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On the Production
by 井口健二
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■恐竜ランド、ホースメン、女の子ものがたり、孫文、南の国のフリムン、Elic Clapton & Jeff Beck Live、白日夢+製作ニュース
ゲーム“Doom 3”の映画版)などを手掛けているデイヴィッ
ド・キャラハム。監督は、スウェーデン出身でマドンナのP
Vなども手掛けているジョナス・アカーランド。
基本的に聖書ものは、特にその暗示に関わるものは他宗派の
人間には判り難い。そんな条件の作品だが、本作が伝えよう
とするメッセージは判り易く、自分なりにいろいろと考えて
しまうものではあった。
『女の子ものがたり』
西原理恵子原作による半自伝漫画の映画化。
西原漫画の映画化では、今年はすでに『いけちゃんとぼく』
が製作されているが、実は完成披露試写も観せて貰ったこの
ファンタシー作品を、僕はあまり好きになれなかった。
その理由はいろいろ有るが、僕自身が西原漫画には何となく
毒が強い印象を持っていて、それが前作では違和感に感じて
しまったところもあったようだ。ただしこの毒の部分は、一
般には評価されているようだが僕自身は好みではない。
そんな思い込みを持ちながら観に行った本作だが、本作では
前半からいじめやDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)
のオンパレードで、その毒気は、最初の内は思い込みのせい
もあってかなり退く感じにもなってしまった。
しかし物語の後半になって、主人公がそれが現実だと気付き
始める辺りから、何か心に突き刺さるものを感じ始めた。原
作は半自伝だそうだが、紛れもなくここに描かれているもの
が今の日本の現実でもあるのだろう。
僕自身、このようないじめやDVを目撃したこともあり、こ
の映画に描かれたことが実話に基づくとしたら、そこから目
を逸らすことはできないとも感じられた。
物語は多感な少女の青春時代を描いたもので、そこにはいろ
いろな思いが詰まっている。その映画化は少女版『スタンド
・バイ・ミー』を目指したとのことで、作者自身が登場して
その思い出話が綴られる形式となっている。
そこには甘美な部分も有るが辛いものもある。そして、全体
を通じてのやるせない感じが、最後に強く印象に残る作品だ
った。
出演は、深津絵里、大後寿々花、森迫永依が3世代の主人公
を演じる他、『空へ』の高山郁子、『ちーちゃんは悠久の向
こう』の波瑠、『うた魂♪』の三吉彩花、佐藤初が同級生を
演じている。
その他に、福士誠治、風吹ジュン、板尾創路、奥貫薫らが共
演。脚本・監督は昨年の東京国際映画祭「ある視点」部門で
特別賞を受賞した『小猫の涙』の森岡利行が担当。
女性の物語だし、男性の僕には分かり難いところもある。た
だまあ、それだけではない部分でいろいろ考えさせられる作
品ではあった。なおプレス資料の表紙には“Your Story”と
記されてあったが、これを英語題名にするつもりなのかな。
『孫文』“夜明”
1910年、辛亥革命前夜の孫文の英領マラヤ・ペナン島におけ
る活動を描いた歴史ドラマ。
この年6月23日に日本からの退去を通告された孫文は、香港
でも上陸不許可となった後、7月11日にシンガポール上陸。
その後にペナンに入ったとされている。その当時の孫文はす
でに何度かの蜂起に失敗、革命資金の流用の噂などもあって
窮地に立っていた。
そして孫文は、ペナンではとある富豪の華僑の許に身を寄せ
るのだが、そこでも状況はあまり芳しくない。その一方で、
孫文の首には多額の懸賞金が賭けられ、本国からの暗殺者や
一攫千金を狙う者たちも暗躍を始めていた。
そんな中で孫文がペナンに住む華僑たちを動かし、革命への
支援を勝ち取って行く姿が描かれる。またそこには、孫文に
信頼を寄せる富豪の一人娘や、長年孫文の世話を続けてきた
女性の姿もあった。
実はこのペナンでの孫文の動向はあまり記録が残されていな
いのだそうで、従ってここに描かれたドラマがすべて史実に
基づいているかどうかは明確ではなさそうだ。しかし、長年
世話をした女性の存在は事実のようで、それはそれなりの物
語となっていた。
その他、港湾労働者のストライキなども史実は伺い知れない
ものだが、実際に革命の資金が集まる切っ掛けはあったはず
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07月19日(日)
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