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On the Production
by 井口健二
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■P野ばら、ボローニャ…、瞬、上海アニメ、アリス・イン・ワンダーランド、ハーツ & マインズ、蜘蛛の拍子舞/身替座禅+製作ニュース
で、丁寧に描かれた時代背景と適度のユーモアも込めて描か
れて行く。
主演は、本作でヴェネチア国際映画祭の主演男優賞を受賞し
たシルヴィオ・オルランド。その娘役にイタリア・アカデミ
ー賞で主演女優賞受賞のアルバ・ロルヴァケル。さらに共演
のフランチェスカ・ネリ、エツィオ・グレッジョらも助演賞
を受賞している。因に母親役のネリは2001年『ハンニバル』
にも出演していた国際派女優だ。
監督は、韓国で開催されたファンタスティック映画祭での受
賞記録などもあり、カンヌやヴェネチア国際映画祭の審査員
なども務めたことのあるプーピ・アヴァーティ。1968年に監
督デビュー。ピエル・パオロ・パリーニの『ソドムの市』の
脚本なども手掛けたベテラン脚本家・監督が、自らの故郷を
舞台に家族愛の物語を作り上げている。

『瞬』
交通事故で恋人と共にその瞬間の記憶を失った女性が、その
瞬間を取り戻そうとする姿を描いた河原れん原作の映画化。
主人公は事故の夢に苦しめられている。その悪夢の中で彼女
は恋人に何かをしてあげようとしているのだが、それが何な
のかも判らない。そして彼女自身にはその事故の前後の記憶
が失われていた。
彼女は美大生の恋人とのデートも順調に重ね、夏休みには彼
の生家も訪ねることになって幸せ一杯だった。しかし彼のバ
イクで出掛けた花見の帰路で事故は起きる。そして彼女自身
は比較的軽症だったが、彼は帰らぬ人になってしまう。
その事故は異常走行のトラックにバイクが激突したもので、
トラックの運転手も死亡していたために示談となり、事故の
詳細も彼女には知らされないままだった。そこで彼女は偶然
に知り合った女性弁護士の助けも借りて事故の真相を調べ始
めるが…
結論として何が起きるという話でもないが、物語のほぼ全体
が悲しみに満ち溢れているもので、映画は唯々悲しみだけを
表現し続けて行く。それもまたエネルギーの要る話ではあろ
うし、それ描き切った監督には敬意を表したいくらいのもの
だ。
しかも、撮影は北海道から山陰出雲にまで及んでいるから、
それを撮り切っただけでも大変なことだったと思わせる。そ
れくらいに見事なロケーションが撮影された作品にもなって
いる。
主演は『間宮兄弟』『ハンサム・スーツ』などの北川景子。
共演は大塚寧々、岡田将生。他に永島暎子、田口トモロウ、
清水美沙、菅井きんらが出演している。それから原作者の河
原もどこかに出ていたようだ。
脚本・監督は2003年『船を降りたら彼女の島』などの磯村一
路。ヒロインを撮ることでは定評のある監督のようだが、今
回の北川も大塚も本当に美しく撮って貰っている。だから彼
女たちのファンには格好の作品だろう。
ただ、映画の後半に登場するシーンではちょっとやりすぎか
なと感じるところもあって、それは主人公が記憶傷害を引き
起こすほどのものだから、それなりには必要だったのだろう
が、何か他の展開はなかったのかな?とも考えたところだ。

『美と芸術の上海アニメーション』(中国映画)
東京では5月に行われる中国アニメーション12本を連続上映
する企画で、A〜Cの3プログラムに分けて上映される中か
ら、日本では劇場未公開だった作品を含むAプログラムのみ
試写が行われた。
中国では1926年に万兄弟と呼ばれるグループがアニメーショ
ンの製作を開始し、1941年にはアジアで最初の長編のアニメ
ーションとされる『鉄扇公主』を完成。この作品は日本でも
上映されて手塚治虫らに影響を与えたとのことだ。
その万兄弟らも参加して1957年に発足されたという中国アニ
メーションの中心・上海美術電影製片厰で製作された中短編
アニメーションの中から、1962年製作の1本と1980〜85年に
製作された6本を観せて貰えた。
その中では、1962年製作の作品『おたまじゃくしが母さんを
探す』が、水墨画をそのままのタッチでアニメーションにし
ているもので、その技法も見事だった。
物語は、一緒に生まれた沢山のおたまじゃくしが母親を探す

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03月21日(日)
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