ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460218hit]

■Gフォース、ミュータント・クロニクルズ、インビクタス/負けざる者たち(改稿)+他
アイズナー。監督はCMディレクター出身のサイモン・ハン
ター。因に監督は長編2作目のようだが、CM出身らしく映
像表現に力点を置いた作品になっている。
ただし製作のプレスマンは、過去に1994年『ストリート・フ
ァイター』や、同年スタートの『クロウ』シリーズなども手
掛けているが、いずれもトーンが暗めになる傾向が有り、本
作でもそれは踏襲されている。
舞台を28世紀としている割には、戦闘シーンに登場の兵器が
あまり未来的でないなど、いろいろ悩ましい部分は有るが、
それなりにグロテスクなミュータントの風体など、そのダー
クなイメージを魅力と感じる人はいるだろう。
因に、登場するのがミュータントかどうかは、今さら論議す
るほどのことでない。これがSFの現状というところだ。

なお、先に掲載した作品について試写を見直して修正しまし
たので、改めて掲載します。

『インビクタス/負けざる者たち』“Invictus”(改稿)
日本代表がニュージーランド代表に145-17という屈辱的な大
敗を喫したことでも記憶される1995年開催第4回ラグビー・
ワールドカップ南アフリカ大会を巡る物語を、モーガン・フ
リーマンの製作主演によりクリント・イーストウッド監督で
描いた作品。
1990年に釈放されたネルソン・マンデラが1994年南アフリカ
大統領に就任、アパルトヘイトの撤廃により国際社会への復
帰が認められて開催された第4回大会は、以前はラグビー強
豪国であった南アフリカが世界のラグビー界に返り咲く大会
でもあった。
しかし長年に亙る国際交流の禁止で競技感覚を失っていた代
表チームはイングランドとのテストマッチで惨敗、また、ス
プリングボクスとも呼ばれる白人選手を中心に固められた代
表チームは、ある意味アパルトヘイト時代の象徴ともなって
行く。
そして黒人中心で動き出した社会は、スプリングボクスの愛
称や緑と金のチームカラーの変更も決議するが…これに対し
て大統領は、これこそが人種間の融和の象徴であるべきと主
張。大統領と代表チーム主将フランソワ・ピナールとの二人
三脚の挑戦が始まる。
このようにして物語は、ラグビーというスポーツ競技を題材
に、人種間の対立とそこからの融和に至るまでの道程を描き
出して行く。それはもちろん限られた範囲の物語でしかない
けれど、そのシンプルさが物語のテーマを明確に描き出して
いるものだ。
その中では、特に融和や隣人愛などが声高く謳われ、それが
映像でも見事に表現されて行く。これが映画の持つ使命の一
つのようにも感じられた。そしてそのメッセージは、時代を
超えた今こそ熱く語り継がれるべきものとも思えた。
出演は、マンデラ役にモーガン・フリーマン、ピナール役に
マット・デイモン。因にマンデラ大統領の登場シーンでは、
当時のニュースフィルムにフリーマンの顔をすげ替えたもの
もあるが、その中で子供の持っている新聞の写真が元のまま
なのはご愛嬌だ。
その一方で、見事に再現された1995年当時の競技場の風景も
登場するが、特に決勝戦などは超満員の観客席はCGIと思
われ、それも見事だった。また、その競技場に設置された巨
大映像装置の下部に「SONY JumboTron」の文字が観え
るのも懐かしかった。
なお原題は、映画の中でも紹介される19世紀イギリスの詩人
ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの著作に因むもので、こ
の単語は直訳すると「征服されざる者」というような意味に
なるようだ。
        *         *
 年内はこれが最後の更新となるので、一応、僕的な今年の
ベスト10を挙げておきます。特に講評は書きませんが、対象
は今年日本公開された作品で、ベスト10は外国映画とSF/
ファンタシー映画のそれぞれについて選出してあります。

 外国映画         SF/ファンタシー映画
1スラムドッグ$ミリ…  1屋根裏部屋のポムネンカ
2戦場のレクイエム    2クローンは故郷を目指す
3エレジー        3●REC/レック2

[5]続きを読む

12月31日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る