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On the Production
by 井口健二
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■第182回
偉業を今回も期待したいものだ。まずは2月2日に行われる
オスカー候補の発表が待たれる。
* *
そこでまあ、試写を観なかった『アバター』“Avatar”に
関しては、このページで作品の紹介はしていないものだが、
僕も一般の興行では鑑賞したので、ここで自分の意見を多少
述べさせて貰いたい。
まず、映画を観ての僕の感想は、舞台となるパンドラ星の
「観光映画」としては良くできているというものだ。それは
樹上の世界から浮かぶ山の景観まで、特に風景に関しての3
D映像が見事に表現されていた。
因にこの映像の生成に関しては、1月17日に23分にも及ぶ
メイキングのヴィデオがネット上で公開されたが、特に俳優
のパフォーマンスをキャプチャーするヴァーチャルスタジオ
の中で、カメラまでもがヴァーチャル化されて、キャメロン
が手持ちで自由に動き回るモニターの画面に、そのまま背景
やCGIのキャラクターまで合成された映像が写し出されて
いるのには目を見張った。
このヴィデオは、検索サイトで“Creating the World of
Pandora”を検索して、1月17日以降の日付のページを開け
ば観られるはずのものだが、モニターの角に位置や角度を検
出するためのサイコロ状の反射器が設けられたヴァーチャル
カメラや、表情をキャプチャーするために顔の前に装着され
た小型カメラなど、ここまでやっていたのかと思わされるも
のだった。これなら、キャメロンのように頭の中にしっかり
とヴィジョンのある監督には鬼に金棒という感じだし、そう
でない監督にも目で観てCGI世界を演出できるのは、今後
の展開にも夢を抱かせるものだ。
ということで、映像的には正に驚嘆させられた作品だが、
物語としては今一つの感じがした。それはまず、アバターの
設定が、そのヴィジュアルの雰囲気など1973年にフランスの
アニメ作家レネ・ラルーが発表した“La planète sauvage”
(邦題:ファンタスティック・プラネット)に酷似している
のが気になった。この設定がそこから想を得ていることは間
違いないだろう。その他、浮かぶ山の景観なども動画の3D
映像には目を見張るが、イメージとしては過去にSFアート
で描かれてきたものだ。
それに何より、後半がただの戦争映画になってしまうのに
は幻滅してしまったところで、それはナパーム弾で焦土作戦
を展開するところから進駐軍の撤退まで、ヴィエトナム戦争
を再構成してアメリカ人に警鐘を鳴らしたいという意図はあ
るのだろうが、所詮、派手な戦闘シーンを描いたのではその
崇高な狙いも不明瞭になってしまう。
戦闘シーンを描いたら反戦映画は成立しないというのは、
最近に他からも聞いて僕だけの意見ではないようだが、この
作品を観ていてその思いを新たにした。そして、この作品に
関してはもっと自然の力を強調する形でも物語は作れたはず
で、結局アメリカ人は戦争が好きなんだ…という感想しか浮
かんでこなかった。
技術的には今後の発展も期待したいが、それが戦争映画に
しか活かされないのは残念に感じたところだ。
以上をこの作品の紹介とさせていただきます。
* *
以下は製作ニュースを紹介しよう。
まずは、2008年8月15日付第165回などで紹介したロバー
ト・E・ハワード原作“Conan the Barbarian”の映画版リ
メイクの続報で、その監督を2003年版“The Texas Chainsaw
Massacre”などのマーカス・ニスペルが担当し、主人公を、
テレビシリーズ“Stargate Atlantis”などに出演のジェイ
ソン・モモアという俳優が演じることが報じられている。
因にこの配役では、『トワイライト』に出演のケラン・ル
ッツと、ニスペル監督が昨年発表した“Friday the 13th”
に出演のジャレド・パラデッキという名前も挙がっていたよ
うだが、その3人の中では最も無名に近い俳優が選ばれたこ
とになるようだ。
なお、モモアは1979年ハワイホノルル生まれとのことで、
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01月25日(月)
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