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On the Production
by 井口健二
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■●REC2、アフロサムライ、ジェイン・オースティン、ロフト、ヴィクトリア女王、よなよなペンギン、ジャック・メスリーヌ+他
目茶苦茶さが、僕には一種の昇華を果たしているようにも感
じられた。
そして本作では、オリジナルのミニシリーズの企画段階から
『アンブレイカブル』などのサミュエル・L・ジャクスンが
参加に名告りを上げて、製作総指揮と主人公の声優を務めた
もので、それは本作でも踏襲されている。
そしてそのお陰か本作では、さらに『スター・ウォーズ』の
マーク・ハミルや、『チャーリーズ・エンジェル』のルーシ
ー・リューらが声優参加しているものだ。
なお8月16日付の製作ニュースで、『ウルヴァリン』の続編
では主人公がサムライになるという情報を紹介し、その時は
「そんなの有りか?」という気持ちだったが、本作を観ると
何となく判るような気がしてきた。
ただし本作は、日本人のクリエーターがそれなりの日本文化
も理解の上で構築しているもの、『X−メン』スピンオフの
続編が公開されたらそれと比較してみるのも面白そうだ。

『ジェイン・オースティン』“Becoming Jane”
2001年『プリティ・プリンセス』などのアン・ハサウェイ主
演で、生涯を独身で過ごしたとされる19世紀イギリスの女流
作家の秘められた恋物語を描いた作品。
映画のクレジットで原作とはされていないが、元々は伝記作
家ジョン・スペンスが2003年に発表した著作から想を得て、
作家を夢見る女性と同年代の法律家の卵との果たせなかった
熱い恋が描かれる。
ジェインは、1775年にイングランド南部のハンプシャーで、
あまり裕福ではない牧師の家に8人兄弟の7番目として生ま
れた。そして10代の内から小説を書き始めていたが、周囲か
らは文才のあるちょっと変わった娘のように見られていたよ
うだ。
そんなジェインが20歳の時のこと、近所の家を1人の若者が
訪れる。彼はロンドンから来た法律家の卵で、年齢はジェイ
ンと同じ20歳。そして一般的な伝記では、2人が会ったのは
このときだけとされているのだが…
映画はスペンスの著作から想を得ているが、映画化された物
語自体は、本来はテレビ脚本家のサラ・ウィリアムスとケヴ
ィン・フッドが執筆したもの。従って、そこではかなり自由
な発想で2人の恋が描かれているものだ。
また、スペンスは歴史コンサルタントの肩書きで映画に参加
しており、彼の調査で得られたいろいろな「事実」が組み合
わされて、それなりにあってもおかしくないような物語が展
開されている。
その物語は、史実から当然恋は成就しないものとなって行く
のだが…特に、エピローグのシーンには、あったら良いなと
思わせるエピソードも描かれている。因に2人がその後に再
会した事実はないものだが、そこに描かれた内容は踏査で選
られた「事実」だそうだ。
なお、映画の脚本はジェインが姉に宛てた書簡に基づくとさ
れているものだが、丁度この時期の手紙だけが焼き捨てられ
て現存しないという「事実」もあるようだ。
共演は、法律家の卵役に『ナルニア国物語』などのジェイム
ズ・マカヴォイ。他に、『ハリー・ポッター』シリーズから
ジュリー・ウォルターズとマギー・スミス、また1995年『ベ
イブ』などのジェームズ・クロムウェルらが登場している。
監督は、2007年『キンキーブーツ』のジュリアン・ジャロル
ド。監督もテレビ出身の人だが、前作と同様に本作でも史実
に基づく物語を丁寧に撮り上げたものだ。
イギリスの女流作家の話では2007年6月に『ミス・ポター』
を紹介しているが、絵本作者の生涯を描いた作品が史実に縛
られていたのに対して、本作の物語は全く自由に発想されて
おり、それだけ物語のバランスも良く面白い作品になってい
るように思えた。

『ロフト.』“Loft”
本国ベルギーでは国民の10人に1人が観たという大ヒットサ
スペンス。ビルの屋上に設けられたロフト(ペントハウス)
を舞台に、出入り口は鍵の掛かった1つのドアしかないその
密室に放置された女性の死体を巡って、かなり捻った犯罪心
理劇が展開される。
事件に関わっているのは5人の男たち。その内の1人の建築

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10月04日(日)
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