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On the Production
by 井口健二
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■クリスマス・キャロル/3D特別映像、風が強く吹いている、大菩薩峠、ドゥーニャとデイジー+製作ニュース他
しかも主人公たちが目指すのは箱根駅伝。僕は湘南育ちでは
あるが、正直に言って駅伝は小学校低学年の頃に沿道に応援
に行った記憶がある程度で、以前はあまり興味が無かった。
ところが最近の盛り上がりでついつい見始めてしまって…。
この作品には、そんな自分の興味が重なった部分もあったよ
うだ。
ただし物語はかなり強引で、こんな作品の作家が直木賞かと
も思うが、それも時代の流れなのだろう。結局のところ物語
自体にはあまり見所はなかったが、そのテーマが僕の琴線に
触れてしまったというところだ。
それに、実際には北九州や福岡、大分などで撮影されたとい
うことだが、丁寧に再現されたレースの模様がうまく撮影さ
れていて、実際のレース中に撮影されたシーンと見事に融合
していた。この編集技術は素晴らしい。
実は主演の2人には上記以外の作品(『僕の彼女はサイボー
グ』『ラブファイト』など)の印象で少し軟弱なイメージが
あったが、本作ではそれを払拭。特に、林の走る姿は凛々し
くて良い感じがした。そんな雰囲気に観客が付いてくれれば
良いと思えた。
『大菩薩峠』
1969年に37歳の若さでこの世を去った市川雷蔵。今年はその
没後40年ということで今秋開催される「大雷蔵祭」。そこで
上映される作品の内の1本。
中里介山の原作に基づき市川演じる机竜之助の狂乱ぶりが描
かれる。原作は全41巻にも及ぶ未完の長大小説だが、映画化
では机が主人公となる初期の作品が中心となり、本作以前に
も大河内傳次郎主演によるものや片岡千恵蔵主演(2作品)
などが作られている。
本作は1960年の製作で、脚色は衣笠貞之助、監督は後に市川
と『眠狂四郎』シリーズを生み出す三隅研次。虚無を求める
机の姿が、市川の端正な容貌と鬼々迫る演技によって見事に
描き出された。
共演は、中村玉緒、山本富士子、本郷功次郎。最近のテレビ
出演からは想像も付かない中村の演技と、山本の美しさ、本
郷の若々しさなどが目を牽く。他にも菅原謙二、笠智衆、島
田正吾、根上淳など懐かしい名前が並んでいる。
映画では、甲州大菩薩峠での巡礼老人の惨殺から、新選組に
参加した机と宇津木兵馬との最初の果たし合いまでが描かれ
るが、そこで第1部の完となって物語は続編へと続く。その
続編2作も「大雷蔵祭」では上映されるようだ。
僕が以前に観たことのある『大菩薩峠』はモノクロ・スタン
ダード作品だったから、上記の何れかだったと思われるが、
本作はカラー・ワイド。しかしその巻頭のシーンが全く同じ
に観えたのには驚いた。
遠望の山波からパンダウンすると山道を登ってくる老人の娘
の姿が観える。確かに著名な作品のオープニングでは、そう
た易く変更は出来ないだろうが、それにしてもそっくりなの
には驚かされたものだ。
しかしそこから後は、1対複数の剣戟シーンなどワイド画面
を活かした演出が随所に登場し、流石に後に日本最初の70mm
映画『釈迦』を撮る三隅監督の作品という感じもした。特に
抜き身の日本刀から血が滴るシーンなどは、カラー・ワイド
の画面にピッタリだった。
なお「大雷蔵祭」では、全159作と言われる市川出演作の内
から、100作品が厳選されて連続上映される。
『ドゥーニャとデイジー』“Dunya & Desie”
本国オランダでは2002−04年に全19エピソードが放送され、
多数の受賞に輝いたという人気テレビドラマの劇場版。
主人公はアムステルダムに暮らす2人の18歳の少女。その内
の1人ドゥーニャはモロッコからの移住者の子供で、性格は
少しシャイで行動も慎重。一方、もう1人のデイジーは生粋
のオランダ人で、性格は開けっ広げで発展的。そんな性格も
家族環境も異なる2人が大親友となり、それぞれの将来など
に悩みながら成長して行く姿が描かれる。
オリジナルのテレビ版がどんなものだったかは知らないが、
映画版ではモロッコ人の一家が帰国することになり、さらに
ドゥーニャには親が決めた結婚話が持ち上がっている。また
デイジーは思い掛けず妊娠して、その子供を生むかどうかの
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08月30日(日)
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