ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460254hit]
■Blood、マン・オン・ワイヤー、色即ぜねれいしょん、真夏の夜の夢、精神、BASURA、トランスポーター3
は、その準備段階から決行までの様子がインタヴューと再現
ドラマで描かれる。
ただし時代が1974年では、家庭用VTRも普及する以前とな
るもので、残されている映像はほとんどがスチル写真、それ
を何とか動画的に処理はしているが、正直には物足りなくも
感じてしまうところだ。
しかし本作は各地で評価の高いものだが、結局アメリカ人に
は在りし日のWTCが映っているだけでも評価が高くなって
しまう訳で、本作がそれを抜きにしても評価されたかどうか
には多少の疑問も湧く。
実際に本作では上記の映像が揃っていないことも問題だが、
その他にもドラマによる再現も正確ではなく、特にWTCの
屋上での作業には、本当は3日間掛った筈なのにそのことが
明確に描かれていないのも変な話だった。
つまり、本当は4人だけでできた筈のないことが、さも頑張
りましたという風な感じで描かれていることには疑問も生じ
てしまったものだ。実際に設営ではメインのワイアーの他に
ステイを張るなどもしている訳で、本当の作業はこんなに簡
単にはできるものではない。
それを、取り落としたワイアーを引き上げるために苦労した
ことばかりをメインに描かれても、何かなー…という感じに
もなってしまう。できたら、その辺も含めた本当の正確な記
録を観てみたいものだ。
とは言え、「偉業」を行ったことへの達成感みたいなものは
伝わってくるし、空中を歩くことへの爽快感のようなものは
あって、それらはそれなりに良い感じではあった。
監督は、2006年9月紹介の『キング/罪の王』なども撮って
いるジェームズ・マーシュ。また、音楽を『リバティーン』
などのマイクル・ナイマンが付けている。
『色即ぜねれいしょん』
「マイブーム」「ゆるキャラ」など流行語の造語でも知られ
る漫画家みうらじゅん原作の自伝的漫画の映画化。同様の自
伝的漫画『アイデン&ティティ』も先に映画化されており、
その際の監督田口トモロヲが本作も監督した。
その前作を僕は観ていないが、ロックミュージシャンを目指
す若者の話とのことだ。それに対して本作は、それより前の
主人公が高校1年生の時の物語となっており、1958年2月生
まれの原作者からすると1974年頃のお話となるようだ。
その主人公は京都の仏経系の高校に通い、本人的にはミュー
ジシャンを目指して曲作りなどもしているようだが、特に何
かの目標があるような生活ではない。そんな主人公が友人に
誘われて隠岐島に行く話と、秋の学園祭でデビューを飾るエ
ピソードが描かれる。
原作者については、個人的にはあまり興味が無くて、深夜の
テレビ番組でくだらない下ねたを垂れ流している××文化人
ぐらいにしか認識していなかった。従って上記の前作も、確
か東京国際映画祭に掛かっていたとも思うが敢えて鑑賞はし
なかった。
それで今回もあまり気乗りはしなかったのだが、貰った試写
状は無駄にしない建て前なので、舞台挨拶付きの完成披露試
写を観に行ったものだ。それで観ての感想は、これはありか
なという感じの作品だった。
有名人の青春思い出話みたいな作品もいろいろ観せられてい
るが、正直嘘っぽ過ぎて耐えられない作品が多い中では、本
作はそれなりに理解もできる範囲だった。特に隠岐島と聞い
てニヤリとするのは…まあそんな時代のお話ということだ。
それでいて、そこからの主人公の行動がそれなりに常識的な
ところも評価できるもので、結局のところ僕もいろいろな面
でこの主人公と同じような境遇だったから、その辺が理解し
易かったところなのかも知れない。
取り敢えず、体育会系でもなく全学連でもなかった当時の学
生の姿はこんなものだったというところだろう。その姿が現
代の若者に理解されるかどうかは判らないが、その時代を過
ごしたものにとっては懐かしくもあり、甘酸っぱい気分には
させられた。
出演は、高校生バンド黒猫チェルシーの渡辺大知、銀杏BOYZ
の峯田和伸、くるりの岸田繁などミュージシャンが多いが、
[5]続きを読む
04月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る