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On the Production
by 井口健二
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■スノー・プリンス、T・ベルと月の石、インフォーマント!、ファイナル・デス・ゲーム、おとうと、パチャママの贈りもの+製作ニュース他
こんな、ある意味純粋な物語は他では滅多に観られないもの
だし、童心に帰って観るには心地よい作品。実際に試写会の
雰囲気では、ちょっと年配の評論家たちにも受けは良いよう
だった。
それに本シリーズでは、主人公のティンカー・ベルが技術屋
というのが、僕自身が技術系出身の人間としては嬉しいとこ
ろで、しかも技術系の人間に有りがちな、癇癪持ちその他の
性格付も自分自身の問題として微笑ましくなる。
因に本シリーズは四季を描いた4部作のはずだったが、試し
にデータベースを引いてみたら2010年の夏編、2011年の冬編
に続いて、2012年に“Race Through Seasons”という企画が
発表されていた。どうやら本格的なフランチャイズを目指す
ことになりそうだ。
『インフォーマント!』“The Informant!”
『オーシャンズ』シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ監
督と、同作に出演すると共に『ジェイソン・ボーン』シリー
ズで人気者になったマット・デイモンの主演で、企業の内部
告発者を描いた実話に基づく作品。
1992年の物語。主人公はとある食品企業で技術畑から33歳の
若さで重役にまで昇り詰めた男。ところがその男が管理を任
されている食品添加物の工場で、製品にウィルスが混入する
事件が発生する。
しかもその対策に苦慮していた彼の許に、日本の食品企業か
ら「産業スパイを送り込んでウィルスを撒いた」との情報が
寄せられる。そして「それを止めさせたければ1000万ドルを
支払え」という脅し文句が伝えられる。
そこで主人公はその情報を会社の上層部に上げ、彼自身は電
話を使って時間稼ぎをする一方、会社はFBIに通報して企
業恐喝事件の捜査が開始される。ところが、自宅に通話記録
用の装置を取り付けに来た捜査官に対して主人公は意外こと
を話し始める。
それは、彼の勤める食品企業が日本の企業と結託して、製品
の価格や生産調整の違法行為を行っているとの告白だった。
そこでFBIは、捜査の対象を企業犯罪に変更、商務省とも
連携して潜入捜査が開始されるのだが…
それにしても、この主人公はなぜ内部告発者になったのか、
彼自身は「技術者の良心が許さなかった」との発言はしてい
るが…。FBIの手先となっての盗聴では犯罪行為を立証す
る発言を誘導するなど主人公の大活躍が始まり、徐々に彼の
本性も現れ始める。
2000年の『エリン・ブロコビッチ』、昨年の『チェ』2部作
など実話に基づく作品も得意なソダーバーグ監督だが、重く
リアルに革命家の姿を描いた作品の直後となる本作では、か
なりコミカルに物語を描き出している。
ただし、内容的には『エリン…』に近いから本作はその続き
のようにも観られそうだし、その意味では軽快感、爽快感も
近いものに感じられた。しかも主人公の個性がかなり強烈な
ので、このくらいコミカルにしないと嫌みになってしまうと
ころだったかもしれない。
共演は、TV『エンタープライズ』の艦長を演じたスコット
・バクラ、ピーター・ジャクスン監督『乙女の祈り』のメラ
ニー・リンスキーなど。
なお、映画の中では日本企業として某大手企業が実名で連呼
される。そこは以前に、CMで契約したフランス人スターを
政治思想が合わないとして、違約金を払ってキャンセルさせ
たような会社と記憶しているが、反応はどう出るだろうか。
『ファイナル・デス・ゲーム』“Open Graves”
前回紹介の『●REC』など、最近ジャンル映画での評価の
高いスペインから届いたファンタスティックホラーの新作。
因に本国では9月開催のファンタスティック映画祭で上映さ
れたばかりのもので、11月7日封切の日本が劇場公開では世
界最初になるようだ。
物語は、呪いの懸けられたボードゲームを主題とするもの。
そのゲームは怪奇な装飾の施された一種の双六で、ゲームの
勝者にはいかなる望みも叶えられるが、敗者には残酷な死が
待ち構えている…という。
そんな恐怖のゲームをスペイン北西部のビーチに遊びに来て
いたアメリカ人大学生が手に入れ、ビーチで知り合った女性
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10月11日(日)
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