ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460257hit]

■第179回
 アニメーション作品賞は“Bolt”“Horton Hears a Who”
“Kung Fu Panda”“Madagascar: Escape 2 Africa”“Star
Wars: The Clone Wars”“Wall-E”
などが候補に挙げられている。
 このリストを観ると、大体前年のSF/ファンタシー映画
が見渡せるものだが、今年のリストでは、“Nim's Island”
“Speed Racer”“Cloverfield”“10,000B.C.”などが完全
に無視されてしまった。挙がっている候補作の中には、これ
がSF/ファンタシー映画か迷う作品も多いだけに、その辺
の選択の基準も気になるところだ。
 なお、受賞式は6月25日に行われる予定になっている。
        *         *
 ではここからは、いつもの製作ニュースを紹介しよう。
 まずはリメイクの情報で、その1本目はBムーヴィの王様
ロジャー・コーマンが1963年に監督したホラーSF作品“X:
The Man with the X-Ray Eyes”の再映画化が、ソニー傘下
のMGMで計画され、その監督としてスペイン出身で2007年
“28 Weeks Later”などを手掛けたホアン・カルロス・フレ
スナディロとの契約が発表された。
 因にオリジナルは、Bムーヴィの老舗アメリカン・インタ
ーナショナル・ピクチャーズ(AIP)で配給されたものだ
が、製作はアルタ・ヴィスタというプロダクションで行われ
ており、その再映画化などの権利はMGMが継承していたよ
うだ。従って、今回のリメイクは権利上も正式のものとなっ
ている。なおオリジナルの題名は、正式には“X”だけだそ
うだが、今回のリメイクでは一般的に知られる上記のものに
なるようだ。
 またオリジナルは、1981年ジョン・カサヴェテス主演で映
画化された“Incubus”などの著作もあるホラー作家レイ・
ラッセルがストーリーと脚本も手掛けているもので、レイ・
ミランド扮する科学者がX線の研究を続ける内、実験中の事
故で自分の目にX線の能力を持たせてしまう。しかしその能
力は徐々に彼自身の精神を蝕んで行き…という内容。新たな
能力によってその持ち主の精神が蝕まれるというのは、H・
G・ウェルズ原作『透明人間』と同様の趣向で、まあ亜流と
観られても仕方の無い作品ではあるが、ホラー映画史には定
番で登場してくる作品の1本となっている。
 その作品のリメイクだが、製作には2006年ポール・ウォー
カー主演でリメイクされた『南極物語』(Eight Below)な
ども手掛けたマンデヴィル・フィルムスが起用されており、
すでにフレスナディロ監督と脚本家との打ち合わせも開始さ
れて、早期の撮影が期待されているとのことだ。
 それにしても、以前にも紹介しているように1986年以前の
MGM作品の権利は同社には残存していないはずだったが、
それとは別の隠し財産があったようで、他にどのような作品
が含まれているのか、今後も楽しみになってきた。
        *         *
 次はリメイクではないかも知れないが、1968年に発表され
て世界的なベストセラーとなったエリッヒ・フォン・デニケ
ン著“Erinnerungen an die Zukunft”(英題名:Chariots
of the Gods/邦訳題:未来の記憶)に基づく映画化権を、
パラドックス・エンターテインメントという会社が獲得し、
フィクションとして映画化する計画が発表された。
 デニケンの原作は、先史時代の遺跡の中に人類のものとは
思えない遺物があり、それは先史時代に地球を異星人が訪れ
ていた証拠だと主張しているもの。この原作は、当時32の言
語に翻訳され、世界中で6800万部が販売されたという記録を
残している。そしてこの原作本からは、1970年にハラルド・
ラインル監督によるドキュメンタリー映画も製作され、この
ドキュメンタリーは1974年にアメリカで公開された他、日本
でも観る機会があったものだ。
 従って、今回はこのドキュメンタリー映画からのリメイク
とも言えるのだ。なおドキュメンタリーは、僕も特別上映で
観させてもらったが、デニケンの著作では写真で掲載されて
いた遺物を、それぞれ現地に取材して映像として紹介したも

[5]続きを読む

03月15日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る