ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460244hit]

■リミッツ・オブ・コントロール、あいつはカッコよかった、ヤッターマン、ボヴァリー夫人+製作ニュース
品にはなかった新鮮なアイデアを評価する向きもあるが、そ
れは新鮮というより単に非常識なだけということもこの作品
を観ていると良く判る。正に常識では有り得ない展開の連続
なのだ。
でもまあ、それが一種のメルヘン/ファンタシーという感じ
で評価されてしまうのは、それも時代の流れということなの
だろうし、特に若い女性がそれが受け入れてしまうなら、そ
れも現実として認識しなければいけないところなのだろう。
共演は、2007年の自殺が社会問題化したチョン・ダヒン。他
に、イ・ギウ、キム・ジヘらが脇を固めている。

『ヤッターマン』
今年2月に実写版を紹介したばかりのタツノコプロ製作によ
る元祖アニメシリーズの劇場版。と言っても、現在アニメシ
リーズの新版が日曜朝に放送中だそうで、本作はその劇場版
ということになるようだ。
内容は、いつものいろいろなギャグが満載のものとなるが、
物語としては1本筋の通ったものがあって、そこには、ガン
ちゃんとお父さんによるヤッターワン誕生の秘話や、究極の
ヤッターメカ=ヤッター・キング出現の理由なども描かれて
いる。
その物語は、ガンちゃんのお父さんが某国からの招待を受け
て「おもちゃランド」の建設に向かうところから始まる。お
陰でガンちゃんとアイちゃんは、夏休みも返上で店番とヤッ
ターメカの修理に忙殺されることになる。
ところが、そんな2人にも「おもちゃランド」完成祝賀会へ
の招待状が届く。そこはブリキン国王に治められた王国で、
高さ1000mの柱の上に立てられた居城を中心に多彩なおもち
ゃの国が形成されていた。
一方、その王国にドクロリングがあるらしいとの指示を受け
たドロンボー一味もその国にやってくるが…その国には別の
陰謀が渦巻いていた。そして巻き起こる地球壊滅危機一髪の
事態に、歴代ヤッターメカ総出動の作戦が展開される。
実は、その陰謀の主が発動する地球壊滅のメカニズムは、そ
んな程度じゃ地球は壊れないよ…という代物なのだが、これ
には映画冒頭で別のエピソードが描かれていて、それからの
類推ではちょっとニヤリとするところもあった。
もちろんそれだって科学的には無理なものだが、アニメ的な
虚構の科学としてはありかな…というくらいには考えられて
いた。そんな訳でこの脚本は案外真面目に物語を作っている
のかなという感じで、ちょっと見直してしまった。
因に脚本を担当した高橋ナツコと渡邊大輔は、『なるほど!
ザ・ワールド』なども手掛けていたベテラン構成作家のよう
で、その辺の見識が役に立っていそうだ。
声優は、テレビアニメのベテランたちが中心だが、劇場版に
有り勝ちなゲスト声優では、お笑いコンビ=オードリーの春
日と若林が、ちょっと捻った役どころにも挑戦している。そ
れからドロンジョ様は当然小原乃梨子だが、その声を聞いて
いると実写版の深田恭子が結構頑張って真似ていたことも判
って面白かった。

『ボヴァリー夫人』“Спаси и сохрани”
2002年11月に紹介した『エルミタージュの幻想』や昨年10月
紹介の『チェチェンへ』などのアレクサンドル・ソクーロフ
監督が1989年に発表し、同年のモントリオール世界映画祭で
受賞を果たした作品。
19世紀フランスの作家グスタフ・フローベールの原作に基づ
き、主人公エマ・ボヴァリーの奔放な生活振りを濃厚なエロ
ティック描写と共に描く。
ただし本作は、原作の全体を映画化したものではなく、その
ためロシア語の原題も原作と異なっているし、一般的な英語
タイトルでは“Save and Protect”となっている場合が多い
ようだ。つまり“Madame Bovary”で検索しても本作は中々
見つからなかった。
その映画は、いきなり主人公が高価なショールや扇を品定め
しているところから始まる。そしてそれらの商品は購入され
るのだが、勧めた商人は値段をはっきりさせず、全部ツケに
して置くと言う。こんな状況が主人公の末路を最初から暗示
しているようだ。
そんな主人公は町医者の妻に納まっている。その夫は訪れた

[5]続きを読む

08月16日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る