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On the Production
by 井口健二
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■ドゥームズデイ、ゴー・ファースト、バスティン・ダウン・ザ・ドア、カムイ外伝、96時間
ー・スヴィラが脚本を執筆。さらに、『TAXi』シリーズ
の主演サミー・ナセリの実弟で脚本家・俳優としても知られ
るビビ・ナセリと、製作者のエマニュエル・プロヴォが共同
脚本家として名を連ねている。
一応実話に則してはいるのだろうが、描かれるカーアクショ
ンはかなりのもので、そこには多少の誇張もあるのだろう。
しかもそのカーアクションをCGIなしの、ほとんど実写で
撮影しているのだから、それも強烈な作品だ。カーマニアに
はその車の疾走する姿だけでも充分に堪能できそうだ。
主演はセザール賞に3度ノミネートの実績を持つロシュディ
・ゼム。共演には『息子のまなざし』でカンヌ映画祭男優賞
を受賞のオリヴィエ・グルメなど演技派が顔を揃えている。
その人間ドラマも見所と言える。
因に題名は、麻薬の運搬人を指す警察内の隠語だそうだが、
英語の発音では『ゴー・ファスト』ではないかと思えるとこ
ろだ。ただし本作はフランス映画なので、英語と同じ発音で
はないのかな?
それから、女性の登場人物の1人の首筋に「安」という刺青
があり、実は『トランスポーター3』のヒロインの首筋にも
同じ刺青が認められた。別段同じ人物と言うことでもなさそ
うだが、何か意味があるのだろうか。
『バスティン・ダウン・ザ・ドア』
“Bustin' Down the Door”
1970年代のハワイ・オアフ島ノースショア。そこに打ち寄せ
る巨大な波を背景に、現在では数100億ドル規模とも言われ
るサーフィン産業を立上げた6人の男たちがいた。そんな男
たちの姿を追ったドキュメンタリー。
彼らはそれぞれが南アフリカやオーストラリアの出身者であ
り、母国のアパルトヘイトによる国際社会からの追放や、家
庭の貧困などの現実を背負って、その海岸に夢を求めて流れ
着いてくる。そこには地元民も恐れる巨大な波が打ち寄せて
いた。
そんな波に彼らは果敢に挑戦して行く。それはやがてサーフ
ィン写真家たちの注目を集めることになり、サーフィン雑誌
のグラビアや表紙を飾り始める。しかしそこには、地元民と
の確執や抗争も避けられなかった。
当時すでにサーフィンのコンテストは開かれていたが、そこ
に参加できる外国人の枠が制限されていたり、さらに地元民
が組織したギャングまがいの連中との流血の事態も繰り広げ
られる。そんな中で彼らはプロサーファーという新たな地位
を作り上げて行く。
1970年代初頭のノースショアには、ヴェトナム戦争の忌避者
やヒッピーなどがたむろし、酒やドラッグなどが大量に消費
される無法地帯だった。そして6人も最初はそれに溺れて行
くのだが、恐らくは地元民との抗争が彼らを目覚めさせる。
もちろんそこには運も味方してくれただろうが、それより自
然が作り出すノースショアの巨大な波に果敢な挑戦を続け、
その技を磨くことが、彼らを新しい世界の次元へと導いて行
くことになる。
そんな世界を変えた男たちの姿が、彼ら自身は元より当時抗
争を繰り広げた地元の連中などへのインタヴューと、当時に
撮影されたサーフィンの映像と共に綴られて行く。
ビーチ・ボーイズの『サーフィン・USA』が1963年。ジョ
ン・ミリウス監督の『ビッグ・ウェンズデー』が1978年。当
時すでにサーフィンは文化ではあったが、まだ産業としては
萌芽であったようだ。
そんな時代に生きた男たちの姿が描かれる。そしてそれはサ
ーフィンだけでなく、もっと広く人間の生き様を描いた作品
でもあった。
『カムイ外伝』
白土三平原作による漫画の実写映画化。同原作からはテレビ
アニメ化はされたことがあるが、実写による映画化は過去に
幾多の監督が試みたが実現していなかったものだそうだ。そ
んな原作の映像化がCGIの採用によって初めて実現した。
物語の舞台は17世紀。忍者の掟を嫌って抜忍となったカムイ
は、追手を逃れて孤島の漁村に暮らす漁師一家の許に身を寄
せる。しかしそこでの平穏な暮らしも束の間、一家やカムイ
本人にも追手が迫って来る。そして海を舞台にした壮大な歴
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06月28日(日)
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