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On the Production
by 井口健二
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■ASSAULT GIRLS、ホワイトアウト、ゼロ年代全景+製作ニュース
バ州ギムリという南極と負けず劣らずの極寒の地にセットを
建設して行われている。
共演は、2008年『キャデラック・レコード』のコロンバス・
ショート、2003年『リクルート』のガブリエル・マクト、そ
して1979年『エイリアン』のトム・スケリット。1癖も2癖
もある顔ぶれが賑やかだ。
製作は、『マトリックス』などのジョール・シルヴァ。彼自
身が設立したダーク・キャッスルの作品だが、元々はホラー
専門で設立されたプロダクションは、最近ではいろいろな分
野のアクション映画に守備範囲を広げているようだ。
監督は、そのシルヴァとは2001年『ソードフィッシュ』でも
組んでいるドミニク・セナ。ミュージックヴィデオやコマー
シャルでの評価も高い監督が今回もスタイリッシュなアクシ
ョンを展開している。
物語は、ほとんどの手の内は晒された状態で進むので先を読
む必要もあまり無く、その時々のアクションを重視したもの
になっている。極めて判りやすい作品と言えそうだ。
『ゼロ年代全景』
今年2009年は、後世ゼロ年代と呼ぶときの最後の年になると
いうことで、そのゼロ年代をいろいろな角度から描いた3本
の中編がまとめて公開される。
「茜さす部屋」
30歳を迎えようとしている女性の物語。同棲している男性は
作家志望のプーで、生活は彼女が派遣の仕事で得ている賃金
に頼っている。そんな女性を取り巻く環境がいろいろと綴ら
れて行く。そして彼女は、子供を授かることで生活が変えら
れると思いつくが…
「FROG」
異常気象で雨が降らなくなってしまった世界。そこには雨乞
いを主張する奇妙な宗教が登場し、人々の生活も狂い始めて
いる。そんな世界が、発表目的の無い写真家や海に塩を撒き
続ける男、その男を支える女性、リサイクル業者の男性など
を通じて描かれて行く。
「ブーケガルニ」
1本のスクープ記事が生み出した出来事、それはそこに関わ
った人々の生活を根底から突き崩し、またその記事を書いた
記者の人生も変えてしまった。それから3年が経ち、主人公
の新米記者はその事実関係を検証しようとするが…
披露試写会でのそれぞれの監督の挨拶によると、それぞれは
独立して製作された作品で、製作時にはゼロ年代を描くとい
う意識はあまり無かったようだ。しかし今回3本を通して観
ると、確かにここにはゼロ年代が描かれている…そんな気に
もなる作品群だった。
ゼロ年代と言われても、僕のような年になると、ただ普通に
過ぎてしまった10年間でしかないが、その時期に多感な時を
過ごした人たちにはそうではないのだろう。そしてこの3本
は、ちょうどその時代に20代前半を過ごした人たちの手で作
られている。
取り上げられている事象は、女性の幸せから社会問題までと
さまざまで、それぞれは時代に関わらないものかも知れない
が、ゼロ年代というフィルターによって何か違うものが観え
てきているような部分もあり、興味深い作品だった。
なお、3本は中編として完成されているが、「茜さす部屋」
はもっとコメディに、「FROG」はもっとアヴァンギャル
ドに、「ブーケガルニ」はもっと個々の人物の心理を掘り下
げれば、それぞれが1本立ての長編作品になるようにも思え
た。
* *
ここのところ紹介する映画が多くて製作ニュースをあまり
書けなかったが、今回は連休も絡んで試写が少なかったので
少しまとめて紹介しておこう。
まずは続報で、8月9日付でも紹介している“The Green
Hornet”の敵役となるLAマフィアのボスに、“Inglorius
Basterds”でナチ将校を演じてカンヌ映画祭の男優賞を獲得
したオーストリア人俳優クリストフ・ワルツの出演が発表さ
れた。この配役は当初ニコラス・ケイジにもオファーされて
いたものだが、条件面での折り合いが着かなかったようで、
事前にキャンセルが発表されていた。
従ってワルツはその代役ということになるが、カンヌの受
賞を引っ提げての登板なら誰にも文句は言わせないだろう。
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09月27日(日)
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