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On the Production
by 井口健二
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■縞模様のパジャマの少年、幸せのセラピー、エル・カンタンテ、愛と青春の宝塚、セブンデイズ、アイカムウィズザレイン+製作ニュース他
与えられた役職だって、実は娘婿のために無理矢理作られた
ようなもので実際の権限なんて殆ど無い。しかも、妻の不倫
の証拠を掴んでも頭取の娘は全く動じず、逆切れされてしま
う始末。
そんな彼は、密かに自立を目指してドーナッツのフランチャ
イズチェーンの出店審査に応募していたが…
ところが、町の名士でもある義父の提案で地元の高校が始め
たメンター制度に1人の学生が応募、しかも彼を指導者に指
名してきた。そしてちょっとおませなその学生が彼の行動に
いろいろとちょっかいを出し始める。
この主人公に本作の撮影のために体重を10kg増量したという
エッカートが扮し、その妻をバンクス。また、学生の仲介で
彼と関わりを持つ若い女性をアルバが演じている。他に『ナ
ンバー23』のローガン・ラーマン、『ダイ・ハード4.0』
のティモシー・オリファント、『D-WARS』のホームズ・オズ
ボーンらが共演。
逆玉の輿の主人公に何の不満があるのかというお話ではある
が、つまり男というのはそんなものなのだろう。しかも焦れ
ば焦るほど事はうまく進まなくなってしまう。そんな主人公
をエッカートがちょっと切なくも演じている。
実は本作は、アメリカでは2007年の公開作品で、従って製作
の時期は『ダークナイト』と前後していたと思われるが、何
となくハーヴェイ・デントの境遇がオーヴァラップするとこ
ろもあって、そういう興味で見るのも面白かった。
なお原題は、アメリカ公開では“Bill”だけだったようだが
その後に改題されており、今回の上映フィルムでは上記のも
のになっていた。

『エル・カンタンテ』“El cantante”
1960年代後半から始まった音楽シーンのサルサ・ムーヴメン
トの中で、その立て役者の1人となったプエルトリコ出身の
歌手エクトル・ラボーの生涯を描いた作品。
その作品を、ニューヨーク・ブロンクスの生まれだがプエル
トリカンの血を引くとされる女優で歌手のジェニファー・ロ
ペスが、夫で現代のサルサ界の立て役者とも言えるマーク・
アンソニーと共に、自ら設立した製作会社ニューヨリカンの
第1作として製作した。
エクトルはプエルトリコで歌手の道を歩み始めたが、ショウ
ビズ界での成功を夢見、育ての親の反対も押し切ってニュー
ヨークへとやってくる。そしてラティーノ地区のナイトクラ
ブでステージに立ち、レコード会社の目にも留まってスター
街道を歩き始める。
やがて次々に大ヒットを飛ばし、スターダムに伸し上がって
行くエクトルだったが、その私生活は麻薬や女性にまみれ、
出演を約束したステージも遅刻するなど乱れたものになって
行く。それでもレコード歌手としては成功を続けるエクトル
だったが…
そんな男の人生を、彼の妻であり1人息子も授かった女性の
回想で綴って行く。それは彼女にとっても悔恨に充ちたもの
となっている。
とまあ、お話は一昔前の芸能界を描いているという点では、
「ありそうな話かなあ」と思わせるものだ。それを本作では
アンソニーの見事な歌唱によるエクトルのヒット曲の数々と
共に再現して行く。
ただし、僕自身はエクトルの本物がどんなだったかは全く知
らないのだが、その分、余計なことは気にせずにアンソニー
の歌を楽しむことができた。しかもそれがテンポの良いラテ
ン系の音楽だから、これは存分に楽しめた。
監督は、2003年10月に同じくプエルトリコ出身の芸術家を描
いた『ピニェロ』という作品を紹介しているレオン・イチャ
ソ。本作でも、よく似た生涯を辿る歌手の人生を巧みに描い
ている。
なお、主人公の名前は字幕でもエクトルとなっているが綴り
はHector。これをスペイン語でHを消して発音しているもの
だが、映画の中ではニューヨーク生まれとされる妻だけがH
を残して発音しているのも面白かった。

『愛と青春の宝塚』
昭和14年、戦時色が次第に強くなって行く時代背景の中で、
宝塚の舞台に立つ乙女たちの苦難と彼女達を取り巻く人々の
姿を描いた作品。
2002年の正月にスペシャルドラマとしてテレビ放送された物

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05月24日(日)
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