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On the Production
by 井口健二
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■ドリーム・オブ・ライフ、フラミンゴ/地球の秘密、宇宙へ、吸血少女対少女フランケン、空気人形、バーダー・マインホフ+製作ニュース
幼い子供と親子で観るにはちょっと残酷な描写も登場はする
が、それを理解させることも親の役目だろう。逆にそのよう
な衝撃が子供を映画に集中させることにもなりそうだ。
それから、先の『モーニング…』の紹介では、初めて人間を
描いたように書いたが、ディズニーでは1950年代に「民族と
自然」というシリーズも製作して、その中には、“Japan”
“Ama Girls”(後者はアカデミー賞受賞)などの作品もあっ
たようだ。前作は民族ではない人間を描いたという理解にし
ていただきたい。
また、「ディズニーネイチャー」では、この後に昆虫の世界
を描いた“Naked Beauty”という作品が続く他、“American
Cats”“Chimpanzee”“Orangutans”などの作品が予定され
ている。

『宇宙へ。』“Rocket Men”
イギリスBBCがNASAの設立50周年に合わせて製作した
という記録映画。
ただし本作を実質製作したデンジャラス・フィルムスでは、
昨年度ディスカヴァリー・チャンネル向けに“When We Left
Earth: The NASA Missions”という全6回のミニシリーズを
製作しており、本作はその総集篇という面もあるようだ。
NASA50年の歴史の中で撮影された膨大な16mmフィルム。
その中には、栄光の歴史と共に、失敗や挫折、特には事故が
起きた際の人々の生の姿も記録されていた。
NASAの記録映画としては昨年9月『ザ・ムーン』を紹介
しているが、本作はアポロ計画だけでなく、その後のスペー
スシャトルも含めたNASAの全ミッションが描かれる。そ
こにはチャレンジャー、コロムビア両機の事故の模様も含ま
れている。
つまり『ザ・ムーン』にはアポロ1号の悲劇はあるものの、
全体的には栄光の記録がノスタルジーと共に綴られていたの
に対して、本作ではまだ記憶も生々しい現実の衝撃が描かれ
る。その際の呆然とする人々の姿は、観客の胸にも重くのし
かかるものだ。
来年2010年2月に予定される飛行を最後にスペースシャトル
の歴史も幕を閉じようとしている。そんな時に観たこの作品
には、正直に言って自分の中ではまだ充分咀嚼仕切れていな
い部分も残っている。特に、それに追い討ちを掛けるような
最後のナレーションには参った。それは二重否定の構文にな
っているのだが、最初は耳を疑うようなものだった。
製作はイギリスBBC、デンジャラス・フィルムスもイギリ
スの会社で、つまり部外者が冷静に観るとNASAのミッシ
ョンはこういうことなのかも知れない。その意味では元来が
SFファンの僕は、あまり部外者の立場にはなっていないよ
うだ。
なお僕はオリジナルの字幕版で観たが、日本公開ではナレー
ションが日本語に吹き替えられることになっている。そのナ
レーションは「雨上がり決死隊」の宮迫博之が担当するよう
だが、できることなら最後は二重否定では無くして欲しい。
その他、日本語版にはゴスペラーズの主題歌も付くようで、
出来るだけ華やかな作品にしてもらいたいものだ。

『吸血少女対少女フランケン』
漫画家・作家の内田春菊が1991年に「ハロウィン」誌に発表
した『吸血少女』と、1993年に同誌に発表した『少女フラン
ケン』を合体し、『クジラ〜極道の食卓〜』などの脚本家の
友松直之と、映画造形師で『東京残酷警察』の監督も務めた
西村喜廣が新たな発想を加えて脚色、共同監督で作り上げた
スプラッター・ホラー・コメディ。
原作はそれぞれ独立して発表された作品で、対決シーンは描
かれていないそうだが、本作ではそれを尋常でない血糊の量
と共に描き出している。といっても、元々の原作はラヴコメ
だったようで、その要素はしっかりと描かれているのだが…
ちょっと原作だけのファンには厳しいところもあるかも、と
いう作品だ。
共同監督の西村喜廣に関しては昨年8月に『東京…』の紹介
でも書いたが、自ら残酷効果請負人と名告っている人物で、
本作もそれは面目躍如という感じのものだ。血糊や赤色の照
明、さらにはCGIも絡めて大量の血飛沫を見事に表現して
みせている。

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06月21日(日)
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