設、その一方で神戸ル
ミナリエの華やかなイルミネーションなどが綴られる。
脚本監督の板倉善之は、1981年大阪生まれ、震災の時は中学
生で、部活の朝練で早朝登校の準備をしている時に揺れを感
じたそうだ。しかし、朝のニュースではまだ神戸中心の様子
は報道されず、そのまま学校に行き帰宅後に事態の深刻さを
知ることになったという。
その状況は東京にいた自分も似たようなものだったが、その
後が大阪在住では違うものだったのだろう。本作の発想も神
戸出身の女友達の言葉が切っ掛けになっているのだそうだ。
しかもその淡々と語られた言葉が、監督の心に突き刺さった
のだそうだ。
その淡々とした口調の言葉が本当に伝えたかったのは何か、
それに対する想いが本作を作り上げているようだ。しかし監
督自身これが正解だとは思えていないようで、そんなもやも
やした感じが本作にも色濃く漂っている。
確かに、本作を観ることで監督の想いは理解できる。しかし
それはそこまでであって、監督が本当に描きたかったこと、
つまり神戸出身の彼女の伝えたかったことは理解できない。
それは監督も模索中なのだし仕方の無い面はあるが、やはり
間怠っこしい感じは残った。
出演は、イッセー尾形の舞台などに参加している苧坂淳と、
2008年1月紹介『奈緒子』で主人公の子供時代を演じていた
藤本七海。因に2006年製作の本作は藤本のデビュー作だそう
だ。他に、絵沢萠子らが共演している。
『4匹の蠅』“4 mosche di velluto grigio”
昨年2月に新作『サスペリア・テルザ』を紹介したイタリア
の恐怖映画監督ダリオ・アルジェントによる1971年の作品。
アルジェントというと1977年日本公開された『サスペリア』
の印象が鮮烈だが、本作はそれ以前。ただし本作も当時日本
公開はされていたようで、僕は未見のつもりだったが、最後
の種明かしには見覚えもあり、もしかするとテレビ鑑賞して
いたのかも知れない。
物語は、ロックバンドのミュージシャンが主人公。日々スタ
ジオで練習を続ける主人公には金持ちの妻がいて、生活は安
定しているようだった。ところがある日のこと、彼は自分を
尾行する男の存在に気付く。
そこで主人公は男に逆襲。閉鎖された劇場に追い詰めた主人
公は揉み合ってその男を刺してしまう。その模様を撮影する
不審な人影。そして翌日の新聞には、身元不明の刺殺体が発
見されたという記事が掲載されていた。
こうして主人公は、何時警察の手が伸びてくるかという恐怖
に曝されるが、警察が現れることは無く時は過ぎて行く。と
ころが、そんな主人公の周囲に彼の犯行を裏付ける写真など
が置かれるようになる。果たしてその目的は…
アルジェントは1940年の生まれとあるから当時は30歳前後。
徐々に恐怖を際立たせて行く演出にはヒッチコックの影響も
見え、正に若さが発揮されている作品とも言えそうだ。物語
の後半にはちょっと意外な展開も用意されていて、その辺も
面白かった。
脚本は、アルジェントと1978年“Starcrash”(A・E・ヴ
ァン・ヴォート『宇宙嵐のかなた』の映画化)などの監督の
ルイジ・コッツィらによる原案から、アルジェントが執筆し
ている。
主演は、最近でもテレビなどで活躍しているアメリカ人俳優
のマイクル・ブランドンと、60年代のアメリカテレビで活躍
したミムジー・ファーマー。ファーマーは後にヨーロッパ映
画で活躍する初期の作品でもあるようだ。
他に、ジャン・ピエール・マリエル、フランシーヌ・ラセッ
ト、バッド・スペンサーらが共演している。また、音楽をエ
ンニオ・モリコーネが担当していた。
『小さな命が呼ぶとき』“Extraodinary Measures”
糖源病2型(通称:ポンペ病)4万人に1人と言われる難病
に罹った我が子を救うため、大企業での約束された地位を擲
ち、治療薬を開発するヴェンチャー企業を作り上げた父親の
実話に基づく作品。
大手製薬会社に勤めるジョン・クラウリーは2人の我が子の
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04月25日(日)
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